オフセット印刷は種類としては平版印刷になります。
その名の通り平らな版を使用した印刷方式なのですが、この版には撥水性が有る部分と親水性の有る部分とがあり、それを版胴にセットします。
で、版胴を回して水を溜めている部分を通ります。
このとき親水性の有る部分にのみ水が付着します。
つづいてインキを溜めている部分を版が通るわけですが、この時既に水が付着した部分には水と油(インキ)の関係でインキが付かず、撥水性があり水を弾いていた部分にだけインキが付着します。
あとはインキと水の付いた版をブランケットというゴム胴に転写してそこから紙へと転写をする。
これによって紙に任意の色を任意の場所に転写できますので、これをインキの数だけ繰り返し、色の掛け合わせによって様々な色表現を行い印刷完成!というわけです。
利点としては
①かかる圧力が強くないので、細かい文字等もある程度まで表現できる
②版が固い紙に直接触れないため、摩耗が少なく大量生産が可能である
の二点が主に挙げられます。
ちなみに版からブランケットへと画像を剥がして移す、さらにブランケットから紙へと剥がして移すと。
剥がす(off)移す(set)を繰り返すことからオフセット印刷と呼ばれているのです。
と、印刷方法としてはこんなところですが
もう一ネタ。
より綺麗で安定した色を出すための印刷の手段
→特色を使います。
印刷時に使用するインキにはCMYKの4色が一般的ですが4色の掛け合わせで色表現を行うため、微妙な調整を必要とする色のときにはその色を表現するため専用のインキ(特色)を使用します。
このことによって掛け合わせでの微妙な色の寄り(赤っぽくなったり等)を防止し、より安定した色を表現できるようになります。
UVオフセット印刷を利用して化粧箱の作成
この章では「UV印刷」での化粧箱作製について書いていきたいと思います。
で、そもそも「UV印刷」とは何ぞや?
という方のためにご説明を…
UV印刷とは?
紫外線を浴びせることによって瞬間で乾燥する性質を持つインキと、それに紫外線を浴びせるための紫外線照射ランプを用いた印刷方法です。
従来の油性インキとの最大の違いはやはりその速乾性であり、この性質のおかげで数々の利点があります。
①製造時間短縮
→油性インキの場合、通常は半日~一日は乾燥させてからでないと次工程には移れないのですがUVインキだと速乾するため印刷工程終了後すぐにトムソン(打ち抜き工程)等の次工程に移ることができるため製造にかかる時間の短縮になります。
②パウダーいらず
→速乾するためブロッキング※¹防止として使用されるスプレーパウダー※²が必要ないのでパウダーによる表面加工の悪影響が無くなります。
※¹)ブロッキング
印刷終了後、インキが未乾燥のままの紙に圧がかかる等によって上の紙とくっついてしまい次工程での作業時に悪影響を及ぼしたり紙を汚したり、傷つけたり…という現象です。
※²)スプレーパウダー
油性インキでの印刷時に使用します。↑のような現象を防止するために印刷時に細かいパウダーを紙全体に噴射し、紙と紙の間に空間を作ることによって紙同士のインキの接着を防ぎつつ乾燥を促します。
③高い耐磨性
→①,②はどちらかというと製造側から見たUVインキの利点ですが、これは購入する側からしても大きな利点になりますね。
油性に対して擦れ等に強いです。
それでも表面加工を行った方がより良いですが。
④特殊紙への印刷
→これが書きたいが為にここまで書いてきました(笑)
個人的には速乾性の強みのなかでも特にこの点が推しです。
というのも油性インキでは乾燥に時間がかかるために例えば銀ホイルの加工がなされた紙とか、PPのフィルムが貼られた紙だとか、これら油性ではインキが弾かれて浸透させることが難しい紙でもUVなら速乾させることでインキを固着させるため、印刷が可能です。
と、UVインキについては大体こんなものでしょうか。
銀ホイルを使用した化粧箱なんか中々かっこいいと思いますよ。
UV印刷について、より詳しく知りたい方にはこちらの記事がおすすめです!
UV印刷の価格など詳細を見てみる
化粧箱の生産を行う印刷機とその回転速度について
この章では化粧箱を生産するにあたっての弊社の設備である印刷機とその速度について紹介しようかと思います。
オフセット印刷機、弊社では2台ありまして、1台が…UV・油性印刷兼用の菊全版5色印刷+水性コーター付きでして、もう1台は…油性印刷の菊全版4色印刷機となっております。
オフセット印刷は大量生産に向くうえに鮮明な印刷が可能、という印刷方法としては非常に優れたものなのですが、さて、では実際どのぐらいの速度で印刷されていくのかと申しますと、およそ一時間辺り10000枚ほどの回転速度です。
なんと一秒辺り約2.8枚!
もちろん使用する色数やデザインやベタの有無によっては、これよりも早く・遅くなりはしますが。
そしてこの回転数で排出されていく紙を時折抜き取っては版傷やらピンホールやら見当ズレやら色具合やらと様々な角度から目視検査を行い、もし何かしらの不具合が生じていれば、すぐに機械を止めて問題の解決を図ります。
とはいえ一秒に2.8枚も印刷されていきますので、あんまりのんびりと目視検査を行っていたのではあっという間に印刷不良が増えてしまいます。
仮に1分もかけて検査していると、不良を発見して機械を止めてもその間に約170枚はその不良の状態で印刷されてしまうのですから、いかに早くかつ正確に検査するかが重要です。
こうしてオフセット印刷を終えた紙(刷り本といいます)を次工程の打ち抜き現場へと移動させて、印刷終了となります。