化粧箱の最少ロット制作数はどれ位?今回はお客様によく言われる、”最少ロットでお見積もりお願いします”についてお話したいみたいと思います。

そもそも、最少ロットとはどれ位のものなんでしょう?

お客様の感覚でも変わるのですが、100個位で考えておられる方もおられれば、500個位だろうと思っておられる方、印刷物なので1,000個位は必要だろう・・・はっきり言ってマチマチです。

大きな前提として、当社はオリジナルパッケージの制作がメインでありますので。

規格寸法を持ち合わせて、それを在庫販売するような形態はとっておりません。
一からの設計、お客様のオリジナルデザインを印刷し、設計した木型で抜きあげ、貼り加工をする。一品一様の化粧箱を制作する事が殆どなのです。

WEBからのお問い合わせで、規格箱のイメージで50個欲しい、100個欲しい、というご要望が多くあり、作れなくはないのですが・・・量産し在庫している箱に比べて、単価も上がりますし、製版代や木型代の初期費用も掛かります。

勿論、オリジナルの化粧箱を作成しようと考えれておられるお客様も、新商品で売り上げが予想出来ないので、初回制作は最少ロットで押さえたいと考えておられる方が多く、その場合の最少ロット・・・化粧箱の制作の最少ロットの仕組みについて話をしてみたいと思います。

化粧箱をオリジナルで、少しだけ作りたい!という方は、こちらの記事でよくある疑問にお答えしているのでご覧ください。
コストを抑えてオリジナル化粧箱を作る方法を見てみる

 

最少ロットとは?

最少ロットとは?
極端な話、最少ロットは1個からでも可能です。

ただ・・・、単価が跳ね上がります。

それは、印刷紙器の加工賃設定にあります。

パソコンのプリンターの様に1枚出力するのに、おおよそインク代はいくらで、紙代はいくらと分かっている物は、1枚の出力でどれ位のコストが掛かるか算出できます。ただこの場合、100枚出力しても、1000枚出力しても1枚のコストはほとんど変わりません。

これが印刷紙器となるとそうはいかないのです。

それは、印刷するにあたっての仕上がり枚数確保の為の予備数であったり、機械専有のタイムチャージであったり、各工程における準備資材(印刷版や木型)が条件毎に違うからです。

先ずは印刷予備原紙枚数から言いますと、原紙の仕上がり確保枚数に対して印刷位置や色合わせの為に300~400枚の予備原紙を持ちかかります。

単純に1000枚の仕上がり確保に対して、印刷の持ち掛原紙数は1300枚位となるのです。300枚は準備必要数なのでほぼ固定で、必要確保数が100枚でも3000枚でも同じですから、ある程度の枚数を印刷しなければ予備紙の負担が大きくなってしまうのです。

次に機械専有のタイムチャージ・・・、実は印刷の世界ではこんな言い方はしません。ある程度の印刷通し枚数までは、単位枚数毎に固定費用で算出するのです。

それを台数計算という呼び方で、1500枚以上3000枚までは、例として1500枚通しの場合で1色10000円、2000枚通しの場合で1色11000円といった算出仕方をするのです。これも予備枚数と同じで、色合わせ等準備に掛かる時間はおおよそ同じだとして、少量の通し枚数だと加工時間より準備時間の方が時間がかかってしまう事もあり、ある程度の時間を予測しタイムチャージ代のように算出しないと割が合わないからなのです。

また、原紙の通し枚数が同じ加工でも、原紙1枚に何個商品を割り付けて印刷するかで印刷の刷版代が変わったり、抜き加工であれば加工工賃が変わったり、木型代などは刃の長さので算出したりもするので、割付数が多いとそれだけ費用もかかってしまいます。

これ等の最低工賃を積み上げると、ある程度の枚数(個数)までは加工賃というのは大きな変化がないのです。このことを踏まえて、次に最少ロットを決めるポイントについてお話してみたいと思います。

 

最少ロット決定のポイント

最少ロット決定のポイント
上記に書きました通り、少ないロットの紙器加工は固定加工賃の積み上げになっていく事が多い為、最少ロットを考える場合には無駄が少なくて済む、経済最少ロットを割り出さなければなりません。それには機械的に印刷加工可能な大きさを知る事も大事なのです。当社自社設備内では、最大710×1015㎜位の原紙であれば加工可能なのですが、最少ロットの場合大きい方より、小さいほうが重要なので最少の印刷は協力業者さんの力も借りれば、275×400㎜という小さい原紙も加工可能です。なぜ小さいサイズが必要かというと、割付数に関わるからなのです。

多くの面付をすると、同じ原紙加工数でも多くの商品が出来上がります。

大きなロットを考える場合は、この割付数をどの様に増やすかで、効率のよい単価をはじき出せるのですが、最少ロットの場合は出来るだけ工賃ロスの少ない経済ロット数を考えなければいけないので、小さい原紙の加工が必要となってくる場合も出てくるのです。

当社の見積算出は一般的なものだと、印刷加工の台数計算は1500枚から始まります。
これは、1枚印刷しても、1500枚印刷しても固定の例えば1色10000円とします。

すると、1枚の場合の単価は10000円/枚、1500枚の場合は6.66円/枚となるのは明白で、固定数量の上限いっぱいが経済ロットとなります。

見積算出するならば、予備数も含んでの事となりますので予備400枚、仕上がり確保数1000枚で、持ち掛原紙1400枚位が経済ロット数となり、面付が2面付だと、1000枚×2面=2000個が経済最少ロット数となります。

これは、抜き加工も1~4面付までが最少面付数で工賃が変わりませんので、同じく経済ロット数と言えます。

同じ計算でいくと、1面付の経済最少ロット数は1000個ということになります。

どちらの場合も、それ以下のロット数で加工は可能なのですが、箱の制作の総費用として、原紙必要数の減少分しか落ちてこないので、単価にしてしまうと大きく上がってしまう事になります。

見積の背景には色々な側面がありますので、あくまでも一般的な経済最少ロット数の算出例として考えて頂ければと思います。

 

最少ロット数制作の色々

最少ロット数制作の色々
色々と最少ロットの仕組みについて書いてきましたが、ちょっとしたテクニックなどを・・

印刷費用は印刷代金と刷版費用を足したものになるのですが、表面加工としてニスを選んだ場合も同じ費用がかかってきます。その場合、通し枚数にもよりますが、最低通し枚数の設定が低く、通し工賃が数量によってあまり変わらない、ビニール引きの表面加工をすると、艶も耐磨性も上がるのに、価格は下がるという現象が起こる事もあります。ただこれはある程度の少ない通し枚数の時だけで、少しロット数が増えると、通し単価が変わらない分、高くなっていきます。

これは、最低工賃と通し工賃の設定が、印刷機とは違う為に起こる現象です。

またPOP等で本当に3個だけ必要で、100個も200個もいらないという場合もあります。こんな時は、色校正を行う校正機で印刷し、CADでカットするというような事も出来ます。

最少ロットについては色々な工夫があり、その時の条件によってノウハウがありますが、先を見据える事も大切です、例えば1面付にして加工していたものが、量が増えてきて加工数が増えると、1面付では効率が悪く高い箱になってしまうこともあるので、将来的にある程度の面付をしておくのも間違いではありません。

大きなロットになる様に願いながら、初期の費用は抑えたい・・・そんな悩ましいご相談があれば、是非とも当社へ!!(笑)