パッケージ制作に関わる環境問題もろもろ

今週のお題は“環境問題”です。環境問題と言っても色々あるのですが、まずは世界的な大命題である“地球環境”という意味の環境問題ですね。

我々パッケージメーカーの仕事でも環境問題は大きなテーマです。作り手としてお客様の意志に沿ったパッケージを制作するのが使命なのですが、ご要望として多いのが、“環境に優しい”という事を少し前に出したい、というお話を頂きます。

環境に優しい・・・。これは色々な意味があって、それぞれの原材料の有害性が低いという事も環境に優しいですし、原材料の使われ方が自然に対するダメージをより軽減するという事も含まれます。

この部分については、後ほど【インキ】【印刷】【原紙】という観点にてお話させて頂きます。

次に、“現場環境”という環境問題もございます。
これは我々制作サイドの現場環境です。食品偽装や、食品の異物が混入していたなど冷凍食品や、いまやV字回復された某ファーストフードさんで以前問題になったことは皆さんもご存じと思います。資材を供給する我々パッケージメーカーも十二分に考えていかないといけない問題です。

そして、最後に“ゴミ”の問題です。
環境保護の一端を担おうとする企業様や、同じ木材パルプでも間伐材を使って、少しでも新たな森林伐採量を減らそうとする動きがあります。そのために!的なことを少し角度を変えてお話させて頂ければと思います。

では、もろもろの“環境問題”について、お客様に優しいケイパックから(笑)

 

環境に優しいパッケージの作り方・・・

環境に優しいパッケージの作り方・・・

環境に優しいインキ

環境に優しいインキとは・・・細かい条件でお話すると多く要因がありますので、ここは代表的なものを取り上げたいと思います。

先ずは、印刷に使用しているインキの違いで、環境への影響が少ないとされるもので植物性インキがあげられます。植物性インキとは、石油系鉱物油と違い植物から抽出される油を使用する事で、地球温暖化の緩和をはじめとする、空気を汚さないというメリットがあります。

抽出するまでの工程まで成長する際に、二酸化炭素を吸収し、酸素を発生させるという光合成のサイクルのメリット。使用後の廃棄物として、生分解性があるという事。そして、VOC(揮発性有機化合物)を削減して、大気汚染に対して影響力が少ない事があげられます。VOC(揮発性有機化合物)とは、大気中に揮発する有機化合物全般の総称でトルエンやキシレンなどが代表的な物質であり、それらの及ぼす大気汚染により、光化学スモッグやシックハウス症候群を引き起こす要因となる物質です。

通常の植物油インキにも、VOCは少ないながら含まれており、なお環境に優しいノンVOCインキ(VOCフリーインキ)もあり、使用をされておられる印刷会社も多いのです。

因みに植物油インキは、昔原材料を大豆に限定し、大豆インキ(ソイインキ)としてあったのですが、凶作等により入手が難しくなり、非食用の植物からも抽出した植物油インキとしてリスタートしたのです。

このVOC(揮発性有機化合物)の含有量が環境に優しいか否かの判断とされていることから、通常の油性インキを使ったオフセット印刷と、UV印刷のUVインキにもその違いは見られ、油性オフセットインキは石油系鉱物油である軽油が含まれており、言い換えればVOC(揮発性有機化合物)を含有しているインキとなります。またUVオフセットインキには、基本的にはVOCが含有されていませんので、UVオフセットインキの方が上記の理由により、環境に優しいインクとなるわけです。

環境に優しい印刷

そうなると、油性オフセット印刷では、植物油インキやさらにノンVOCインクを使用するか、印刷方式をUVオフセット印刷で印刷すれば、通常の油性インキ使用のオフセット印刷より環境に優しいとなるのですが、それ以外にも地球に優しい印刷方式があるのです。

それは水なし印刷と呼ばれている方式で、これは通常のオフセット印刷では油と水の関係性を利用した(水の乗っていないとことにインクが乗り、それをブランケットに転写した物を原紙に刷る)版を使用する印刷方法なのですが、これの代わりとなる水なし印刷専用のシリコンゴム層を持った版を使い、オフセット印刷をする方法で、通常のオフセット印刷で使われる”湿し水”には揮発性有機化合物となるアルコールが含まれており、その”湿し水”を使わない水なし印刷は、水質汚染を防げる事や、通常オフセットの刷版を作る際に使われる現像液にも、強アルカリ現像廃液が排出されるため、産業廃棄物の回収が義務づけられたりしています。

このような点から、水なし印刷が環境に優しい印刷方式とされていますが、専用の水なし印刷機を設備しなければなりませんし、印刷インキの特性上(通常オフセット印刷インキよりも粘度が硬い)、裏移り(ブロッキング)や紙の表面がインキに持って行かれるピッキング等を起しやすいと言われています。また印刷絵柄も不得意なものがある様です。

当社設備にはありませんが、環境に優しい印刷方法のご紹介でした。

環境に優しい原紙

環境に優しいと言えば、原紙選択も重要な要素です。

一般的に木材パルプを原料とする原紙ですが、この木材パルプの使用が環境破壊に繋がり、地球温暖化の原因となる為、木材パルプの使用に関しては製紙会社各社が色々と工夫をしており、最も一般的なものが古紙の再利用で、これは古紙からもう一度パルプ繊維だけを取出し抄造して原紙を作るもので、板紙ではコートボール(裏ネズ紙)が代表的な再生紙となり、両面コートのカードBや、配合率は落ちるもののカードAも古紙パルプを配合された原紙となります。

また古紙パルプだけではなく、サトウキビの繊維を配合したバガス紙や一年草のケナフを配合したケナフ紙は非木材紙と呼ばれ、森林伐採を少しでも防ぐ意味合いを持つ地球に優しい原紙となります。

この様に環境に優しいパッケージを作る為に、各々の業界が創意工夫をして色々な開発が進められています。FSCもその(環境問題の)ためですね。

我々パッケージメーカーは、これ等の材料を使用する事だけが、環境に優しいと謳うのではなく、印刷技術を上げロスを減らす事や、ゴミを分別し再生に努める事、定められた廃棄処理をキチンと行う事が、より環境に優しいパッケージの作り方だと信じて、日々努力していきたいと思っています。

紙器パッケージの製造環境について

紙器パッケージの製造環境について

食品偽装や、食品の異物が混入していたなど、実際の購入した食品に飲食に適さない薬品や異物が入っていらた大変ですよね。場合により生命の危機も考えられますよね。

また、汚れや、血痕などが購入した商品についていたらどうでしょうか?

食品メーカーや製品メーカーでは、そのような事が起きないように厳重に製造工程の管理や検品をして、世の中へ出てきています。メーカーも存続がかかりますからね。

もちろん、我々パッケージメーカーも同様に、箱の中に異物が入っていたり、血痕が箱についていたりすれば、たとえ中の製品や食品に問題がなくても購入されたお客様は、製品にも問題があるのではと思われてしまうかもしれません。中身は大丈夫かと。

パッケージも商品の一部という考え方が、特に日本では多いと思います。

我々ケイパックでは、そのような、異物の混入や血痕付着などの防止対策のルールを定めて日々製造をしております。

その一部を紹介いたしますと、
・工場入場ルール
・粘着ローラー使用手順
・カッターナイフ管理ルール
・作業場内持ち込み禁止物ルール
・毛髪対策・衛生に対してのルール
・血痕及び出血管理のルール
などがあります。
※詳しい内容については、社内資料にもなりますし、それ以前にすべての資料というと膨大な量になりますので割愛させて頂きます。

これらルールは、弊社がお客様に対して常に『安全と安心を提供し続ける事』を目的として決めていることです。

また、上記以外にも、各製造工程においては、工程ごとに製品チェック項目を定めており製造中には、このチェック項目の基準をクリアすることで、初めて良品パッケージとして世に出すわけです。

以上にように、ケイパックでは、安心で安全なパッケージをお客様にご提供出来る体制をつくっておりますので、コストも大事、納期も大事、そして品質と安心・安全も大事に製品作りをしております。

パッケージ制作におけるゴミ問題

パッケージ制作におけるゴミ問題

原紙のコストダウンがゴミ問題に繋がる?

1回の消費量がある基準より多い、若しくは、定期製造で2~3カ月単位で消費基準を満たす場合、原紙の手配方法として“別寸”というものがあります。

どういうことかというと、原紙の規格サイズというのはある程度決まっており、板紙でいうとL判(800×1100mm)、K判(650×950㎜)というのが一般的で、紙目の逆なL判Y目(1100×800㎜)、K判Y目(950×650㎜)が次にポピュラーなサイズになります。

それ以外にも、コート―ボールやカードBは一般需要が多い為、紙商さんがよく出る寸法を自社で発注をかけておられる事もよくあり、我々はその寸法表を見ながら原紙発注をするのですが、全てぴったり無駄なく・・・という訳にはいきません。

そこで発注量、製造サイクルをお客さから聞いて、その基準を満たしていればその商品だけの別製造寸法・・・別寸を作る事が出来るのです。

例としては・・・実際には625×910mmの原紙サイズがあれば、事足りるのに、規格寸法としてそのような寸法がないので、650×950mmを使用せざるを得ないということが往々にしてありますが、条件をクリアすれば625×910mmの原紙を製造してもらえるということです。

もちろん、別寸にする時の主目的は【コストダウン】であるわけですが、別寸にすれば、それだけ少ない紙の量で製造できるというわけです。

逆に言うと、別寸に出来なければ、その分無駄が多くなり、その無駄な部分はただただ捨てざるを得ないということになります・・・つもり、ゴミが増えるというわけですね。

※誤解なきようお断りしておきますが、そのまま捨てるとは言っても古紙として再利用できますので、リサイクル業者に引き取ってもらってはいるのですが・・・でも、出ないにこしたことはないですよね?

断裁加工でコストと一緒にゴミもカット!

角Rが付いた台紙は断裁仕上げでは無理と思われていませんか?
『角R落し』という加工もあるので、断裁の後で角R落しをすれば、角Rが付いた台紙を作成することが出来るのです(角Rの大きさはある程度制約がある場合があります)。

トムソン(抜き)加工と断裁加工を比較した際、トムソンではどうしても初期費用として掛かってくる木型を作製する必要があります。

この木型ですが丁取りを一丁増やすごとに(一枚の紙から作製する数を指します)費用が倍々に増します。したがってトムソン(抜き)加工の場合、原紙寸法的には、もっと割付けられるが、木型代を考慮して少し少なめに割付けするということが多々あります。

断裁加工の場合、その木型代の制約がないので、好きなだけ割付しても構いません。

つまり、同じ製造ロットであれば、割付数の多い方が、必要原紙枚数が少なくてすみますので、コストダウンになります。そして、その分ゴミも減らせるということですね。
※ロット数にもよりますので、全ての場合で断裁加工の方が安くなるということではございません。

このように、こちらの場合もコストダウンがゴミの削減に寄与したということが出来ます。

 

余丁(余り丁)を減らして余剰生産を抑える工夫については、以下の記事で紹介しています。
ケイパックの「一貫生産」の強みについて知る

不良品が一番の問題!

先日、あるお客様よりお問い合わせをいただきました。その内容というのは、海外で製品を製造しており、パッケージに入って状態で日本に届いたのですが、そのパッケージに問題があるとのこと。とにかく箱の破損が多くでているとのことで相談に乗ってほしいとの依頼でした。

本来ならパッケージを制作したところに問い合わせるべきものですが、海外のため、弊社にお声がかかったようで・・・拝見しますと、破損具合としては、ひどい状態の物ではサイドの糊貼部分が取れてしまっているものもありました。ちなみに、箱形状としては何ら問題はなく、材質としても、コートボールと段ボールルの合紙物でしたので、特に問題はなかったのです・・・が、段ボールの段目方向と寸法に問題がありました。

ダンボールは、段目の向きにより、強度が変わります。上からの力に対し、段目が垂直なら強度は強くなり逆に、段目が平行なら、上からに力に対し弱くなってしまいます。お察しの通り、今回の破損したケースは、段目の向きが上からの力に対し弱い状態の段目が平行になっていました。

また、決定的な理由として、中の商品より箱の方が少し小さい寸法でした。それにより、無理矢理商品を箱に入れているため、箱自体が膨らんだ状態になっており、上からに力にたいし、弱い状態なっていました。

結局、弊社にてパッケージの再作成をさせて頂いたのですが、元々のパッケージは、全て“ゴミ”と化しました。そして結果論ですが、“ゴミ”を遠路はるばる海外から、費用と時間をかけて運びこんだというわけですね。
※(海外のことなので推測ではありますが)これは、製造現場というより、手配側のミスかもしれません。間違った仕様内容を営業(もしくはそれに準じる立場の方)が伝えてしまったのかもしれません。

どちらにしろ、この『不良品』というのが、一番の悪であることは間違いありません。時間的にも・・・費用的にも・・・そして、ゴミ問題においても。

ゴミ問題につき何点かピックアップさせて頂きましたが、各々すべてをクリアすることは難しいことではあります。が、少しでもゴミを出さない・資源を無駄にしない(無駄になるようなことをしない)ということを心掛けることが重要であると思います。そして、結果的にそれはお客様のため(コストダウン・品質保証)につながることだとも思います。