印刷やパッケージ業界でよく使われる「菊全(きくぜん)」とは、寸法が636mm×939mmの原紙サイズのことです。
ただし、パッケージ用の板紙では少し大きい「K判(650mm×950mm)」が使われることが多いため、用途による違いに注意が必要です。
この記事では、菊全判の具体的なサイズや四六判・A判との違い、そしてパッケージ発注時にコストを左右する「取り都合(面付け)」の考え方について解説します。
この記事は、BtoB製造業・パッケージ業界に強い専門編集者が、発注担当者の実務に役立つ視点で執筆・監修しています。
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菊全(菊全判)とは?意味と具体的なサイズ

菊全判の寸法は「636mm × 939mm」
菊全判(きくぜんばん)の標準的な寸法は、636mm × 939mmです。
これは日本独自の規格であり、主にA列(A4やA5など)の印刷物を作るための原紙として使われます。
印刷会社で「菊全の紙」と言われたら、このサイズの大きな紙を指していると考えてください。
チラシやパンフレットなど、一般的な商業印刷で最もよく使われるサイズのひとつです。
名前の由来(なぜ「菊」なのか?)
「菊」という名前は、明治時代に輸入された新聞用紙の商標に由来すると言われています。
当時輸入された紙の商標にダリアの花が描かれており、それが菊の花に似ていたことから「菊判」と呼ばれるようになりました。
また、新聞の「聞」の字の下半分が「菊」に似ているからという説もあります。
現在では花とは関係なく、単なるサイズの呼称として定着しています。
パッケージ業界で使われる「K判(K全)」との違い
パッケージ業界(板紙)では、菊全ではなく「K判(650mm × 950mm)」が使われるのが一般的です。
菊全判(636×939mm)は主にチラシなどの「洋紙」の規格であり、箱を作るための厚紙(板紙)にはK判が用いられます。
K判は菊全よりも縦横が少しずつ大きいため、箱の展開図を配置(面付け)する際により余裕を持たせることができます。
印刷会社との打ち合わせで「菊全」と言われた場合、板紙の文脈であれば実質的に「K判」を指していることが多いです。
菊全判と他の原紙サイズ(四六判・A判・B判)の違い

| 原紙の種類 | 寸法(mm) | 主な用途・特徴 |
|---|---|---|
| 菊全判 | 636 × 939 | A判サイズの印刷物に最適。洋紙(チラシ等)の基準。 |
| K判(K全) | 650 × 950 | 菊全に近いが少し大きい。パッケージ用板紙(厚紙)の基準。 |
| 四六判 | 788 × 1091 | B判サイズの印刷物に最適。最もポピュラーなサイズ。 |
| A列本判 | 625 × 880 | A判の規格サイズ。実際の印刷では余白が足りないことが多い。 |
菊全判と四六判の違いと使い分け
菊全判(636×939mm)と並んでよく使われるのが、四六判(788×1091mm)です。
四六判は菊全判よりもひと回り大きく、主にB列(B4やB5など)の印刷物を作るのに適しています。
A4サイズの冊子やチラシを作りたい場合は「菊全判」を選びます。
B4サイズのポスターなどを作りたい場合は「四六判」を選ぶのが基本ルールです。
菊全判とA列本判・B列本判の関係
菊全判は、A列本判(625×880mm)よりも少し大きいサイズです。
A列本判はA4サイズをぴったり取るための規格ですが、実際の印刷現場では、印刷機が紙を掴む部分(くわえ尻)や、断裁するための余白(ドブ)が必要です。
そのため、余白を十分に確保できる菊全判が、A列サイズの印刷において実質的なスタンダードとなっています。
B列本判(765×1085mm)に対する四六判の関係も、これと全く同じです。
菊全判と菊半裁(菊半)の違い
菊半裁(きくはんさい)、通称「菊半」は、菊全判を半分にカットしたサイズ(469×636mm)です。
印刷機のサイズや、作る印刷物の大きさに合わせて、あらかじめ半分に切った状態で使用します。
小さなパッケージや少ロットの印刷物を作る場合、菊全機ではなく菊半機(半分のサイズの印刷機)を使うことでコストを抑えられることがあります。
用途やロット数に応じて、全判と半裁を使い分けるのが印刷の基本です。
印刷業界で「菊全」がよく使われる理由

A4やA5サイズの印刷物を効率よく面付けできる
菊全判が多用される最大の理由は、A4サイズの印刷物を8枚(8面)ぴったり配置できるからです。
日本のビジネス文書やチラシはA4サイズが主流であるため、A4を無駄なく取れる菊全判の需要が非常に高くなります。
紙の無駄(切れ端)が少なくなるため、結果として用紙代を安く抑えることができます。
パッケージの場合も、展開図のサイズがA4やA5に近いものであれば、菊全(K判)を使うと効率的です。
多くの印刷会社が「菊全機」を導入している
日本の多くの印刷会社は、菊全判の紙が通る「菊全機」を主力設備として導入しています。
菊全機は、A4サイズのチラシから中型のパッケージまで、幅広い案件に対応できる汎用性の高い機械です。
そのため、「菊全サイズに収まるかどうか」が、印刷をスムーズかつ安価に行えるかどうかのひとつの基準になります。
パッケージの展開図が菊全サイズを超えてしまうと、より大きな特殊な印刷機が必要になり、コストが跳ね上がる可能性があります。
パッケージ発注で知っておきたい「取り都合」とコストの関係

原紙からいくつ箱が取れるか(面付け)で単価が変わる
パッケージのコストを下げるには、1枚の原紙から箱の展開図をいくつ配置できるか(取り都合・面付け)が重要です。
例えば、K判(650×950mm)の紙から箱が4つ取れる場合と、6つ取れる場合では、1箱あたりの用紙代や印刷代が大きく変わります。
隙間なくパズルのように展開図を並べられる設計が、最もコストパフォーマンスが高くなります。
無駄な余白(捨てられる紙)が多い設計は、環境にもコストにも優しくありません。
少しのサイズ変更でコストが大幅に下がるケースもある
箱のサイズを数ミリ小さくするだけで、原紙から取れる数(面付け数)が増え、コストが劇的に下がるケースがあります。
「あと5mm小さければ、1枚の紙から4個ではなく6個取れるのに」という事態は、パッケージ設計の現場で頻繁に発生します。
中身の商品サイズに余裕がある場合は、印刷会社の提案に合わせて箱の寸法を微調整するのが賢い発注方法です。
デザインを完全に固める前に、展開図のサイズを印刷会社に相談することをおすすめします。
「この箱のサイズ、もっと安く作れる?」と思ったら、ケイパックにご相談ください。
最適な原紙サイズと面付け(取り都合)を計算し、コストダウンにつながる寸法をご提案します。
最適な原紙サイズは印刷会社に提案してもらうのが確実
発注者が自分で「菊全で面付けしよう」と計算する必要はありません。
印刷会社は、箱の展開寸法、ロット数、自社の印刷機の仕様を総合的に判断して、最も安い原紙サイズ(K判、L判など)を自動的に選択します。
発注者として重要なのは、「原紙のサイズによってコストが変わる」という仕組みを理解しておくことです。
「取り都合の良いサイズに微調整しても構いません」と一言添えるだけで、印刷会社は最適なコストダウン提案をしやすくなります。
菊全に関するよくある質問(FAQ)

菊全サイズの紙は一般のプリンターで印刷できますか?
いいえ、菊全サイズ(636×939mm)は一般的な家庭用・オフィス用プリンターでは印刷できません。
一般のプリンターは最大でもA3サイズ(297×420mm)までしか対応していません。
菊全サイズの紙を印刷するには、印刷会社が保有する業務用の大型オフセット印刷機(菊全機)が必要です。
菊全とK判は同じものと考えてよいですか?
厳密には寸法が異なりますが、パッケージ業界の会話の中ではほぼ同じ意味で使われることがあります。
菊全判は「636×939mm」で主にチラシなどの洋紙に使われ、K判は「650×950mm」でパッケージ用の板紙(厚紙)に使われます。
板紙で箱を作る場合は、少し大きい「K判」が基準になると覚えておいてください。
パッケージの展開寸法が菊全を超える場合はどうなりますか?
菊全(K判)に収まらない大きなパッケージの場合は、より大きな原紙(L判など)と、それに対応した大型印刷機を使用します。
ただし、大型印刷機を持っている会社は限られるため、コストが割高になる傾向があります。
どうしてもサイズが大きくなる場合は、箱を2つのパーツに分けて印刷し、後から貼り合わせる(2ピース構造にする)といった工夫でコストを抑えることも可能です。
まとめ:菊全のサイズ感を理解して効率的なパッケージ発注を

菊全(きくぜん)は、A4サイズの印刷物を効率よく作るための基準となる原紙サイズです。
パッケージ業界では、これに近い「K判」が厚紙の基準として広く使われています。
「1枚の原紙からいくつ箱が取れるか(取り都合)」がコストを大きく左右するため、箱の寸法を決める際は、数ミリの調整で単価が下がらないか印刷会社に相談することが重要です。
原紙の仕組みを理解して、無駄のない効率的なパッケージ発注を目指しましょう。
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