PDFは紙箱の色校正前に役立つファイル形式です!!

PDFとは、アドビシステムズが開発した電子上の文書に関するファイルフォーマットでPortable Document Formatの略です。

私達がこのPDFファイルを利用する場面は校正段階に集中します。

印刷のデザインデータはおおよそイラストレーターで作成されたAIデータで、このAIデータは互換性が低い為(表示、加工作業出来るソフトが限られている)、木型の型図等は専用ソフトにて互換性の高いEPSデータとしてAIデータに合流させたり、我々一般作業者が閲覧、確認する為にはアドビシステムズの無償ソフト、アドビリーダー等で簡単に開けれるPDFデータが使われるのです。

イラストレーターで作られたPDFは情報量も豊富で、属性の情報やサイズまでも正確につかめ、PDFを加工修正するソフトがない場合でも、等寸出力が出来ますのでA3サイズまでに収まる台紙や小箱であれば出力紙による寸法確認まで出来るのです。

また、PDFデータ自体を加工修正できずとも、PDFデータに加筆出来るフリーソフト等で訂正指示や注意事項をデータ上に加える事が出来、まさしくPC上でのカンプ指示のやり取りが紙データーの様に行われ、メールでやり取りすれば時間短縮にもなり非常に便利なのです。

私も印刷データのやり取り以外にも、訂正・改編の恐れの少ないデータとしてエクセルの見積書をPDF化してメール送信していたり。お客様のFAXや紙面での指示等を、PDF化してメール転送すれば、指示内容がぶれることなく次の指示として伝達出来たりします。

 

紙箱の印刷デザインをデータ校了する時の色の違い。

紙箱の印刷デザインをデータ校了する時の色の違い。

「データ校正」については文字やデザインの確認には使えても色見本としては使用できません。

では、何故そうなのか?を紹介したいと思います。

~データ校正が色見本にならない理由~

1、お客様と印刷会社との色の共有が難しい。

例えばお客様が作成したデータを印刷会社に送信したとしても、そのデータを展開するモニタがお客様が眺めている色と同じ色を展開してくれるかどうかはわかりません。

これはモニタ(というよりはパソコン)の性能や状態はたまた周りの環境の状態等によってモニタの色に差が出来るためです。

そして、他の校正のように実物が無いのでお互いが同じ色を見ることができず、結果色の共有が出来ない。というわけです。

2、そもそも色の表現方法が違う。

パソコンの画面や照明等は加法混合すなわち光の3原色であるRGBの発光を組み合わせることで様々な色の表現を行います。

色を表現する方法が光を足していくことから加法混合と呼ばれます。

それに対して印刷物は減法混合によって色表現を行います。

こちらは色の3原色と呼ばれるCMYを組み合わせることで、それぞれがRGBの中から特定の光を吸収することで反射する光を限定します。

光を減らしながら色表現を行うことから減法混合と呼ばれます。

 

と、このようなことからデータ校正では色見本として使用することは難しいというわけです。

色校正にまつわる色を合わせる方法は本当に色々あります。

箱の仕上がり納期や改版時の校正方法について詳しく知りたい方は、次の記事も参考にしてください。

紙箱の色校正にまつわる話を詳しく知る

色校正が校了したら次は本番印刷。オフセット印刷の仕組みについて少し・・・

化粧箱の印刷・加工の進行

印刷方式には大きく分けて

『平版印刷』 『凸版印刷』 『凹版印刷』 『孔版印刷』

の4種類があります。

この中で、オフセット印刷は『平版印刷』になります。

特徴としては、細かなアミ点までキレイに出せるので再現性に優れており最も美粧性が高い印刷方式です。また、短時間で大量の印刷が可能であり、量が増えれば増えるほど単価が安くなること、という2点が一番の特徴として上げられます。

さてさて、ここからこの章のタイトル『オフセット印刷の仕組み』に入って行くのですが・・・まずは刷版!

オフセット印刷ではPS(Presensitized Plate)版というアルミ製の板を使用します。このPS版には元々親油性の感光剤が塗ってあり、そこに紫外線や赤外線を照射⇒現像することにより、親油性の感光剤が洗い流され、親水性の面が出てきます。

この新油性の部分と・親水性の部分とに分けることにより印刷の版となります。

・親油性部=印刷有り部分

・親水性部=印刷なし部分

【なお、これは現在では主となりましたCTP(Computer to Plate)の場合で、それまではフイルムを一度出力後、PS版上にこのフィルムをのせて焼きつけるアナログ刷版という手法でした】

そして、このPS版を印刷機に取り付けて印刷をするのですが、これはなかなか説明が難しいので、まずは下記画像をご覧ください。

① 版胴の部分にPS版を巻きつけるように取り付けます。

② 回転する際にまず水ローラーより水を付けます。
※これにより、先程、親水性にした部分に水が付きます。

③ 次にインキローラーでインキを付けます。
※この際、PS版の端から端までインキを供給しますが、

先程の水の付いている部分には、水と油の関係からインキは付かず、残った親油性の部分にのみインキが付きます。

④ 版につけたインキは、いったんゴム製や樹脂製のブランケットに一度転写します。

⑤ ブランケットに転写されたインキが紙に再度転写されます。

これが1つの胴の内部の仕組みで、1色につき1胴必要です。

ので、カラー4色(CMYK)の印刷をする場合は、4つの胴を通さないといけません。

これが、オフセット印刷の仕組みですが、分かりましたでしょうか?

 

ちなみに『オフセット』という言葉の由来は・・・

ブランケットにいったんインキをうつし移し(Off)、そのブランケットを介して印刷用紙に転写される(Set)ことから『Off Set = オフセット』と呼ばれるようになりました。

色校正の事について、長々と書き連ねましたが、印刷するにあたって、基準となる色見本を正確に作ることが、本番での色のブレを少なくする最良の方法です。

内容によっては、確認事項をディスプレイだけで済ませることが出来る改版のデータ校正もありますが、初版での校正にはやはり本紙校正、ないし簡易校正が必要となります。

お客様の印刷立ち合いにおいても、勿論この色校正が基準となるます。

御納得のいく色を、効率よく、費用を大きく掛けずに素早く作成することが、紙箱制作の重要なポイントとなります。