パッケージや箱の製作を検討する際、見積書や打ち合わせの中で「製版(せいはん)」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
しかし、製版とは具体的にどのような作業を指すのでしょうか。
実は、製版は印刷の品質を左右する非常に重要な工程であり、パッケージのコスト(版代)にも直結します。
本記事では、製版の基本的な意味から、混同されやすい「刷版」や「版下」との違い、パッケージ印刷における具体的な工程や種類まで、BtoBの発注担当者向けにわかりやすく解説します。
製版の仕組みを知り、スムーズなパッケージ製作に役立てましょう。
製版とは?印刷工程における意味と役割


製版とは、印刷工程においてどのような役割を果たしているのでしょうか。
まずは基本的な意味と、関連する用語との違いを整理します。
製版の基本的な意味
製版とは、デザインデータをもとに、印刷機にセットするための「版」を作り出す作業工程のことです。
印刷は、ハンコのように「版」にインキを乗せて紙に転写することで大量複製を行います。
この「ハンコそのものを作る作業」が製版にあたります。
印刷工程は大きく分けて「プリプレス(印刷前工程)」「プレス(印刷工程)」「ポストプレス(印刷後工程)」の3つに分類されますが、製版はこのうちの「プリプレス」に該当する重要なステップです。
製版と刷版・版下の違い
印刷について調べていると、「製版」以外にも「刷版(さっぱん)」や「版下(はんした)」といった似たような言葉が出てきて混乱することがあります。
これらの違いは以下の通りです。
| 用語 | 意味・役割 | 印刷工程における位置づけ |
|---|---|---|
| 版下(はんした) | 印刷用の版を作るための「元となる原稿」や「デザインデータ」のこと。現在ではIllustratorなどで作成されたデジタルデータがこれにあたります。 | デザイン・入稿 |
| 製版(せいはん) | 版下(データ)をもとに、印刷機にセットするための「版」を作る作業工程のこと。 | プリプレス(印刷前) |
| 刷版(さっぱん) | 製版工程で作られた、実際に印刷機にセットする版そのもののこと。またはその版を使って印刷する仕組み全般を指すこともあります。 | プレス(印刷) |
つまり、「版下(データ)」をもとに「製版(作業)」を行い、「刷版(モノ)」を完成させる、という流れになります。
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パッケージ印刷における製版の工程と種類

実際のパッケージ製作現場において、製版はどのように行われているのでしょうか。
具体的な工程と種類を解説します。
製版の具体的な工程(データ処理から出力まで)
お客様からデザインデータ(版下)が入稿されてから、実際に版が出力されるまでの一般的な流れは以下の通りです。
- データチェック(プリフライト):入稿されたデータに不備(文字化け、画像の解像度不足、塗り足しの不足など)がないかを確認します。
- 面付け(めんつけ):大きな印刷用紙に、パッケージの展開図を効率よく複数配置する作業です。紙の無駄をなくし、コストを抑えるために重要な工程です。
- RIP処理(網点化):パソコン上のデジタルデータを、印刷機が認識できる形式(網点の集まり)に変換します。
- 版の出力:処理されたデータをもとに、専用の出力機を使って実際の版(刷版)を作成します。
製版の種類(CTPなど)
かつての製版工程では、データから一度「フィルム」を出力し、そのフィルムを金属板に焼き付けて版を作る「アナログ製版(フィルム製版)」が主流でした。
しかし現在では、パソコンのデータから直接、アルミ製の版(PS版)にレーザーで焼き付けるCTP(Computer to Plate)という技術が主流となっています。
CTPの普及により、フィルムを出力する手間とコストが省け、よりスピーディーかつ高精細な製版が可能になりました。
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製版がパッケージの品質とコストに与える影響


発注者の視点に立つと、製版はパッケージのコストや納期に直接関わってくる重要な要素です。
製版代(版代)の仕組みと注意点
パッケージ製作の見積書には、多くの場合「製版代(または版代)」という項目が含まれています。
これは、初回生産時に版を作るための初期費用(イニシャルコスト)です。
製版代は、使用する「色数」によって変動します。
一般的なフルカラー印刷(CMYK)の場合、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色分の版が必要になるため、版代も4版分かかります。
さらに、金や銀、企業のコーポレートカラーなど、CMYKで表現できない特別な色(特色)を使用する場合は、その色専用の版を追加で作る必要があるため、版代が追加で発生します。
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再版時の修正とコスト
一度作った版は保管されるため、デザインや仕様に全く変更がないリピート発注(再版)の場合、製版代はかかりません(印刷代のみで生産可能です)。
しかし注意が必要なのは、「デザインの一部を修正する場合」です。
例えば、「パッケージ裏面の成分表示の文字を1文字だけ直したい」という場合でも、その文字が含まれている色(通常はスミ=ブラック)の版を丸ごと作り直す必要があります。
そのため、修正した色数分の製版代が再度発生することになります。
入稿前のデータ確認は念入りに行うことがコスト削減の鍵となります。
製版に関するよくある質問(FAQ)

Q:デジタル印刷(オンデマンド印刷)でも製版は必要ですか?
A:いいえ、デジタル印刷(無版印刷)では製版工程は不要です。データから直接用紙に印刷するため、製版代(初期費用)がかかりません。極小ロットの製作には向いていますが、大ロットになるとオフセット印刷(有版印刷)の方が1枚あたりの単価が安くなります。
Q:特色を使うと製版代は高くなりますか?
A:はい、高くなります。通常のフルカラー(CMYKの4版)に加えて、特色専用の版を別途作成する必要があるため、その分の製版代が追加で発生します。
Q:一度作った版(刷版)はいつまで保管してもらえますか?
A:印刷会社によって異なりますが、一般的には最終の印刷から1年〜2年程度保管されることが多いです。保管期間を過ぎると版が破棄され、次回の発注時に再度製版代がかかる場合があるため、定期的にリピート発注する商品は事前に保管期間を確認しておくことをおすすめします。
まとめ:製版の仕組みを理解してスムーズな発注を

製版は、デザインデータを実際の印刷物に変換するための重要な架け橋となる工程です。
「製版・刷版・版下の違い」や「色数・修正による版代の変動」といった基本的な仕組みを理解しておくことで、見積書の内容を正しく把握し、無駄なコストやトラブルを防ぐことができます。
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