窓付きというのも化粧箱の表面加工?
窓貼りは紙箱でも中の商品が見える訴求効果の高い表面加工です。

よくコンビニに陳列されている透明ケースでは、中の商品を見せるものが多いのも、効果の目的の半分以上はそこにあるのですが、コスト、デザイン、高級感等の問題点もあり透明ケースではなく紙箱で中身を見せたいという要望が多々あります。

そうなると、紙箱の窓穴を開けて商品を見せる・・・、という方法になります。この窓穴に何もせずに商品を見せるという方法もあるのですが、直接商品がお客様の手に触れてしまう、窓穴が小さくて商品アピール度が低い等の問題があり。窓穴を大きく、商品をより大きい面積で見せ、直接に触れる事の出来ない紙箱は表面加工にて窓穴を覆う、窓貼りという手法を取ります。

この窓貼りにも加工の仕方に種類があり、1つは窓穴の裏から窓穴よりも大きいフィルムを貼りつける方法です。この加工は通常の紙器製造工程に窓貼り加工だけをプラスするだけなので、コスト面も抑えられることが出来ますし。少し大きな窓穴の場合はフィルムの厚みも必要となり、そんな場合のフィルム厚対応もある程度までは可能になります。

※この場合、裏にフィルムを貼るだけのスペースが必要なため、(罫線にフィルムがまたぐと製函時に不具合が出やすいこともあり)罫線より15㎜程度離れた位置からしか窓穴を設けることは出来ません。

もう一つの方法は、まず印刷物に窓穴を開けてその後にフィルム貼りの表面加工を施し、本抜き(通常の型抜き)をして製函する方法です。この加工では表面全体をフィルム貼り加工をするので美粧性に優れ、前記の窓貼りでは加工が難しい小さい箱にも窓貼りができます。ただ、あまり大きな窓穴は製函が難しかったり、フィルムの貼りテンションと原紙の引っ張り強さが違う為、設計上ノウハウが必要になったりします。

こちらの記事では、窓付き化粧箱で商品の魅力を引き出した例をご紹介しています。

実際の例を見てみたい方はこちらも目を通してみてください。
窓付き化粧箱の作成事例を見てみる

※この場合、抜きの行程が一工程増えるのと、木型が二台必要になる事、フィルム加工の面積が多くなること等々から、コスト高になってしまいます。
どちらの手法も箱内の商品を見せれて、アピール力が大きいので、商品陳列時にも他社よりも訴求効果の高い紙器となります。

 

化粧箱の高級感UPの定番!箔押し!

化粧箱の高級感UPの定番!箔押し!
箔押し加工とは、箱の材料となる紙の表面に煌びやかな箔材を圧着することで豪華に見せ、箱そのものに価値を付加することを言います。

煌びやかな箔材と申しましたが、具体的に挙げると『金』や『銀』の箔材が一般的です。その他にはホログラムの箔押しなどもあり、高級感を出すのに非常に効果的な加工の1つです。

ただ、箔材には煌びやかなものしかないのかと言うと決してそうではなく、赤色や黄色などの原色系の箔押しなどもあり、その種類は豊富です。

とにもかくにも箔押し加工とは基本的には箱そのものに付加価値を付け、
商品の高級感を演出するものに他なりません。

『箔押し』の前に、『箔材』について少々・・・

箔材とは、下記の5層からなります。
1.ベースフィルム
2.離型層
3.着色層
4.蒸着層
5.接着層

この箔材を、箔版と呼ばれる金属版を通して上記の3~4の層を、原紙に熱圧着させることを箔押しと言います。

箔押しは、化粧箱の高級感・美粧性をUPさせる最もポピュラーな方法の1つであります。金・銀以外にも黒とか赤とかの色箔と呼ばれるものもありますし、ホログラム箔などもあります。

ただ、やはり『箔』なので、それなりにコストが掛かることから、化粧品・健康食品等々商品自体が高額なパッケージに使われることが多いです。

そうは言いながらも、高額商品のパッケージに関わらず食品(特にレトルトカレーやポッキー関連のお菓子など)関連のパッケージでも箔押し加工を施されたりしております。

安価な商品にも箔押しが使われるようになったことは、パッケージ事態に価値を付加することの重要性が示されたとも言え、非常に喜ばしいことです。

箔押し加工時に使用する箔版の種類(名称)

先の項でご説明申し上げましたとおり箔材は5層構造で成り立っております。

そして、そのうちの2番目にある『離型層』が『熱により活性化』してベースフィルムから離れやすくするということでした。
この活性化させるために熱を加えるものが箔版であり熱伝道させる必要があるために金属で出来ています。
金属でできているゴミ印のようなもので、インクを転写するのではなく
金属版(=箔版)自体を熱して、箔材に熱伝導させることにより転写箔をベースのフィルムから離れさせ、被体に熱圧着させるものです。
そして、もっと専門的な部分まで言うと、箔押しで使われるほとんどの版が『腐食版』で作られています。
腐食版とは文字通り金属版を薬品につけて腐食させ、ロゴ・デザイン等の図柄を凸版に起こしたものです。
ただし、深度をもった浮き上げ・浮き下げの必要な場合は腐食版では難しいため、『彫刻版』が使用されます。

もう少し、詳しく解説しますね。
箔版の種類としては、コストの安い順に下記のようなものがあります。
1.亜鉛版(腐食版)

コスト面では一番安いですが、耐久性が非常に弱いため、ほとんど使用されることありません。
使用される場合は、ロット的にスポットの小ロットのものや、箔押し校正用がほとんどです。
2. マグネシウム版(腐食版)

コスト的にも安価で、耐久性も亜鉛版より優れているため、非常によく使用される種類の1つです。ただ、酸化によるサビ等で長期保管には不適です。
3. 胴版(腐食版)

マグネシウム版より高価ですが、版のエッジの仕上がりがよく、再現性が優れており、大ロット・リピート品にも最適です。
4. 真鍮版(腐食版)(彫刻版)

硬度が高く、熱伝導率・安定性も最も良い。頻度の高いリピート品でも安心です。また、深度の深い彫刻版を作製する場合は、この真鍮版が最適です。

ハイグレードな箔押し加工を使った化粧箱を作ろう!
箔は箔でも、もっと高付加価値な箔を使って箱を作りませんか?
『浮上箔』なんてのはどうでしょうか?
『浮上箔』とは、文字通り『浮上げ加工』と『箔押し加工』を合わせたものです。
『浮上げ加工』とは凸版と凹版を使用して、紙を挟むようにプレスすることによって、一部分を隆起させる加工方法です(詳しくは先程のエンボス部分の解説を再度ご覧ください)。
工程としては、箔押し加工と似ていますね。

そして、、浮上箔とは、『箔押し加工』をしてから、その部分を『浮上げ加工』するという2工程を踏むことによって、箔押し加工をした部分を隆起させる方法です。
浮上げ版を使用して、箔押し加工すれば1工程で浮上箔ができるのでは?という声が聞こえてきそうですが・・・・・もちろん可能です。

次に、ちょっと変わった箔(?)もご紹介!それは・・・
『コールドフォイル印刷(インラインフォイラー)』と呼ばれるもので
通常のオフセット印刷機で、箔押しが出来るというものです。
まず、通常の印刷と同じように版を使用して専用のりを塗布し、その後、次のユニットで箔転写を行います。印刷はその後、通常通りインキを使用して印刷します。

この『コールドフォイル』の利点としては、
①従来箔押しでは、熱と圧力が必要でしたが、それを必要としないため(『コールドフォイル』たるゆえんはこの部分から来ています)スピードがかなりUPし、生産効率が上がります。
②箔の上からも印刷が可能なため、従来では出来なかった表現が可能になります。
③のり引きを版を使って行うため、インキのようにアミ点による再現や、微細な文字等々も表現可能になります。

但し、のりを塗布後⇒箔転写となるため、その被写体となる原紙が、上質系・マット系のしみ込みやすいものだと、のり自体が吸収されてうまく付かないということもあるようです。

まとめ

まとめ
『高級感のあるパッケージにしたい!』とは、本当によく聞くお言葉です。

我々が主力とする化粧箱に限らず、商品そのものに付加価値を付けようとすれば、特殊な加工であったり、工程そのものを複雑にしたりということは当然のことながら起こります。もちろん、コストが掛かり高コストになってしまうというデメリットはあるものの商品の差別化をするという観点においては効果的な方法と言えます。

本日ご紹介した表面加工の中で、実際に使用する機会が少ないものもあるかもしれません。
が、これらの加工を知っておくことで発想、または提案の幅が広がることは間違いありません。是非是非この機会に覚えておいて下さい。