化粧箱、黒印刷の2つの表現の仕方

黒のことを印刷業界では墨と表現します。

つまり、黒印刷というのは墨印刷という表現を用いります。

黒というものは色の濃さの最終形でこれより濃い色は存在しません。

厳密に言うと、濃いのではなく暗いという表現は正しいのかと思いますが。

この黒色。

色の4原色【C(シアン=藍)M(マゼンタ=紅)Y(イエロー)B(ブラック)】の内の1色に当たりますが、この4原色から黒を除いた3原色を混ぜ合わせると黒になるということになっております。(厳密に言うと、黒にはならないわけですが。)

この原理を利用した黒の表現方法についてお伝えします。

黒印刷には2つの方法がある

黒印刷には2つの方法がある

墨ベタにはよく使われるものが2種類ありまして、1つは、単純に墨濃度100%のみで行う墨ベタ。

もう1つは色の3原色であるC(シアン=藍)M(マゼンタ=紅)Y(イエロー)、これら3色をそれぞれ40%~50%ほどに設定して、それに加えて墨100%を足して表現するリッチブラックというものです。

墨ベタ単体の方は何と言っても墨しか使いませんので、見当ズレの影響を怖がる必要がありません。(その部分においてはという意味です。)

そのため文字や小さなデザインのものなどに使用可能です。

ただし、これは墨に限りませんが1版のみでベタ印刷を行うとピンホール現象が起こりやすくなります。

そのため、範囲が広いもの等には同じ版を2つ作り墨ベタを2度掛けたりもします。

ちなみにピンホール現象とはその名の通りベタ範囲の一部が穴抜けのように白くなってしまうことを指します。

ベタ印刷を行う版に埃等が付着してその部分にだけインキが乗らずに印刷されてしまうことが主な原因となります。

版に埃が付着して発生しますので2版で行っていればその分防ぎやすくなるという理屈です。

一方リッチブラックは4色掛け合わせによって表現されるので墨1色に比べてずっと鮮やかな黒色が表現されます。

またデザイン上、既にレギュラー4色を使用しているのならば、わざわざ墨版をベタ用に追加する必要が無い分、費用を削減できたりもします。

欠点としてはやはり4版使ってのベタなので墨ベタ単体に比べて見当ズレが発生しやすいので文字や小さなデザインには不向きです。

また4色掛け合わせの分、若干赤みかかったり青みかかったりと、墨の色の均質化も墨ベタに比べた難しいです。

墨を使わない黒表現

CMY
通常黒の表現を行う際には墨を用いるのですが色表現の仕組み上CMYの3色を混ぜ合わせるだけでも黒色は表現されます。

特定の色の光を吸収して反射する色を限定することで色表現を行っているため、全ての色を吸収してしまえば、つまりCMYを混ぜ合わせれば黒色が表現される。
ということです。

しかしながら、先ほども記載しましたが、単体ではないので見当がズレやすく、かつ、(CMYKの)Kがない分、色もぶれやすくあまりオススメ出来る方法ではありません。
次の章でも、その辺を少し触れておきます。

オフセット印刷する化粧箱の美粧性とその特性

オフセット印刷する化粧箱の美粧性とその特性

弊社の印刷方式としては、オフセット印刷です。基本的にはCMYKのカラー4色が使われることが多いです。

CMYKとは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のことで、この配合比率を変えることによってすべての色を表現することが可能です。

理論的には上記画像のようにCMYの3原色だけでも可能ですが、実際にこの3色で黒を表現すると汚~い灰色になったり、バランスによって赤っぽい青っぽい黒になるため、また、細い線・文字等を再現するための見当の問題等から、黒は黒インキとして独立しています。

そして配合比率を変えると言っても、実際に印刷する際には、その濃度を変えるのではなく、アミ点の大きさを変えることにより、配合比率を変えて再現して行きます。(まぁ、実際には印刷濃度によっても若干の調整は可能です)

で、その『アミ点とは?』ということなんですが、文字通り『網目のような点』のことで、化粧箱に印刷された写真や人物等々をよ~く見ると(一般の方はあまりお持ちでないと思いますが、拡大率15~20倍のルーペなどで見るとより良く分かりますが)、小さな点の集まりによって再現されているのが分かります。

アミ点の再現

実に不思議です。

人物の顔・風景写真等々すべてが、このCMYKの4色の『点』の集まりだけで再現されております。

そして、この『点』の一番キレイに再現できる印刷方式がオフセット印刷なのです。だからこそ化粧箱はとても美しいのです。

このような美しい化粧箱について詳しく知りたい方は、以下の記事も読んでみてください。

美しいパッケージを作るための印刷方式について確認してみる

ただ、すべての色が再現できるとは言いますが、実際には難しい色もあります。

特に淡ーい色【薄緑・薄オレンジ・薄ピンク・・・・】の場合、CMYのほとんどが数%のということになると、紙のうえに小さな点が少しづつしかつきません。ということは、ほとんどが紙の色になってしまいます。で、その紙の色が汚ければ・・・・ということです。

*ちょっと、この部分は分かりにくいでしょうね。かつ、これだけの理由でもないですし・・・・・そもそも厳密に言うとCMYの色(インク)自体が、純粋なCMYでもないとか?

で、そんな時は特色という別練りインキを使用することでほぼ解決します。

印刷の刷り色に関して、もっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
紙箱印刷での「色表現の仕組み」や「印刷方式」などを見てみる

黒い化粧箱・パッケージのデザイン事例と高級感の演出

黒を基調としたパッケージは、消費者に「高級感」「重厚感」「プロフェッショナル感」を与える心理的効果があります。そのため、高価格帯の商品や、男性向けのコスメ、特別なギフト用の化粧箱などで頻繁に採用されます。

黒が適した商品ジャンル

・高級チョコレートや洋菓子のギフト箱

・メンズコスメ、香水、ヘアケア用品

・高級ワイン、日本酒、ウイスキーのパッケージ

・時計、ジュエリー、アクセサリーの化粧箱

・プロ仕様の工具や電子機器のパッケージ

黒い箱を際立たせる表面加工・印刷テクニック

黒ベタ印刷の魅力を最大限に引き出すには、表面加工や特殊印刷との組み合わせが効果的です。

・マットPP加工:黒ベタの上にマット(つや消し)のフィルムを貼ることで、光の反射を抑え、しっとりとした深い黒を表現できます。高級感の演出には欠かせない加工です。

・箔押し(金・銀):マットな黒い背景に、キラリと光る金箔や銀箔のロゴを配置すると、コントラストが際立ち、非常に洗練された印象を与えます。

・UV厚盛り加工(疑似エンボス):黒ベタの上に透明なUVニスを厚く盛ることで、ロゴや模様だけがツヤツヤと浮き出たような立体感を表現できます。光の当たり方で模様が見え隠れする、さりげない高級感が人気です。

黒い箱に使える特殊な原紙(黒い板紙)の紹介

これまで「白い紙に黒インキを印刷する(墨ベタ・リッチブラック)」方法を解説してきましたが、実は「最初から黒く抄造された特殊な紙(黒い板紙)」を使用するアプローチもあります。

黒い板紙(気包紙など)を使うメリット

・断面(小口)も黒い:白い紙に黒印刷をした場合、箱のフチ(断面)はどうしても紙の地色である「白」が見えてしまいます。しかし、黒い板紙を使えば断面まで真っ黒なので、より完成度の高い、ソリッドな印象の箱に仕上がります。

・紙本来の質感を活かせる:印刷やPP加工を行わないため、紙が持つ本来の温かみや手触り(テクスチャー)をそのまま活かしたパッケージを作ることができます。

黒い板紙を使う際の注意点

黒い紙には、通常のオフセット印刷(CMYK)で色を乗せることができません(インキが透けて見えなくなってしまいます)。そのため、デザインを表現するには「箔押し」や「シルクスクリーン印刷(白インキやメタリックインキ)」、「空押し(エンボス)」などの特殊な加工を用いる必要があります。

黒いパッケージ・化粧箱のよくある質問(FAQ)

墨ベタとリッチブラックの違いは何ですか?

墨ベタは「黒インキ(K)100%」のみで印刷する方法で、文字や細い線に適しています。一方、リッチブラックは「黒(K)100%」に「シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)」をそれぞれ40%程度混ぜ合わせて印刷する方法です。リッチブラックの方が、より深みのある、漆黒のような鮮やかな黒を表現できますが、見当ズレ(色ズレ)のリスクがあるため細かい文字には不向きです。

黒いパッケージを作る際の注意点はありますか?

黒ベタ印刷は、指紋や擦れによる傷(キズ)が目立ちやすいという弱点があります。そのため、黒い化粧箱を作る際は、表面を保護するための「マットPP加工」や「クリアPP加工」、「ニス引き」などの表面加工を施すことを強く推奨します。

黒い原紙(黒い板紙)の種類にはどのようなものがありますか?

代表的な黒い板紙には、「気包紙(きほうし)ディープブラック」や「ケンラン(黒)」、「GAボード(黒)」などがあります。それぞれ表面の質感(平滑さやラフさ)が異なるため、ブランドイメージに合わせて選びます。