オリジナルな紙箱 お菓子の化粧箱サンプル制作のお話

少し前のことですが、菓子箱のサンプルを4点ほど制作した話を紹介したいと思います。

①【 相談 ⇒ 提案 】

相談 ⇒ 提案

先日、商品の納品にうかがった際にお客様から相談を受けまして、内容としては・・・

「商品に貼るシールの原材料等の内容をもっと詳しく書くようにする必要が近々出てくるかもしれない。そうなると現状のOP袋のサイズでは貼れなくなる」

とのこと。そして袋を大きくして対応しようにも中身の商品のサイズが変わるわけでは無いため、またその商品も軟らかいもののため、どうにもシールを貼る作業が上手くいかなくなってしまうということだったのです。

そこで「現在台紙として使用している板紙を商品の外側を包む化粧箱に変更してシールを貼る巾をこしらえてみたい」というものでした。

ただ単価的にあまり高いものは難しい、作業性が良くないものも難しい、ということでした。これらのことから、4角貼りやトムソンの組み箱などはあまり提案しても喜ばれるものでは無いということが導き出され、箱の形式としては貼りナシで固定できるように差し込み口を用意したスリーブの形状で、お預かりした商品を包装するのに良さそうな形状を作製しました。

1つ目は、一番単純な商品の横幅に合わせた長方形のスリーブものです。

もっとも場所を取らず、包装の方法も単純で、商品をぐるっとスリーブで囲み、差し込み口にフラップを差し込み固定するというものです。ただ、側面をかばうものが何もないため商品が側面から出てしまうので、そこを中の包装袋と紐等で結ぶなりして固定する必要があります。

2つ目は、商品を四方から取り囲んで上部で固定するような形状のものです。

ちょっと説明が難しいのですが、バナナを食べるときに皮を剥く動作の逆再生をしているような状態を想像していただければ良いかと思います。これだと上部で固定するために自然と取っ手がつけらるためお客様が持ちやすいという利点があります。また、側面も覆えているため商品を固定する必要がありません。

3つ目が、1つ目のスリーブものの改良版です。

1つ目と同じく通常のスリーブものとほぼ同じ形状なのですが、側面から商品が出ないように商品を置く底側から立ち上がりの3cmほどまでを覆うように折りこみ式の側を付属させております。これは1つ目と2つ目を折半したようなもので、2つ目よりは組み立て作業が簡単で、かつ横への広がりも少なめです。

そうしてまずはこの3点を提出し、お打ち合わせを希望したわけです。さて、その結果はどうなったでしょうか。

②【 ボツ ⇒ 再提案 】

ボツ ⇒ 再提案

はい、結論から言いますと3点の菓子箱サンプル「全てボツ!」でした。それでは、1つ1つ見ていってみましょう。

1つ目のサンプルは、やはり包装袋と紐等で固定する必要があること、またその紐との固定のさせ方も先方の機械では対応できない形状であったことから、流石に手作業でいちいち紐を結んではいられないということになり、あえなく没に。

2つ目のサンプルは、商品が横から出てしまうことは無いのですがその代わりに大きく横幅が膨らんでしまうため、陳列のスペースを大きく取ってしまうことが問題点として挙がり、同じく没に。

ただ、この形状自体には非常に関心を持たれたようで、かぼちゃの形状のお菓子などもあり、そういったものに使えるかどうか、つまり他の商品でも使えるものがあるのかを見ていただけるとのことでした。

3つ目のサンプルについては、ある程度商品が横から出てしまうことへの抑えが効くことと横幅の広がりも2つ目程ではないこと、そしてさらに組立もある程度簡易であることからなかなかに良い線をいっていたのですが、それでもやはり横幅の広がりが許容できないために没となりました。

ということで、ここまで3つのサンプルをもとにお客様と打ち合わせをしている中で残念ながらすべてがボツとなってしまいました。が、色々と収穫もありました。

まず、横幅が広がることはほとんど許容できない、ということ。しかし商品が出てしまうのではもちろん困るし、かといって袋と結ぶことは出来ない、ということ。

それらから、「横幅が広がらない形状でかつ枠みたいなものを作りたい」ということとなりました。

それと、商品を販売する際に購入された方が持ちやすいように2つ目のサンプルのように上部に持ち手をつけたい、との希望もいただけました。

ということで、これらを踏まえて4つ目のサンプルの作成とあいなりました。

4つ目のサンプルは、まず基本的な形状は1つ目のサンプルと同様に長方形のスリーブものでいきます。

ここから横側に枠をつけるために腕組みを用意しました。よくケーキの箱とかについている箱のフラップとフラップを組み合わせてロックするやつですね。これならば横側に枠を用意できるとともに横幅が広がることもありません。組み合わせているだけなのであまり強度はありませんがそこはお客様のほうで腕組みの部分をセロハンなどで補強していただきます。

また、上部に持ち手をつけるための仕掛けも用意していきます。これは特に難しいものでもややこしいものでもありません、単純に組み合わさる部分の下側に持ち手を用意し、上側にそれを差し込む穴を用意するだけで大丈夫です。

さて、お客様と共にああでもないこうでもないと打ち合わせいただいている間に、ある程度完成形が見えてきました。今度はこのサンプルを作成して提出しに行きます。お客様のご希望に沿う物になれば良いでのですが・・・。

③【 形状案OK! ⇒ お見積りへ 】

形状案OK! ⇒ お見積りへ

今回は、前回までのお客様との打ち合わせの中で見えてきた改善点を踏まえて作成した、4つ目のサンプルを提出して参りました。

そして、形状案としては4つ目のサンプルで形状案としてはお客様にはご満足いただくことができました。

ここで大切なのはOKとなった形状そのものよりも、ここまでの経過の方なのだということはもうお判りいただけていることでしょう。

ヒヤリング⇒提案⇒相談(再ヒヤリング)⇒再提案

という一連の流れがあってはじめて、お客様に満足して貰える良い形状となったわけです。

私どもケイパックではこのように、日々の試行錯誤だけに留まらぬ、お客様と一丸となってのより良いパッケージ作りを心掛けております。何かお困りのことありました際には、遠慮なくお声掛けくださいませ。

さて、形状が決まれば次は実際に作製するにあたって大事な見積の提出となります。

今回は事前にある程度の製造数量と印刷などの仕様を教えていただいていたのでそれを基に、4つ目のサンプル形状での場合の御見積書も一緒に持っていっておりました。が、お菓子の箱であることもあり、単価的には少し難航しそうです。

というのも、お客様としても従来は板紙を商品の置く台紙程度にしか使用されておらず、その台紙を弊社にて製造させていただいていたのですが、台紙に置いた商品をPP袋に詰めて、それを圧着して包装~という加工だったものがまずPP袋に商品を詰めて、それを板紙の今回作ってみたサンプルでぐるっと外周を囲むという加工になるからです。

要するにまったく初めての試みのようでして、さて、そうなりますといきなり大きな製造数量で作るわけにもいきませんので普段ご注文いただける台紙の製造数量から比べて随分少ない数量での見積になっているということが1つにあり、またPP袋を小さくした場合の単価や、先に挙げた新たな加工方法による手間賃の算出などが出来ていないために、そもそも指値がまだはっきりと出ていないということも1つにあるわけです。

そのため、形状は問題ありませんでしたが実際に加工できるか否かについては、諸々の費用を精査してからということになりました。当然こんな状態ですのでデザインや細かな加工も決まっておりません。この後、上手く話が前に進んでいった際に、案外印刷の色数が少なくても良いということにもなりえますし、逆にもっと高級な加工を行うことを希望されるかもしれません。

まだ実用されるかは判りませんし、結果が出るまでには時間も掛かるかと思いますが、実際に動き出した際にはまたご報告したいと思います。

ちなみにギフト化粧箱の見積もりは高く出される可能性もあります。

ギフト化粧箱の見積もりについて詳しく知りたい方は「ギフト化粧箱製造販売メーカーの見積とたくらみ(笑)」という記事を参考にしてみてください。

オリジナルな、面白いパッケージを作るための一例にはなりましたでしょうか?