商品のパッケージを作成するのに見積書を作ります。
この見積書は商品単価と、新版であれば初期費用が算出されています。
お客様は、その費用がどれくらい掛かるのか?、安いのか高いのか?を見積書から考えますが、その価格というのはどのように算出されているのでしょうか。
お客様が指定される仕様に基づいて算出される見積書ですが、その計算の仕組みを知っておられると、コストダウンにも繋がりますし、コストパフォーマンスも上がるのではないかと思い、今回は見積りされる価格がどのように算出されているかについて長くなりそうなので、2回に分けて書き綴ってみようと思います。
イニシャルコストについて
新版で箱を作成する場合、初期費用がかかります。仕様によっても変わりますが、一般的にイニシャルコストして掛かる項目を挙げていくとデザイン費・・・自社でデザインされる場合は社外費用としては掛かりませんので、内部作成の場合は考え方によっても異なりますが、外部委託されると当然デザイン費として上がってきます。
この価格は、計算式ではなりたたず、概ねデザインするに当たっての時間が一つの目安となり、何案必要か、その訂正は何度あるのか等で算出していくのでしょうが、デザイナーさんによってその価格はマチマチで、ある程度の予算を打診してから委託する事が多いのが現実です。
製版代・・・・デザインされたものに対して、印刷機にかける版を作成する費用で、箱の場合はデザインに対し塗り足し(嵌め合わせの部分に加工上隙間が出来ないように手を加える)をしたり、木型図面通りに丁付けをしたり、色確認の為に校正を出す作業代が製版代となります。
デザインデータの加工費用は時間計算となる事が多く、色数、丁数で計算し、校正費用は色数、大きさで算出します。
勿論、訂正の回数が増えればそれだけ費用もUPしてしまいますので、当社の見積り提示の金額は、デザイン内容の訂正(文言や写真差し替え等)は無し、色校正提出は1回という事を明確にして提示いたします。
木型代・・・・丁付けして印刷された原紙を、形通りに抜き上げる為に必要な刃型で。これは大きさと形状、丁数で算出します。
大きさは展開寸法をベースとして、キャラメル式の形状やワンタッチ底貼りで、係数が決まっており、それを掛け合わせていくのですが、例として展開寸法が200㎜×100㎜でキャラメル式係数15、丁数4個の場合は、(200+100)×15(係数)×4(丁数)=18,000円(木型代)となります。
これに丸穴等があれば穴数に対して穴単価を掛けて足し算をしていきます。また穴落しの為の落丁木型が必要であれば、更に加算していき、木型代を算出していくのです。
初期費用として掛かるものなので、再販時には必要ないですが、ロングセラーの商品になると、途中で刃の磨耗で切れが悪くなったりすると、刃替え等の必要が出てきます。
その他初期費用としては、加工仕様で増えていくのですが、箔押しがあるのであれば箔版代、版がある水性コートやUVコートで在れば樹脂版代等、版に纏わるものは全て初期費用として版代が掛かり、加工頻度により消耗品として作り変えていきます。
原紙代について
原紙の価格は、品種、紙厚、サイズによって算出される事が多く、基本的には重量販売となり、必要原紙数の総重量が価格となるのですが、加工紙(ホイルを貼り合わせたり、グラビア印刷でパールや色付けを原紙の段階で加工してある原紙)などは、1枚いくらの枚単価となっています。
これも例に挙げて説明してみると。
コートボール150円/kgで、800×1100㎜の大きさで100枚で35Kgの紙を、2500枚(25R(25れんと読み1R(連)は100枚の事))を買った時の原紙代は、35Kg×25R×150円=131,250円となります。
原紙代は単価要素で大きな比率を持ちますので、品種や厚みの選定は商品単価に直結します。このことから、パッケージを設計する際に、商品自体がどの価格帯のもので、どういう販売展開を繰り広げるかで品種を決定し、強度的にどれくらいの紙の厚みを持たせるかを正確に把握しなければ、原紙代は高くなってしまうので、正確に慎重に選定しなければなりません。
印刷代について
印刷代の仕組みは印刷枚数と、色数によって決まります。
4色+ニスの印刷で、4800枚を印刷する場合は、1色の印刷代が5円/枚とすると、ニスは1色計算になりますので、5色×5円×4800枚=120,000円が印刷代となります。※あくまで計算例です。実際の価格は。。。。。もっと安いですよ(笑)!
ただ細かく設定しなければならない事もあり、例えば原紙寸法で大きいものと小さいものと印刷代が同じであれば、使うインキ料が少ないのに価格が同じになってしまうので、当社では大きい寸法と小さい寸法の2段階で価格設定をしています。
また、色数についても、全面ベタ色でも1色、小さいロゴマーク1つでも1色では、割りが合わない為、ベタ色の場合、その程度に合わして1色分の1.5倍や2倍の係数を掛けて算出いたします。
また印刷するにあたって、準備をする時間は5000枚加工するのも、400枚加工するのも同じ時間がかかります。この時間は加工数量と比例して原価率が下がっていくのと同じな為、加工数量が多くなれば1色あたりの単価は下がっていく仕組みになっているのです。
逆に印刷枚数が少ない場合は、準備時間の原価比率が上がってしまう為、ある程度枚数までは固定費用として算出するのが一般的です。
この計算で行くと、例えば800枚加工するには1色固定費10000円とすれば5色印刷の場合 5色×10000円=50,000円となり、この計算の仕方を1台あたりの加工賃、台数計算と呼びます。※あくまで計算例です。実際の価格は。。。。。もっと安いですよ(再)!
この様に、印刷代の基本は加工時間とインキ料で設定されているのです。
今回はイニシャルコストから印刷代までの計算について書きましたが、次回は、抜き加工代、貼り加工代について書いてみたいと思います。
次回の記事はこちらからご覧ください。
抜き加工代・貼り加工代等の算出の仕方を知る
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