
先日、あるギフトボックスの見積もり依頼がありました。
形状は当社HPにあるところの【蓋・身 式組立て箱】でしてギフトボックスとしては一般的な、よく作るタイプのものでした。
そして最初のお打ち合わせの際に、これまたよく聞くワードが出てまいりました。『商品も発売日も予算も決まっているから可能な限り【安く】作りたい。』ということです。
安く作る…。言うだけなら一言で済みますが実際どうすれば安くできるのでしょう?
この話題はお客様の関心の高いことでもあるため当ブログにおいても折に触れて様々な方法を紹介しております。
直近のもので言えば【オリジナルの箱を作成依頼するときの小技】という記事で費用に関わる様々な内容を紹介いたしております。
代表的なものは印刷の色を減らす、表面加工を光沢感や表面保護効力の低いものにする。
あるいは紙の厚みを薄くする、横底貼り箱からサック箱にする。あたりかと思います。
もちろんこれらの方法を取ると少なからず箱への付加価値や作業性などが低くなりますが、そこは価格と品質を天秤に掛けられて、より良い方を選択していただく必要があります。
さて、簡単に代表的な例を紹介しましたが、これらは加工段階における部分での安くする方法といえます。
ではもっと根本的な部分で安くするための方法はあるのでしょうか?
今回はその辺りを紹介してみたいと思います。
【ギフトボックスをなるだけ安く作るために~形状を変更する~】

冒頭にて例としてあげましたし、一般的な形で想像しやすいことから【蓋・身 式組立て箱】を前提に話を進めます。
この箱はギフトボックスとしては本当によくある形状で、お店を覗けばほぼ間違いなく見つけることができるでしょう。
さてこの形状ですが、その名の通り「蓋」と「身」の2パーツに分かれていて、それぞれが高さにあたる箇所を折り返す構造になっております。
組み立て方としては高さにあたる箇所(=側面)を折り返して、この側面4ヶ所を、各々が接する”角(かど)部分”を組み合わせることで箱の形にします。
そのため展開図としては高さが60㎜の箱ならば、側面に使用する紙だけで60㎜×4で240㎜も使ってしまい、しかも、天地方向も・左右方向も両方240㎜づつ必要で使用する紙の面積が大きくなります。
紙の仕入れ賃は、紙重量×紙単価×枚数で決まるため →→→ 面積が大きくなる=重量があがる=原紙代が高くなる=単価が上がる。です。
ということでこの形式を変えて紙面積を小さくしましょうというのが、ここでの話です。
その方法として蓋と身を一体型にするというものがあげられます。
これならば高さの折り返しが無くなるのでそれだけ紙の面積が小さくできます。
また蓋と身がくっついているため在庫管理という面や資材の移動ということにおいても蓋・身 式組立て箱よりも優れているといえるかと思います。
しかし、これには当然ですが問題点があります。
それは「フタ」部分の高さの折り返しを無くしたことです。
紙の面積が小さくなり折畳みやすくもなりますが、「フタ」部分の高さにあたる部分の紙が1枚分しかないことや、天面自体は同じ1枚の紙でも、四方にシッカリした側面が付いていないことで強度が弱くなることです。
そのため事前にサンプル作成をするなど、その強度が使用に耐えうるかしっかりと確認する必要があります。
(もっともこれは蓋・身 式組立て箱でも同じことですが)
【ギフトボックスをなるだけ安く作るために~高さを短くする~】

蓋身一体型にすると強度が弱くなるのであれば、やはりそこは維持したい。
しかし安くもしたい。
であればもっと単純な方法でいきましょう。
それは、掲題の通りギフトボックスの高さを短くするというものです。
とはいえ中身ありきのことですので好き勝手小さくできるわけもありません。
とりわけ商品を入れる身は、そうそういじれるものではないでしょう。
ですが、蓋ならばどうでしょうか?
こちらは被せているだけなので多少小さくしたところで箱としては問題ありません。
仮に10mm縮めれば、折り返しで計4箇所が10mm縮むことになりますので合計で40mmになります。
これが20mmならば合計で80mm展開図が小さくなります。
こうして縮めた分だけ紙面積を縮めることができれば、
強度を維持したまま単価を下げることが可能になります。
『蓋が底に届いていない箱なんてあるの?』
もしかしたらそう思われるかも知れませんが試しにギフトボックスが陳列されているところを見て下さい。
まあ見つかるはずですよ。
それらの全てが価格的な理由とは言いません。
見せ方としてあえて選択されていることもあるでしょう。
しかし安く仕入れられるということもそういう形になっている一因なのでは?と思う次第です。
【ギフトボックスをなるだけ安く作るために~逆に?~】

最後はギフトボックスを作るにあたり、あえて箱の仕入れ単価を高くして合計費用を安くしようという形式を1つ紹介します。
それは形状ほとんどそのままに両サイド貼りを行うというものです。
簡単に言うと高さにあたる部分の長い方を折り返して糊貼りします。
こうすることで組み立てる際の手間を軽減できます。
また、形状がほとんど変わらないということからも分かるとおり強度に関しても同程度のものが出来上がることも利点と言えます。
そして箱としての仕入れ単価が上がっても、手間が軽減したことによる組み立ての費用が下がれば総合的にはむしろ安く箱を作れることにもなりえるということです。
一口に安くといっても、このように様々な方法があります。
どれがその商品にとって一番良い方法なのか。
思いをめぐらせ、提案するのも我々の大事な仕事だと思います。
そして箱を作ろうと考えられている方も是非、提示された見積もりや製造方法以外にも何か無いのかと聞いてやって下さい。
案外もっとあなたの希望に沿った加工方法が出てくるかも知れませんよ(笑)