先日ネット検索をしていたところ『収斂進化』という言葉を見つけました。
いまいち聞き覚えの無いものでしたがざっと調べた分には、別のグループに属する動物が同じような環境に適応するために進化した結果、その属する系統に関わらず似通った身体的特徴を得るに至った現象を指すとのこと。
例としてはジュゴンとアザラシとラッコが上げられておりました。
試しにこの3種の姿を思い出してみてください。
その差を明確に上げることが出来る人はそういないのではないでしょうか。
しかしこの3種は全て別のグループの動物なのです。
詳しくは調べればすぐにわかるので割愛しますが少し驚かれたのではありませんか?
というより私は驚きました。てっきり近縁かと思っていたので。
イルカとサメもこの収斂進化の例にあげられます。
他にはアリクイとアルマジロなども当てはまるようです。
いずれもグループは違えど似通った姿をしていることがわかって頂けるかと思います。
…まあ何を突然妙なことを言い出しているのかといいますと、今回のお題に繋げるための前振りです(笑)
化粧箱を作るにあたってもある目的を達成するための加工方法として、違うところからスタートしたにも関わらず、同じような手段を用い同じような品質や柄を表現する加工があります。
今回はそんな加工方法の差異に触れつつ、紹介してみたいと思います。
箱の柄を表現する浮き出し加工について≪品質面≫
高級な商品によくある加工なのですが、箱の一部を浮き立たせているものがあります。
特に主張したい柄を目立たせたり高級品であること理解させたかったり、周りの商品との差別化ができたりなどが主な利用目的になるのでしょう。
実際、柄にもよりますが浮き出させている部分があると無いでは、その商品の目立ちかたは変わってくるかと思います。
さてそんな浮き出し加工の原理はとても単純です。
原紙の浮き立たせたいところの周囲を凹ませる。以上です。
そんなですので凹ませる工程を自然と組み込めるものであれば、この浮き出し加工を行うことが出来るわけでして、それはトムソンと箔押しの工程になります。
箔押しは熱と圧力によって金や銀のフィルムを紙へと転写させる工程ですし、トムソンも木型を用いて原紙をプレスする工程でありますので、どちらも工程の中で凹ませることが出来ます。
そのためどちらの加工方法を選んでも、原紙の一部を浮き出たせるという目的を達成することができます。
とはいえやはり差異はあります。
まず単純に品質に差があります。
箔押し(この場合空押しですが)の方がより細かな柄が出せます。
詳しい理由は勉強不足でまだよくわかっておりません。
プレスの圧や速度などが影響しているでは?という推測を立てている状態です。
理由が不明瞭で申し訳ありませんが、品質に差があるのなら箔押し(空押しですね)で加工したほうが良いのではと思われるかもしれません。しかし…
箱の柄を表現する浮き出し加工について≪コスト面≫
問題になってくるのはお値段です。
化粧箱を作る工程においてトムソンの工程はほどんど避けることが出来ません。
対して箔押しの工程はいわゆる付加価値を生むためのものでして必須ではありません。
つまり、必須の工程のついでに出来るトムソン加工における浮き出しと、わざわざ新たな工程を経る必要のある箔押しでの浮き出しでは単価に与える影響がまったく違ったものとなるのです。
そのため簡単なものや品質との折り合いがつけられるものであればトムソン加工を、細かい柄のものや品質重視のものは箔押し(空押し)加工で行うことをオススメいたします。
加えて上記の説の補強として、細かい柄や面積の広い柄では箔押しに比べてトムソン加工の方が初期費用が大きく膨れ上がることも付け加えておきます。
これはトムソン加工において必要な木型と箔押しにおいて必要となる箔版との、その作成方法の違いによるものとなります。
せっかく加工費を抑えても初期費用がそれ以上に上がっては意味も無いでしょうから、その面でも細かいものや品質重視のものは箔押しで浮き出しするべきでしょう。
カードB原紙での差異
原紙についての細かな説明は省きますがカードBという紙は印刷適正を高めるために表面にコーティングを施し裏面は白色にしているものを指します。
その中でもNEWDVとNEWピジョンが流通の多いものとなりますが、これらも製造する工場が違うからか比べると差を見つけることが出来ます。
まず色合いが違います。ピジョンの方がより白く見えます。
また紙の厚さも微妙に違い、こちらはピジョンの方がより薄くなっています。
これらは単体では気になるほどのものではありませんが、両方を手にとって比べてみると実感できる程度には差があります。
とはいえどちらも品質的には間違いなくカードBクラスであり通常問題となるようなものではありませんが。
ということで『収斂進化』と題しまして紹介いたしました。
貴方の身の回りにも似たようなものがあるかも知れませんね。