箱の折り目の罫線/思わぬ落とし穴!

「折り罫」という言葉を聞いてもピンとこない方が多いでしょう。

印刷業界にいると常識だと感じてしまうほど当たり前に使う言葉ですが、一般的にはそうではありませんよね。

今回は、「折り罫」という言葉の解説と、当社で実際にあった折り罫にまつわる不具合改善の事例を紹介します。

ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

折り罫とは?

箱の折り目の罫線ってどういうもの?
折り罫とは化粧箱を組み立てる際に折り曲げる箇所に入っている線押しのことです。

これがきちんと入っていないと組み立てるのに困る上に綺麗に組み立てられません。

基本的には折り曲げるところには『罫』、切り離すところには『刃』を入れておくことで、用紙から展開形状を抜き出すだけではなく、折り目の罫線も一緒に入れることが出来るようになっております。

化粧箱の製造は、お客様方から聞くところでは「切って、折って、貼って」というイメージなのだそうですが、この「切って」の時に一緒に折り目をつける、これが「折り罫」というわけです。

【実例】折り罫で失敗すると化粧箱のフタが開いてきてしまう!?

以前「化粧箱のフタが自然に開いてきてしまう」という相談を受けました。

該当のその箱の形状は、いわゆるキャラメル箱でフタには差込ロックも付けてあり、比較的簡易なロックとは言え、勝手に開いてきてしまうことを防ぐタイプのつくりでしたので、これは何か原因があると考えられました。

設計のミス? それとも抜き型(木型)を作る際に何か失敗でも?

いいえ、該当の案件は当社での最初の製造から何年も経過しており、それまでにも同じ抜き型を使用して幾度となくリピート製造もさせていただいている案件でした。
設計や抜き型作成時のミスというわけではなさそうです。

原因を探り、解消しなくてはなりません。

折り罫には適した太さがあります

箱の折り目の罫線 適した太さがあります
ご担当者の方曰く、「くっきり折って組み立てればほぼ大丈夫なため不良品とまでは言えないが、セット作業時の手間やストレスから何とかしたい」とのこと。

セット作業をする方達からの「開いてきてしまう」との声も以前はなかったが、数回前のリピート製造あたりから挙がるようになったとの話も聞けました。

いただいた情報を基に、抜き型の耐久性としては問題なくとも何か歪みが生じた可能性、等々色々な点からあたってみると果たして原因は判明しました。

その原因とは、折り目の罫線の太さにあったのです。
『罫』にも紙に適した太さというのものがあり、 厚い紙には太い『罫』、薄い紙にはそれより細い『罫』を入れることで折り目は綺麗且つ折り易く仕上ります。

反対に、例えばもっと厚い紙用の太い『罫』が入っていたりすると、組み立てる際に折り易くはあっても、折れる位置(線)は力の入れ方次第で線の太さの範囲内で微妙に前後してしまうことになります。

その微妙に前後した折り目によって、組み立てた際にモノによって差込のロックが外れ易い状態が発生しておりました。眼で見て判らない程のコンマの差が組み立て後の化粧箱毎に出てしまっていたのですね。

折り罫の部分の不良のことを「罫割れ」といい、クレームに繋がってくるものです。

そのほかの化粧箱のクレームに関する専門用語はこちらの記事で紹介しています。
>>打ち抜き・印刷・貼りの工程で発生するクレームについて知っておく

折り罫の太さが変わってしまった原因

実はこの化粧箱、大きさの割に奥行きのない薄型形状をしているため比較的組立てにくく、そのため少しでも組み立て易くするためにと数回前の製造から紙の斤量を一段階落とした(=厚みを薄くした)ということはありました。

しかし落す前と落した後の用紙斤量では本来同じ太さの『罫』を使用する範囲内であり、このような問題は通常起き得ないのです。

ところが、古くは更に厚い紙を使用していたか組み立て易くするためだったのか、当社へご依頼いただくようになるよりずっと以前からその化粧箱については一つ上の太さの折罫が使われていたという経緯があり、そこに重ねて先の用紙斤量変更があったために、「影響がない程度の非常に微妙な差」がそうではなくなってしまったという事も判ったのです。

その時のご担当者様も知らない、もしかすると10年以上をかけての変化の中で起きてしまったことでもあり、お客様が原因に気付くことが出来るような内容ではありませんでした。

折り罫以外の箱の困りごともお任せください

用紙斤量変更時は確認を忘れずに!!
先の件は、原因が判明したことでその後、用紙に合わせた折り目の罫線で新たに抜き型を作成することで問題はきれいに解消され、現在もリピート製造されております。

原因が判ってしまえば、問題の解消も簡単なことではあったかも知れません。

でもコレ、よく考えなくとも大変なことですよね。たとえば店頭に並んでいるうちにパッケージのフタが開いていってしまう、そんな恐ろしい状況が簡単に想像される事態ではあります。

コストダウンやイメージチェンジ、限定版発売のためなど、同じ抜き型を使用して用紙や用紙斤量を変更すること自体はままあることでもあります。問題が起きる前によくよく留意して、検証しておく必要はあるかと思われます。

このように、パッケージに関するお困りごとも受け付けていますので、なにか気になることがあればお気軽にケイパックまでお問い合わせください。
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