箱の役割って何でしょうか?
1つは中の商品を保護することでしょう。
むしろこの役割に特化している箱も少なくないです。
しかし箱そのものに美麗なデザインを載せた印刷をしたり、光沢感やマット感を生む表面加工をしたり、もっといえば箱の形状そのものに工夫を凝らして…
これらの様々な要素によって、充填されている商品の内容やイメージを訴えかけ、それがどのような物であるかをより詳しく伝え、あるいはより一層その魅力を引き上げ訴求効果を高めることも箱の大きな役割と言えます。
ではどのような手段があるのでしょうか?
例えば「化粧箱の印刷に表面加工は大切な要素です!!」では、表面加工についてその種類や効果を紹介しております。
「パッケージの製造にはその魅力を伝えるデザインが重要です。」こちらではデザインをその作り方から紹介させていただいております。
これらのほかにも箔押しなど箱の付加価値を高める手法は存在しておりますが、今回紹介したいのは、数ある加工方法の中でももっとも直接的に中の商品がどのようなものであるかを伝えられる「窓付き」の箱になります。
窓付きの箱とは、トムソン工程で箱の中身が見えるように窓を空ける加工です。
トップの画像がまさしくそれにあたります。
商品そのものが見えているわけですから、中に何が入っているのか?どんなデザインなのか?
こういった情報がお客様にとてもわかりやすく伝わります。
また、窓の形状も丸や四角はもちろん、ある程度自由な形にできますのでその辺りも工夫のし甲斐のある加工といえます。
そこで今回はその窓付き箱の加工方法などを紹介していきたいと思います。
窓付きの箱の加工 ~窓貼り~
窓貼りとはそのままトムソンで窓の形に抜いて空間になっている部分にフィルムを貼ることを言いますが、それには2種類の方法があります。
1つは、さきほどもリンクを貼りました【化粧箱の印刷に表面加工は大切な要素です!!】でも紹介されているフィルム貼りを用いた加工になります。
まずトムソン加工にて窓のみを抜き取り、その状態の原紙を通常のフィルム貼りと同様に極薄のフィルムを原紙表面の全面に貼ります。
しかる後に再びトムソン加工を、今度は箱の形状に抜き取るために行います。
このようにトムソン加工を2工程に分けてその間にフィルム貼りを挟むことで、窓の形に抜いた空間にはフィルムが貼られます。
同時に箱の表面には通常のフィルム貼りと同様に、光沢感とともに強い表面保護力を持たせることができます。
しかし原紙表面に貼るフィルムは非常に薄いので厚手のフィルムを貼りたいという要望にはお答えできません。
またトムソンを2回通すという加工方法をとるため木型が2つ必要となりますので、必然的にその初期費用や製造単価は割高になります。
さらに付け加えるならフィルムが原紙表面の全面へと貼られるため箱表面が強い光沢感を持つこととなります。
これらへの解決策としてはもう1つの加工方法を取ることをオススメいたします。
それはトムソン工程にて窓と一緒に箱の形状への切り落としも済ませてしまい、その後で窓を空けた空間だけにフィルムを貼るというものです。
糊しろ分だけ余分に大きくカットしたフィルムを箱の裏面から貼りますので、箱全面にフィルムが貼られることはありませんし、より厚手のものを使用することも可能です。
また加工の工程としても、トムソン加工が一度で済むため、特に初期費用においては大きなメリットがあります。
とはいえこちらでも通常の箱を製作する以上に工程が増えるため相応の費用はかかります。
しかしこれら窓貼りを行うことで、商品や箱の内側へと埃が付着するを防ぐことができますし、それは商品の美称性の確保へと繋がるでしょう。
そのため化粧品などの場合には特に好まれて使われる加工となります。
窓付きの箱の加工 ~窓貼りは不要?~
少量の埃が入ることぐらい問題では無ければどうでしょうか?
商品が飛び出したりする恐れの無い程度の窓の場合は?
それならば窓貼りを行う必要はありません。
その場合は初期費用である木型代とトムソン加工の単価が通常よりも少し割高になる程度で窓付きの箱を作ることができます。
コストは抑えたいけど商品も見てもらいたい。という思いがあればこれもおすすめです。
また、そもそも論としてPETなどの透明な素材で箱を作れば窓を開けるまでも無く商品の全面を見てもらうことができるため、こういった加工も一考される価値はあるでしょう。
他にも陳列の際に箱の隣に商品を裸で置いておくことが出来るのならば、これも窓をつける必要は無いと言えるでしょう。
このように一口に商品を見せたいと言っても色々な方法がございます。
何が一番その商品に合っているのか。
難しい問題ですが、是非考えてあげてください。
窓付きの箱の加工 ~余談~
またまた【化粧箱の印刷に表面加工は大切な要素です!!】からの話題となりますが、こちらで表面加工にはマット感を出すことも出きると書いております。
フィルム貼りにおいてもマットフィルムを貼ることでマット感を出すことが出来ます。
さてそこで新商品にあう箱を考えてみましょう。
箱全体のイメージとして落ち着きを出したいとします。
窓を開けて商品も見てもらいたいとします。
フィルム貼りでの窓付き加工をマット調でやればいいじゃん!と思いませんか?
たしかにそうすれば窓も貼れますしマット感を出すこともできます。
しかしこれ、決まった例がございません。
なぜならマット感のあるフィルムは、くすんでいるのです。
つまり肝心の商品が綺麗に見えなくなってしまうのです。
このようにいくら頭の中で思い描いていても、実際に見てみるとイメージと違うということは往々にして起こります。
そのため窓付きの箱に関わらず、本番前には必ずダミーや同じ様な加工をした箱など仕上がりのイメージがつくものを見ておいたほうが良いでしょう。