失敗しないオリジナル化粧箱・パッケージの作り方 vol.1

オリジナル化粧箱・パッケージを作成するにあたって、初めて手配する方は
もちろん、慣れた方でも出来上がってから「あぁ、もっとこうしておけば!」
「(結果論として)コスト面を気にし過ぎた!」「想像と違う(何か変?)!」
という思いは誰しもしたくはありません。

そのためにも、オリジナル化粧箱・パッケージを作成するにあたり、
事前に知っておきたい・知っておくべき要素をまとめてみたいと思います。

ひとくちに『箱』といっても、それを作成する要素・要件は実に多岐に
渡っています。大まかな流れだけをみても、商品(中身)の決定後
→原紙の選定→形状確認→デザイン作成→色校正・確認→製造
となります。

(商品はお客様での決定事項になりますので)まずは最初の段階の
『原紙(材料)の選定方法』から考えていきましょう。

強度から考える

単紙のみで箱を作る

強度から考える

『箱』の一番の目的は、なんといっても商品保護です。
コピー用紙のようなペラペラの紙では箱は出来ませんし、かと言って
高級貴金属が段ボール箱に入っていても、かなりの違和感を感じる
ことでしょう。

何にでも適性・適度というものがあります。
食品・化粧品・文具・玩具等々比較的軽いもの・大きさの小さいもの
かつ、割れにくいものについては、単紙で充分です。

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ここで『単紙って?』という方のために少し補足をしておきます。
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単紙とは、1枚の紙のことで、箱を作成する際は通常『板紙』と
呼ばれる、厚さ0.3mm~0.6mmくらいの厚紙を使用します。
つまり、単紙のみで作るとは板紙1枚だけ(の厚み)を使用した
強度の箱を作るという意味です。
ちなみに反対語は『合紙』となり2枚以上の紙を貼り合せたもので
「板紙+板紙」や「板紙+薄紙」や「板紙+段ボール」になります。
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ただ、単紙といっても、単紙の中にも数段階に分かれた厚みがあります。
板紙にもグレードがあり(※板紙のグレードについては、また別途解説
致します)、若干異なりますが、以下はコートボールをベースに厚みの差に
ついて解説します。

板紙の厚さは『g/㎡』にて区別され、各々の実際の厚みは下記のように
① 270g/㎡  ・・・    約0.34mm
② 310g/㎡  ・・・    約0.40mm
③ 350g/㎡  ・・・    約0.44mm
④ 400g/㎡  ・・・    約0.50mm
⑤ 450g/㎡  ・・・    約0.57mm
となります(その他にもありますが、この5種類が一般的です)。

では、ある商品に対して、各々どの厚みの紙を使用すれば良いのか?
というと、「〇〇〇gまでがこの紙厚」という明確な基準はありません。
箱の形状にもあよりますし、作成される方の個人的な主観・企業様の
ポリシー等々が存在するのも事実です。

とは言っても・・・ということもあるので、ある程度の目安としては
① 270g/㎡
ハブラシ・鉛筆などの片手で包み見込めるほど小さく軽いもの
② 310g/㎡
50mm角のハンドクリーム程度、もしくはそれより多少大きくてもスナック
菓子レベルの軽めのもの
③ 350g/㎡
アイスのマルチパックのような1面が200mm角くらいあっても、比較的
箱自体の厚みが薄い、重量500gぐらいまでのもの
④ 400g/㎡
上記の③でも箱自体の厚みが60mm超の厚みのあるもの
⑤ 450g/㎡
重量が1kg弱までで一番短い「辺」の長さが100mm近くあるもの、または
商品を何個か入れる中箱(インナーカートン)

ザックリとではありますが、一応の目安としては上記のようなイメージに
なるかと思います。ただ、最初に申し上げましたが、箱の形状や「もっと
重厚感・高級感が欲しい」といった要望、「アフターユース可能なものに
したい」といった付加価値的要素等々御座いますので、上記より厚みを
UPさせることは問題ないかと思います(=コスト都合上、紙厚をDOWN
させるということも多々ありますが、第一目的の「商品保護」を毀損する
ことになるので、あまりオススメは出来ません)。

E段ボール貼合で箱を作る

E段ボール貼合で箱を作る

単紙では商品保護として充分ではないという場合はどうするか?という
と、単紙(1枚の紙)ではない合紙(2枚以上の紙を貼り合せた紙)したもの
を使用するということになります。

その場合、最もよく使用されるのは「板紙+段ボール」であり、その中
でも『E段』がよく使用されます。

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「板紙+板紙」&「板紙+薄紙」
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これらも、もちろん合紙ではありますが、これはどちらかというと
商品保護のための合紙ではなく、美粧性のための合紙という
場合が多いので、除外して考えていきます。
ちなみに、
「板紙+板紙」・・・段ボール素材を見せたくない。
「板紙+薄紙」・・・デザインとして薄紙自体の『柄』を活かしたい。
という理由がほとんどになります。
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ということで「板紙+段ボール」の話に戻り、まず『E段』とは何か?という
ことですが、『Eフルート』とも呼ばれ段ボールの厚みを表す言葉です。

①A段(Aフルート) ・・・ 約5.0mm厚
②B段(Bフルート) ・・・ 約3.0mm厚
③E段(Eフルート) ・・・ 約1.5mm厚
④F段(Fフルート) ・・・ 約1.0mm厚
⑤G段(Gフルート) ・・・ 約0.8mm厚
※AB段というものもあり、これは単純にA段とB段を合わせたもので
厚みも5+3=約8mm厚となり、『W(ダブル)段』とも呼ばれます。

F段・G段というものも増えてますが、使用理由はほぼE段と同じですので、
以下にはE段貼合について触れていきます。

「商品保護」の趣旨でのE段貼合ですから、単紙の450g/㎡では強度的に
不足するものに対して使用するので、目安としては重量が1kgを超える
もの、大きさの大きいものに使用されます。

また、波状の中芯がある段ボール素材なのでクッション性=緩衝性に
優れているため、日本酒・ワインといったガラス製の割れやすいものにも
多く使われています。

ちなみに、段ボールに貼合する板紙については、(裏ねずの)コートボール
が使用されるのが一般的です。その理由は、①段ボールを貼り合せるので
紙の裏が見えなくなるため裏白でなくても良い。②そもそも段ボール素材
を使用するということで、板紙についても高級な板紙を使用する意味がない
ということが上げられます。

但し、ここで注意しなければならないのが、段ボール合紙した場合に
板紙(=コートボール)のオモテ面に『段目』が浮き上がるということです。
ので、板紙(=コートボール)の厚さは310g/㎡を使用することが一般的
ではありますが、段目が気になるようであれば、それ以上の厚みを使用
されることをオススメします。また、逆に段目は気にしない、それよりコスト
優先という場合には270g/㎡の使用を考えられてもいいかもしれません。
ただ、310g/㎡に比べ、270g/㎡の方が原紙寸法の種類が少ないので、
場合によっては310g/㎡を使用した方が安いということもありえますので
決定される前に、両方の見積を取って比較する必要はあります。

なお、化粧品のように壊れやすいビン製だが、美粧性は保ちたいという
場合には、段ボール貼合ではなく、化粧箱は板紙単紙で作成し、その中
に緩衝材として段ボールでの中仕切を作成するというように、化粧箱と
中仕切を各々別々に作成する方法もあります。

B段ボール貼合で箱を作る

B段ボール貼合で箱を作る

さて、E段以上の強度ということになるとB段ということになります。
化粧箱にB段を使用することは非常に少なくはありますが、1つの目安と
しては、そのままでもなんとか発送に耐えられるレベルの強度と考えて
頂ければと思います。
贈答箱や機器類等々B段貼合紙を使用する場合は、そのくらい『強度』を
必要とするものなので、中仕切も使用する(作成する)ものがほとんどに
なります。

なお、それ以上のA段・AB段は、外装段ボールのレベルと考えて頂いて
差し支えありません。

さて、ここまで段ボールの厚みについて触れてきましたが、段ボール原紙
自体についても強度に差異があります。
段ボール原紙は3層構造になっているのはご覧頂ければお分かり頂ける
かと思いますが、真ん中の波状の部分(=中芯)を両側からサンドウィッチ
したように紙が貼られていますが、この両側の紙を『ライナー』呼び、一般的
には、C5・K5・K6・K7の4種類があり、下記のようなにK7の方がより強度が
あります。
C5 < K5 < K6 < K7

もっと詳しく解説しますと・・・

C5 → 古紙率が90%以上と非常に高く、160g/㎡の用紙
K5 → C5よりは古紙率が低く、170g/㎡の用紙
K6 → 同上で、210g/㎡の用紙
K7 → 同上で、280g/㎡の用紙
※古紙率が低い方が硬いので、Cライナーより、Kライナーの方が強度的
優位性があると言えます。
※「〇〇〇g/㎡」というのは板紙と同じで、1㎡あたりの重さであるので、
同素材であれば重量が重ければ重いほど、紙厚も厚くなり強度的優位性
があると言えます。

しかしながら、化粧箱を作成するにあたっては、そこまで気にする必要も
なく、ほぼ「C5」で問題ありません。また、裏面に段ボール地(=クラフト色)
を出したくない場合は、このライナーを「白5」と指定頂ければ大丈夫です。

クオリティから考える

高級品か低価格帯商品か

高級品か低価格帯商品か

やはり何にでも適性・適度というものがあります。もちろん化粧箱・パッケージもそうです。売価100円~200円の商材が、桐箱に入っていてもおかしいでしょうし、逆に10,000円超の高級化粧品が無地の透明袋に入って吊下げられていても誰にもその高価さが伝わらないでしょう。

なので、中身の商品の売価設定から原紙を選定していく必要があります。

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ここで、まずは原紙(=板紙)の種類について
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①  コートボール
新聞リサイクル等々の古紙率が非常に高く、裏がねずみ
色なのが特徴です。表面はコートされているので印刷適
性は問題ありませんが、表層以外古紙のため表面にも古
紙のグレー感が若干残ります。ただ、古紙率が高い分、
環境適性の高い紙ともいえるでしょう。
②  カードB
簡単にいえばコートボールの裏面を白く漂白したような
紙です。ので、カードBも古紙率は非常に高いですが裏
面が白い分だけコートボールよりは高級感が出ます。
③  カードA
繊維質の短い古紙が少ないのでコシがあり割れにくく、
また古紙率が低いため、白色度も増しますし平滑性も高
くなります。白色度・平滑性が高ければ印刷の再現性も
UPしますし、特に平滑性でいえば、PPラミのような
表面加工をほどこした際にコートボール・カードBと比
べた時に、その際は顕著になります。
④  コートアイボリー
純パルプ100%で、カードAで挙げた特性がより強く
なります。(※コートアイボリーより、高級な『加工紙』
については別途)
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菓子・冷凍食品(アイスのマルチパック等含)・文具・玩具・日用雑貨等々売価500円以下のものは「コートボール」を使用されることが多いですし、板紙の中で最もよく使用されている原紙です。
もちろん売価が低価格だからこそ、資材となる『箱・パッケージ』に費用がかけられないというのも大きな理由の1つですが、一般消費者さまに『高級感を与えなくても良い』もしくは『高級感を与えてはいけない』商品には「コートボール」が適しているといえます。

逆に、化粧品に代表されるように、一般消費者様に『高級感を与えないといけない』商材については「コートアイボリー」を使用されることをオススメします。

「カードA」「カードB」については、その中間的なものとしか表現できませんが、商品の特性・売り方、そして(資材にかけられる)コスト都合によって考えられるとよいかと思います。

例えば・・・

・菓子だけど、他とは差別化したい・ちょっとグレードの高いバージョンを作りたいという場合は、「コートボール」→「カードB」にランクUP

・化粧品だけど、ターゲットを20代の(まだ高い化粧品を買いにくいという)年齢層に!という場合は、「コートアイボリー」→「カードA」or「カードB」ランクにグレードDownしても問題ないでしょう。

また・・・

・低価格商品だけど、(台紙のような)紙の裏面にも印刷をする場合、視認性の問題から、「コートボール」→「カードB」に変更した方が良いということもあるでしょう。

等々、1つ1つを見ていくとキリがありませんが、1つ1つについて相談出来る良きパートナー(=印刷会社)を得ることが最善の方法ですね。

ただ、一応、覚えておいた方が良いと思うクオリティレベルとして、

コートボール < カードB < カードA < コートアイボリーの順番で・・・

・白色度が高くなり、印刷の再現性が高くなります。
・平滑性が高くなり、(印刷面でもそうですが)特に表面加工の
仕上りがキレイになります。
・古紙含有率が低くなるので、コシの強い紙になります(同じ紙
厚であれば手に取った時に「シッカリ感」が強くなります)。
・古紙含有率が低くなるので、「紙粉」等が出にくくなり、その
影響による不具合品の発生率が低くなります。
・そしてもちろん、値段は高くなります。

中身を見せるか見せないか

中身を見せるか見せないか

箱・パッケージの役割の1つに「商品訴求力」があります。これは、いかに商品を手に取ってもらうか?という「アイキャッチ性」とは少し異なり、「その商品がどんなものなのかを伝える力」のことです。
「商品訴求力」のためには、もちろん中身の現物が見えることが一番だと思いますし、現物が見えることはそのまま「アイキャッチ性」にもなります。

その場合は、いままで解説させて頂いていた板紙でのパッケージではむずかしいので、樹脂製の透明パッケージとなります。
(もちろん、板紙のパッケージに窓穴を付けて中身を見せるという方法もありますが、これは技法上のことで、今回のテーマは『材料の選定』のため割愛させて頂きます。)

素材は、大きく分けて『PP(ポリプロピレン)』と『PET(ポリエチレンテレフタレート)』になります(以前は『PVC(ポリ塩化ビニール)』もよく使用されていましたが、現在ではほとんど使用されておりません)。

特徴としましては、PPの方がPETにくらべ軟らかく・透明度が若干劣る(逆にいうと、PETの方がPPより、硬度があり・透明度が高い)と言えます。値段的にはPETの方が高価になります。

この透明パッケージを使用する場合、装飾方法は次の3通りが考えられます。
① 透明パッケージに直接印刷する。
② 印刷した台紙等々を別で作成し、透明パッケージの中に入れる。
③ 透明パッケージの外側に帯等を巻く、もしくは、穴あきの箱(紙製)の中に透明パッケージを入れる(板紙に窓穴をあける場合に比べ、窓部分の大きさ・形状等々の自由度が増します)。

その他にも、商品そのもの全体を見せるという方法については、
・(印刷台紙と一緒に)PP袋に入れる。
・ブリスターパックに入れる。
・シュリンク包装する。
等々があります。

(商品自体を見せることが『商品訴求力』UPに繋がるとはいえ、それがそのまま『販売力』UPに繋がるとは言えませんが)アイキャッチ性を持たせる1つの手段であるのは間違いありませんので、パッケージを考える際の1つの選択肢として頂ければと思います。

こだわりがあるかないか

こだわりがあるかないか

板紙の説明の際、コートアイボリーより高い『加工紙』がありますという話をさせて頂きましたが、『材料の選定』という部分でこだわっていくと、この『加工紙』という部分に行き当たります。

結論から言いますと・・・・・『パッケージ屋さんに聞いて下さい』となります。

どいういうことかと言いますと、それくらい数多くあり過ぎて書ききれないとうことです。。。とは言え、一例だけでもお伝え出来ればと思います。

パッケージ全体をピカピカにしたいという場合は、ホイル紙を使用します。ただ、ホイル紙にもグレードがあり、ベースの紙をどれにするかによっても光沢度(=厳密に言うと、ベース紙自体の平滑度によってホイル紙の平滑度が変わるので、それによって生じる反射率の差)が変わります。

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「ベース紙」とは?
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ホイル紙は、紙にアルミホイルを貼り合せた用紙です
が、このアルミホイルを貼り合せる紙を『ベース紙』
と言います。このベース紙を(板紙の中では)先述の
コートボール・カードB・カードA・コートアイボリー
の中から選び、それによってホイル紙の仕上感が異なり
ます。
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もっとピカピカにという場合は、PET蒸着紙というものがあります。これらもベース紙によって仕上りが異なりますし、PETの方も12μタイプなのか、25μタイプなのかによって仕上り感が異なります。

ホイル紙には、マットタイプもありますし、エンボスが入ったものもあります。

余談ですが、これらの用紙を使用して、わざわざ全面に「白色」を印刷するという場合もあります。もちろん一部分については「白色」を印刷しないことによって紙地を活かすわけですが、「白色」を印刷した部分も通常の板紙と比べて、また異なった風合いを出します。

化粧品関係に多いのですが、キャストコート紙を使用してさらに表面加工をする場合もあります。キャストコート紙とは、簡単に言えば通常の板紙にプレスコートをほどこしたような紙です。
そのキャストコート紙を使用して、印刷後再度プレスコート(orPPラミ)をするなら、価格的に見ても通常の板紙を使用して、印刷後にプレスコート(orPPラミ)をすれば良いではないか?と思われるかもしれませんが、そこがこだわりなのですね。2種を比べれば、やはりキャストコート紙を使用した場合の方がキレイです。

自然派・オーガニックをうたわれる方は、ナチュラル系の素材を好まれます。残念ながら、板紙のなかでは、そういう風合いのある紙は少ないです(とは言っても、あくまで薄紙と比べればであり、ある程度のものは板紙でも揃っています)。
しかしながら、合紙という方法があるので、薄紙の中でどうしても気に入った素材があれば、それを板紙に合紙すれば、パッケージ用の素材として使用することが出来ます。

ので、大げさに言えば無限に近いほどの選択肢が存在することになりますので、こだわってこだわって素材を追求したい場合は、そのこだわりを余すことなく『パッケージ屋さん』にお伝えされれば、きっとそれに見合う素材が見つかることと思います。