印刷について
印刷とは、文字,図,絵,写真などの原稿をもとに印刷版をつくり、印刷インキなどを塗布して紙などの被印刷物に押しつけ、機械的且つ大量に複製するお仕事です。
印刷にもその種類はたくさんありますが、当社で行っているのは平版オフセット印刷です。版とブランケットが接触し、ブランケットに転写されたインキが、用紙へと印刷されていきます。版が直接紙に触れないことから胴の磨耗が少なく、非常に鮮明な印刷が可能です。この“版から一度剥がして用紙に再度付ける”ところから、オフ・セット と言われるようになりました。
この仕事の面白味は、何と言っても「色を作る」こと。お客様の要望にあわせて、どの色とどの色を混ぜれば要望通りの色が作れるか? それはあなたのセンスと経験次第!
当社ではコーターと呼ばれる印刷機械のインライン上で表面加工ができる装置が付いているUV印刷機を有しており、高品質の印刷物の要求にも十分に応えられるパフォーマンスがあります。
それでは、実際の仕事の流れを見ていきましょう。
印刷加工作業前確認
印刷加工に入る前にまずやるべきことは『指示通りの加工を進めるための状態』を作ることです。
Aという商品の加工をしなければいけないのに、Bという商品を加工してしまってはどうしようもありません。
だからこそ、次にやるべき対象商品の確認をする必要があります。
そして、加工対象商品の確認が取れれば、製造加工指示書を元にその対象商品の材料である原紙と原稿の確認を取ります。
作業指示書の確認
当社では朝一番にその日に作業する製造加工指示書を各印刷加工オペレーターに配布いたします。
状況の変化により加工機械を変更することもありますし、予定になかった商品を追加を加工をすることにございますが、原則として朝1番目の加工作業から最終の加工作業までを予定通りに順番に進めていきます。
各印刷加工オペレーターは配布された製造加工指示書を確認し、対象加工商品の原紙がラインにあるかどうかを確認します。
原稿と原紙と刷版の照合
製造加工指示書を元にまず確認しなければならいことが『原稿』です。原稿とは受注した商品を製造するために加工を進めていく上で正確に加工するための見本となるものです。原稿は商品の加工がスタートする1番目の加工から半製品状態の加工物と共に付いて廻るものですが、多くの場合、印刷加工工程はその1番目になることが多く、原稿は製造指示書や刷版(印刷するときに使用する版)と共に手渡しされます。
製造加工指示書と原稿を元に原紙は間違っていないか、版は間違っていないかを確認します。
印刷加工準備
原紙と刷版が間違っていないことが確認できると機械を本稼働させるための準備を進めていきます。
刷版のセット
刷版を印刷加工機にセットします。
刷版のセットのポイントはセットするユニットの位置を間違えないことです。
例えば、5色の印刷をするときには5つの印刷ユニットを使用するわけですが、版をセットするユニットを間違ってしまいますと、全然違う印刷物になります。
当然ですよね。黄色を印刷しなければならない図柄のところに青色が印刷されてしまうと全然別物になってしまいます。
赤色の郵便ポストを印刷しようと思っているのに黄色の郵便ポストが出来てしまうと変じゃないですか。
機械調整
刷版がセットできれば機械を本稼働させるための調整をしていきます。
予備紙を機械に通し、印刷されて出てきた状態を確認して「何が不足しているか」「どこに手を加えなければいけないか」を判断し適宜機械の調整をしていきます。ここの調整作業が印刷加工オペレーターのメイン作業になります。
主に何の調整をするかと言うと大きく分けて3つ。『傷・汚れの確認』と『色目の調整』そして、『インキの濃度』です。
傷・汚れの確認作業は主に刷版の状態の確認です。版そのものに傷や汚れがあると、そのまま印刷図柄と認識して印刷されてしまいます。
なので、印刷の初動で印刷物を見ながら版の傷・汚れの位置を確認し、刷版に実際にある傷等を1つ1つ除去していきます。
版を直接見て判断すれば良いのではと思われるかもしれませんが、刷版上での目視確認はほぼ不可能で傷を完全に除去しきることはできません。なぜなら、版そのものの色が非常に判別しにくい状態(色の同化)にあるからです。
その他には印刷時のインキ飛びや水回りの調整不足による汚れ等が発生したりしますがこれも初動で修正可能な場合は修正しますし、稼働中も適宜チェックする項目であります。
次に色目の調整ですね。印刷の基本色は色の4原色と言って黄(Yellow)・赤紫(Magenta)・青緑(Cyan)・黒(Black)を使用しますが、(※この4原色がカラーです。)当社はパッケージ(印刷紙器)に特化した印刷がメインで、その多くは特色と言って特別な色を作り上げて印刷するという作業が多いです。
この特色のインキを作り上げる作業が当社の職人のスキルであり、他社との差別化が出来る点でもあります。見本となる色を目視で確認しながら実際に同じ色目のインキをその場で作っていくのですね。
当然のことながら、この色目の調整の精度が低ければ低いほど見本とは程遠い印刷物が出来てしまうという事になりますので、ここの調整はより100%に近い印刷をする上で重要なポイントとなります。
この色目の調整の精度が高いことで印刷物のデザインをされたデザイナーの方や実際のクライアント様から喜んでいただけるというわけです。
最後にインキの濃度の調整です。インキの盛り加減やインキ壺の調整を行うことでインキの出る量を調整し、濃度を安定させます。
インキの濃度の調整は微妙なバランスが必要で網点の大きさによって(網点とはインキを転写する時の配分を決めたものでパーセンテージで表します。単純に100の領域に50しかインキを載せない状態を網点が50%とし、見た目は100%で見た状態と比べ半分の濃度の見た目となります。)盛り過ぎれば網点が潰れてしまいますし、(網点が潰れるとは実際のパーセンテージよりも高い状態でインキが転写されてしまう状態のことを言います。)インキの供給量が少なすぎると、実際の網点よりも低いパーセンテージで転写されてしまったりしてしまいます。
この時の調整方法としては、申し上げました通り、インキの盛り量、排出量で決まるわけですが、それだけでは目標とする印刷表現にならない場合はインキの粘度(インキの柔らかさ)を調整することで目標に近づけます。
本稼働前チェック
調整が終われば機械を本稼働させる前に、製品の加工状態の最終確認をします。
良品として万全な状態に加工できているかどうかをここで隅々まで目を光らせます。
ここでのチェックが甘くなりますと、不具合品が発生する状態で加工を進めることになりますし、場合によってはそれが不良品としてクレームの原因となってしまいます。
印刷加工の本稼働
準備が終わればいよいよ本稼働です。
ここでのオペレーターの役割としては、準備段階でOKとした状態が最後まで保っているかどうかを逐一確認することです。
抜き取りチェック
本稼働に入れば、安定稼働になるまではこまめに抜き取りチェックを行い、安定稼働に入ってからも定期的に抜き取りチェックを行うことで印刷加工が終わる最後まで不具合品が出ないようにします。
最終製品チェック
本稼働が終われば最後のチェックです。間違いなく最後まで不具合品を出すことなく良品状態を保って加工が出来たかを確認します。
提出資料等の最終確認
加工が終われば各機械に設置されているタブレットにて加工データを入力し、製造加工指示書の記入、加工中にチェックを入れているチェックシートの記入をしてクリアホルダに収納し、次の加工作業へ進めるように整理します。
ここまでが印刷加工の仕事の流れとなります。
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