板紙の分類②

「初めて箱を作るので、素材の名称がわかりません」

「コートボールというのを使うと低コストになると聞いた」

「化粧品を入れるための、高級感のある化粧箱を作成したい」

お客様からこのようなお問い合わせをいただくことが多々あります。

我々はパッケージのプロなので、専門知識がないお客様がいらしてもできるだけわかりやすいように対応するのですが、事前に基礎知識を入れてから相談したいという方もいるでしょう。

そこで今回は、化粧箱作成の際の必須要素である「原紙」についてお話しさせていただきます。

どうぞ最後までお目通しいただけますよう、よろしくお願いいたします。

化粧箱は素材も大切

パッケージ制作を小ロットでおこなうためには

とあるお客様からお問い合わせいただいた際に、「コートボールというのを使うと低コストになると聞いたのですが、よく知りませんがそれで大丈夫でしょうか?」との質問がありました。

そのお客様からは「化粧品を入れるための、高級感のある化粧箱を作成したい」と先に聞いておりましたので、「確かに原紙に関するコストは下がりますが、高級感を出すというコンセプトとは相反するこれこれこのような特徴がありますけれどどうしましょうか」と説明をさせていただき、最終的にお客様は別の紙を選択されることとなりました。

その特徴とは、コートボール=再生パルプの利用率の高い紙であるため裏面がネズミ色をしており、実際に比較的安価な原紙あるだけではなく、見た目においても他の原紙と比較したときに安価なイメージを与えてしまいがちであるという点で、お客様としてはコスト云々よりそちらを避けたというわけですね。

化粧箱の原紙制作に使われる素材

板紙画像①

原紙の主要原材料はパルプ

原紙の主要原材料はパルプという植物繊維が中心となります。

この植物繊維にも種類があり、針葉樹林からとれる繊維は細く長いために原紙のパルプにすると締まった肌触りの細やかな原紙が出来ますが、対して広葉樹からとれる繊維は比べるとやや太く短い為に針葉樹からとれるパルプよりも若干フワッとした仕上がりになるようです。ただ針葉樹の生育は広葉樹に比べ長く、採取できる適応環境も広葉樹に比べて狭い為、多くは生育の早い広葉樹林からの伐採となります。そしてこの伐採という言葉が環境問題に引っかかってしまうのですが・・・

パルプの再利用も

原紙のすべてを伐採した樹木からのパルプで作ってしまうと、世界中の樹木はあっという間になくなってしまうかもしれません。そんなことにならないようにパルプの再利用、環境問題について論じられる際によく言われる3R(スリーアール)におけるところのリサイクルが行われるのです。

パルプのリサイクルとは、古紙(一度使われた紙)の再利用です。一般的には印刷された紙を液剤で再び溶かして、そこから繊維質だけを取り出して再利用します。ただ印刷のインク等の汚れで、真っ白な繊維を取り出すことは出来ず、ある程度は漂白剤等を使用して色を落としますが、ネズミ色というか薄茶色になってしまいます。例を挙げると、最も身近な新聞紙やみかん箱などはほぼ古紙で出来ているといっても良く、そのためネズミ色や薄茶色をしております。

非木材パルプ配合紙も環境にやさしい

また環境破壊・自然保護の観点からは、出来るだけ木材パルプの比率を減らす意味から、一年草のケナフやサトウキビの繊維を利用した非木材パルプ配合紙があり、自然食品や天然成分配合の化粧品などのパッケージに採用されることも多いです。

商品のデザインやキャッチコピーだけではなく、パッケージに使われる原紙から商品コンセプトに合わせることで商品イメージ、企業イメージを作り出されておられるようです。

化粧箱の素材となる板紙(厚紙)の分類の仕方


さてここからは、化粧箱の製造に最も使われている”板紙”を中心として進めさせていただきますが、我々印刷業界では厚い紙の事を板紙と呼んでいます。厚いと言っても、単紙(1枚ものの原紙で、他の原紙と貼り合わせたりしていない原紙)の状態で、チラシやカタログに使われている薄い紙(洋紙)と比べて、で厚い紙のこととなります。

それでは、まずは板紙に分類の仕方について少しお話をさせていただきます。

分類の仕方ですが大きく分けますと、原紙の中間層の古紙含有率と、表面のコート層の違いによって分類することが出来ます。

古紙含有率について

古紙含有率が高くなれば中間層の色は黒ずみが増し、少なくなれば白さが増します。また、古紙はパルプ(繊維質)の長さが短くなってしまうためにコシが弱く、紙自体を曲げていくとザックッと割れてしまいやすくなります。古紙の含有率が少ない程、原紙にしなやかさが出て折り曲げにも強いと言えます。

表面のコート層について

コート層については、基本的に厚い薄いではなく、コートしているかしていないかと、通常コートか鏡面仕上げかで違いをつけます。コート層表面の平滑性は先に書いた古紙率にも影響され、古紙率の高い紙程、表面の平滑性は悪くなりボコ付いた紙となります。これもやはりパルプ(繊維質)が短いのが影響していると言えます。コート層の白色度も原紙中間層のパルプが影響し、古紙率の高い紙は白色度が低くなってしまいます。

また、コート層にさらに鏡面の圧胴を押し付けて紙面に鏡面を転写させる鏡面仕上紙、キャストコート紙というものもあります。

化粧箱の素材となる板紙の分類

原紙サンプル画像

ここでは我々美装系のパッケージメーカーが最も良く使用する板紙を6つ紹介します。

  • コートボール
  • カードB
  • カードA
  • アイボリー
  • 高級板紙コートカード
  • 高級板紙コートアイボリー

それぞれ見ていきましょう。

コートボール

コートボールは古紙含有率が高い安価な板紙です。古紙配合率80%以上の、片面コートで片面ノーコートのねずみ色をしたものです。大部分が古紙でできているため最も安価な原紙で、お菓子やおもちゃの箱によく使われます。中に入れる商品も安価な場合がほとんどです。

(例)OKボール、マリコート、JETスター等

カードB

カードBは裏白コートボールとも呼ばれる板紙です。古紙配合率が40〜60%以上で裏面が白のコートボールです。裏も表も白色なので、両面が見えるときに使われます。

(例)NEWピジョン、NEW-DV、JETエース等

カードA

カードAはより高級感のある板紙です。古紙配合率が40%程度の、印刷や表面加工を施した際の仕上がりがいい紙です。高級品や清潔感が求められる商品の箱に使われます。

(例)ハイクリーンコート、NewクリーンコートV等

アイボリー

アイボリーは最も高級なコート白板紙です。古紙を一切使用していないためコシが強く、しっかりしています。最高級の仕上がりを求める際に使う原紙です。

(例)Newタフアイボリー、NewウルトラH等

高級板紙コートカード

高級板紙コートカードはカードAと同等品の原紙です。蛍光染料を使用してより白さを際立たせたものです。蛍光染料を使用しているため、食品パッケージとして直接食品が触れる場合は使えません。

(例)NewクリーンコートW、サンカード+等

高級板紙コートアイボリー

高級板紙コートアイボリーもアイボリーと同等品の原紙です。こちらも蛍光染料を使用してより白さを際立たせたものになります。同様に、蛍光染料を使用しているため、直接食品に触れる食品パッケージには使用できません。

(例)ボンアイボリー+、アイベストWF、パーフェクトW等

 

その他の単語の説明は以下の記事で紹介しています。

単語を知っておくことで、パッケージを制作する際に担当者と話やすくなるため、おすすめです。

よろしければご覧ください。
オリジナルパッケージを作る際の簡単な単語説明を見る

化粧箱の素材となる原紙、どんなご相談・ご注文も承ります!

原紙素材
パッケージを作るにあたり、訴求効果の高いアイキャッチ性のあるデザインやアレ?どうなっているんだろう?というような構造の紙器、高級感が溢れていて、思わず買ってしまいたくなるような化粧箱・・・。

このどれもが印刷表現だけでは効果が出し切れず、表面加工や原紙に頼るところが多いものです。逆に言えばデザイナーの方の思いを印刷だけではなく原紙の選定から始めると、より理想に近いパッケージが出来上がると思われるのです。

パッケージを制作する原紙という側面だけですが、その原材料や分類を知り原紙の選定を考え直してみるのも一案ではないでしょうか。

その際にお悩みになるようなことががありましたら、是非ケイパックにご一報を!! 営業・工場・各協力会社ともに一丸となり全力であたらせていただきます。

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