オリジナルパッケージ:製造中に気を付けること【vol.2】

 
さてさて、前回『オリジナルパッケージ:製造中に気を付けること【vol.1】』として、『(印刷のために、そもそもなくてはならない)パルプって?』や『版傷』について、ご説明させて頂きました。

さらっと、おさらいをしておくと・・・

印刷用の原紙は、主に木材から製紙に必要ない余分なもの取り除き、繊維質だけを取り出したもので作成します。が、現在では木材だけではなく、サトウキビや竹、1年草のケナフ等からもパルプを抽出し原紙原料として利用されているということでしたね。また、他のパルプで製紙する場合でも大多数は木材パルプを混ぜて製造されており、重量比率で10%を超えると非木材紙として認定を受けることが出来るのということも解説させて頂きました。

また、クレームの原因となる『版傷』なるものが、どうして出来るか?また、キズが付いた時にはどうするか?というようなお話もさせて頂きました。

ので、まだご覧頂いてない方は、まずはこちらから詳細をご確認下さい。

ということで、今回はその続きです!

印刷時に気を付けること~~温度と湿度~~

印刷時に気を付けること~~温度と湿度~~

印刷時において気をつけることで、これまたお客様の側においてどうのこうのという話ではないのですが(汗)印刷現場の温度と湿度が印刷に与える影響についてということで、お付き合い下さいませ。

さて、前述の通りオフセット印刷は水とインキを使用して印刷しているのですが、滞り無く印刷するためには水にもインキにもある程度の流動性が求められます。
水は通常の水よりも流動性が有り表面張力の弱い水、湿し水、を使用することによって水の盛り上がりを平坦にしてインキの乗る印刷部分とそれ以外との境界線をなめらかにします。

また、インキは現場の温度を一定に保つことで(25℃前後が良いとされています)流動性・粘度を出してトラブルの起こりにくい状態にします。

しかし、いかにエアコン等を使用し、極力外気温を入れないようにしてもどうしても夏場は温度が高くなりますし、冬は低くなります。さて、そうなるとインキの粘度が高くなったり低くなったりするので夏場と冬場に同じ感覚で同じ商品を印刷すると色の差があったりするので注意が必要です。

また、印刷後のインキの乾燥についても当然ながら温度が高い方が早く乾燥するので冬場に急ぎの仕事で印刷した翌日に表面加工やトムソンに回したらまだ乾燥していなかった!なんてことも起こりえます。怖いですね。

次に湿度ですが、こちらは50~60%が良いとされております。

湿度は高くなりすぎると紙に吸収される水分が多くなりますので、あまりに水分を吸収しすぎるとインキの乾燥が遅くなることはもちろん、紙の腰が無くなり、伸縮が大きくなりますので見当ズレなどのトラブルにも繋がります。

逆に湿度が低すぎると紙と紙の間で静電気が発生して1枚ずつ紙を印刷ユニットに送らなければならないのに2枚送ってしまうこともあります。これらもエアコン等で管理をしますが、どうしても夏場は高く・冬場は低くなりがちです。

ちなみにUVインキの場合は紫外線を照射することで速乾させるので、逆に紫外線を浴びない限りは乾燥しないので油性インキほどには湿度に影響されません。ただ流動性は油性インキよりも高いので温度が上がりすぎには油性インキよりも気を配る必要があります。

製造手配時に気を付けること~~割付方法~~

製造手配時に気を付けること~~割付方法~~

さてさて、次はやっとお客様側においても少しはお役に立つことを(笑)

キーワードは“小ロット”です。
(少しは興味がありそうな話題ではないですか?)

ではでは、ちょっとした工夫で小ロットのコストを抑える方法をお話したいと思います。

先ず小ロットではあまり多くの面付をするのは、イニシャルコストとなる木型代が高くなるというデメリットがありますが、多面付にしなければならない場合もあります。

例えば台紙の場合、同寸法の多品目小ロットの場合は1品目毎に印刷をしてしまうと膨大な台数計算の足し算になってしまいます。かといって品目の数だけ木型を丁付するとコストが上がってしまい効率が良くありません。また表面加工において小さい原紙で薄いものだと加工が難しく、プレスコートやブリスターコートの場合は、ある程度の原紙寸法が必要となります。

こんな時に”胴割”という技を使って工夫をします。

胴割は技・・・というほどのもんでもないのですが、例えていうと原紙寸法が600×400mmで加工するものを、印刷、表面加工を倍のサイズ600×800mmで加工、あとで半分の600×400mmに断裁して加工していく、要は印刷したい物を2倍にして抜き加工以後を半分に割って必要原紙寸法にする技です。もちろん同じものを2つ付けて割ってもいいですし、同寸法であれば左右違う品目を面付けてもOKです。

ただ抜きあたりの精度が断裁により微妙にズレることもあるので、断裁後の右左は別に分け、抜き加工には微調整が必要となります。

また同割の出来ない大きな寸法の場合は、一貫製造の当社だから間違いの少ないコストの掛からない方法もあります。それは木型が2丁付で同寸品目が4種だった場合、印刷は2品目各1種付の2丁付で2台分を印刷した後は、抜き、貼りとも4品目を同時に加工してしまえばコストが抑えられるという事になります。もちろん、別加工所の抜き、貼りでも同じことが出来ますが、異品目混入の指示や防止は、同じ社内での方が伝達も密で、トラブルが起こりにくいとも言えます。

最後に・・・ちょっとした工夫をもう1つ

ちょっとした工夫

先程の“胴割”という、ちょっとした工夫をお話しましたので、もう1つちょっとした工夫についてお話させて頂きます。

玩具や化粧品や様々な製品に、遊び方や、注意事項・使用方法などが記載しないといけないものが多いですが、普通はパッケージの中に商品と同梱で、取り扱い説明書や能書と言ったものが入っております。

しかし、中にはパッケージの内面に印刷されているものがあります。もちろんそのためには、箱にミシン目が入っていて、簡単に展開出来るように出来る工夫が必要です。

この中面に1色印刷すること & 簡単に展開できるようにミシン目などをいれておくこと という工夫を施すことによって、コスト面でメリットがあると思います。

というのは、化粧箱を製造するコストは、印刷面が両面になることで上がりますが、別途に取り扱い説明書を作る費用と商品と取扱説明書を同梱するセット費用を考慮すると、トータルコストでは、コストダウンが出来るでしょうということです。

ただ・・・どちらが、お客様にとっていいのかは受け取り手によるところが大きいと思いますが。ので、その辺はよく考慮する必要はあるかと思います。