商品パッケージの作成に纏わる計算について②
前回、商品パッケージの作成に纏わる計算について①として、イニシャルコスト、原紙代、印刷代について、どのような計算を行い算出しているかを書きましたが、今回はその続きで、表面加工、抜き、貼り代及び諸経費の算出について書いていこうと思います。

表面加工代について

表面加工代について

表面加工の費用は機械を通す枚数で示される事がほとんどで、その単価設定は表面加工の種類で変わります。それはコートする液剤やフィルムによって価格が設定されており、後は原紙の面積に比例して単価が設定されます。

例えばビニール引きの単価ベースがAとすればL判の半才の寸法であれば、A-①円となり、それを1,000枚加工すれば、(A-①円)×1000=表面加工代となるのです。計算式としては非常に簡単ですが、液剤の違い、例えばグロスの上がる通常のビニール引きと、艶消しであるマットビニール引きでは単価が違います。

これは、マットビニールの液剤の方が材料費として高い為、当然なのですが一般認識としては、同じくらいの値段かなぁ・・が感覚かと思います。

また、艶に関しては、ビニール引き、プレスコート、フィルム貼りとグロス(=輝度)が上がっていくのですが、同様に単価が上がっていきます。これは包材の費用対効果となり、選択に悩むところでもあります。

また箔押し加工も表面加工とすれば、箔の大きさと丁付け(原紙に何個付いているか)、通し枚数で単価が設定されます。また版が必要となる為にイニシャルコストとして箔版代が計上されます。箔押し単価は印刷代と同じで枚数が増えれば単価は下がっていくのですが、ビニール引きやプレスコートといった表面加工は最低加工数を超えてからは、ほとんど単価が変わらなく、数量メリットが少ないともいえます。

抜き加工代について

抜き加工代について

丁付けされた原紙に木型についた刃を押し当てる事で、個々の形に抜き上げる作業になるのですが、こちらの算出の仕方は木型をセット、調整をする準備代と機械を稼動する工賃の合算で計算します。各加工会社により設定価格はまちまちなのですが当社では、丁付け数と通し枚数によって価格設定をしています。

準備費用としても丁付けが多い方が時間もかかりますので、その準備時間がそのまま費用に反映される形です。準備に費用がかかる(時間がかかる)のか??と思われる方もおられると思いますが、単純に刃を原紙にあてるだけが抜き作業ではなく、箱には絶対必要な罫線(折れ曲がる部分)の設定が、時間と技術が必要となり丁数が増えると、それだけ手間がかかる事になるのです。

また紙の厚みも550g/㎡を超えるものは、加工速度や機械負荷が高くなる為、割り増しになりますし、ホイル紙のような加工紙は古紙回収してもらえず、廃棄費用がかかる為、これまた割り増し料金となります。

具体例を挙げると、

ホイル原紙に4丁付きされている印刷物を1000枚(個数4000個)を加工する準備代を10,000円、工賃を通し10円/枚とすると

準備代                     10,000円
加工工賃  1,000×@10×廃棄割増1.3=13,000円

となり、合計23,000円が抜き加工代となり、1シート当たり@23となり、(1シートに4丁付なので)1個当たりの加工代は@5.75円となります。
※あくまで(例)です。実際はもっと安いですよ!(笑)

また木型も必要となりますので、イニシャルコストとして木型代が計上される事になります。抜き単価の設定も印刷と同じで、通し枚数が増えるに連れて単価は下がっていくようになっていますが、最低料金(台数計算)も設定されておりこれも印刷料金の算出と同じような計算となります。

貼り加工代について

貼り加工代について

貼り加工は、抜きあがった印刷物を罫線に沿って折りたたみ、糊付けして、圧着し、箱に仕上げていく工程なんですが、これも箱毎に設定が変わる為、技術時間料が単価となります。

大きく分けて、サイド貼り(キャラメル箱や地獄底箱)、両サイド貼り、ワンタッチ底貼り、4角貼りとなり、折加工が多いほど時間がかかる為、その係数は高いものとなり、箱の展開時の長さと掛け合わせて単価設定していきます。

準備費においては設定されておられる加工業者様もありますが、当社はこの係数にて単価に組み込む形になっています。

ここでも具体例を挙げると、

展開時の長さ400㎜のワンタッチ底貼り箱を10,000個加工する場合

加工賃  40(cm単位に置き換え)×係数0.095×10,000個=38,000円

となります。1個当たりの単価は@3.80円/個となります。
※何度も恐縮ですが、、、あくまで計算例(=計算の仕方)です。

このように、長さに貼り方式で違う係数を掛ける事により貼り単価を算出しますが、ある程度の加工賃に満たない場合は、最低料金(台数計算)が設定されています。

その他諸経費について

その他諸経費について

今まで書いてきた以外にも費用計上はあります。例えば仕上がった箱を定数入れる外箱(段ボール箱)、これは箱1個当たりの重量を算出して、外箱に入れる重量が、おおよそ10Kg前後になるように計算し、入り数を決めます。

したがって、大きい箱ほど紙厚もあり外箱に入る数量は少なくなる為、同じ10,000個箱を作っても、200入り1000入りでは外箱の数は50個と10個となり、梱包資材だけでも単価にのしかかる費用は上がってきますし、それに比例して、輸送コストも上がってきます。

このような諸経費は細かく設定すると、各工程ずつに発生するものもあり、それを全て単価計上してしまうと、そこそこの金額になってしまうのですが、当社は小さいながらも、印刷から抜き、貼り工程までの一貫生産を行っている為、トータルコストとして算出することが出来、強みとなっています。

2回に分けて、商品パッケージの作成に纏わる計算について書き連ねました。

各工程において、設定の基準があり、その基準に対して係数を掛けたり、生産数量を掛け合わしていき、見積もりを作り上げていきます。

よくお問い合わせで、大体の値段を教えて欲しいというご要望を受けるのですが、それは本当に大体で、商品を入れる箱としてしっかりとしたお考えをお持ちなら、是非とも、内容物の大きさ、重量、箱形状、原紙選定、色数、表面加工の種類、見積り数量をお知らせ願いたいのです。

ただ、今まで箱を制作した事がなく、右も左も分からないという場合は、是非ともお気軽にご連絡、ご相談してください。

お客様の要望を聞きながら、箱の仕様について細かく設定さして頂き、満足のいく化粧箱をご提案させていただきます。