パッケージ製作 用紙を抜くための木型について

ご依頼いただいた御見積書の提出の際などに、私どもがよくお客様から言われることに「型代って何?」であるとか「型代ってこんなに高いの?」などというものがあります。小ロットでの製造時などはこの型代がコストに占める割合もそれなりとなりますので、我々としてもそのお気持ちはよく判るだけに出来るだけ丁寧にご説明させて頂いている次第です。

また初めてパッケージを製作されるお客様ですと、当然ながらどのような工程でパッケージが製造されるかなど知らない方も沢山いらっしゃいますので、そもそも「『型』って何?」と訊かれることもあります。

箱(トムソン箱であるとか組み箱と呼ばれるタイプの箱)の製作には必ず木型と呼ばれる型が必要になるわけですが、この木型がロングセラーの商品では十数年も同じものを使用することもあれば、別の商品ではたったの1回使用するだけで終わる場合もあります。

木型とはパッケージを製作するときに使用するもので、紙に印刷した後の刷本(印刷なしの無地の場合もありますが)に対して設計した箱の展開図の形状に切り抜く作業工程(トムソン加工)の時に機械にセットして活用します。木型は、木の板に用紙を折り曲げるための『罫』と用紙を裁断するための『刃』などを埋め込んであります。

ただ単に“切る”(もしくは紙から箱の展開形状に“抜く”)だけではなく、“折罫を入れ”たり、“ミシン目を入れ”たり、時には“浮き出し加工を施し”たりを同時に行えるようになっているのが『木型』なのです。そうしてその『木型』を使用してトムソン加工において切り抜いた展開状の箱を折罫やミシン目に添って折りたたむことで、また必要な箇所を貼ったりすることでパッケージが製作できるというわけです。

この木型の品質と、機械にセットして調整するオペレーター(機械職人)の技術によって、箱の外観の仕上がり精度は変わってきます。

今回は、そんな木型についてご紹介させていただきたいと思います。

パッケージの用紙を「抜く」ための木型 どのように作られる?

パッケージの用紙を「抜く」ための木型 どのように作られる?

先程も申し上げましたとおり、木型とは木の板(ベニヤ板)に罫と刃を埋め込んだものです。

となりますと、まずは木型の土台となるベニヤ板を用意しなければいけないわけですが、その時のベニヤ板のサイズは、この木型をセットする機械の有効範囲内で調整することになります。

材料コストの観点から言うと機械にセットできる範囲内で、且つ刷本の抜き加工に必要な最小サイズであるのが望ましいのですが、この木型を使用する観点や管理する観点から考えた場合には、何パターンかのサイズで統一することで見えないコストが抑えられるといった面もあったりします。

また、最小サイズと書きましたが単純に箱を展開した図面一つに対して最小というわけではなく、同じ展開図をいくつか並べて一枚の用紙でいくつも一緒に印刷したり抜き加工をしたりした方がロットによってはトータルでお得になる場合などもあれば、身蓋箱のフタ箱とミ箱と中仕切まで全て一緒に付けておいた方がお得になる場合など様々です。あくまでトータルで見て必要な図面に対して最小なサイズ、となるわけですね。

そして次の段階として、用意した最適サイズのベニヤ板に罫や刃を埋め込むための溝を彫るわけですが、これは設計された図面データをそのままパソコンから機械に送り込んでレーザーカット(溝切)し、罫と刃を出来上がった溝に埋め込んでいきます。

この時の罫や刃も先ほどの型データ(図面データ)を別の機械に取り込んで、機械で自動で折り曲げたりカットしたりしてあります。

以前はこれらの折り曲げ作業や切断は手作業で行われていました。その上なんとベニヤ板への溝切りも、十数年前は手作業で糸ノコギリで彫っていたのですから、木型とはその当時は非常に手間暇のかかる品だったわけですね。今では、品質上からも考えにくいのではありますが・・・。

とは言え、細かい仕上げ部分に関しては今なお手加工が必要とされる部分も多くありますので、まだまだ手作業に頼る技術は手放せません。

お読みいただきながら既に想像されている事とは思いますが、この木型の製造にはけっこうな時間と費用が掛っているわけなのです。

パッケージの用紙を「抜く」ための木型 レイアウトの前に型データを

パッケージの用紙を「抜く」ための木型 レイアウトの前に型データを

「木型」を作成するにあたり必要となる型データ、型図面データについてのをお話なども。

パッケージ箱をつくるに辺り、最初に箱の設計をしていきます。形状や寸法などを決め図面を引き、白無地のサンプル品を作成し確認を行います。この白無地の状態で、実際の商品を入れて問題がないかの確認をします。問題がなくければ形状は確定となり、印刷がある場合にはその設計型データにデザインを当て込んでいきます。

場合によってはデザイン案が先にあり、そのデザインにそって型データを作成することもありますが、その場合、出来た型データに当て込みをする際に、デザインデータを修正する必要があります。そうしますと塗り足しや寸法の微調整などの作業が発生しますので、データ修正の作業が増えてしまうことになりますので、出来れば形状が確定したデータにデザインを当て込みするという順序が好ましいと思います。

とある事例を挙げますと、上記のような手順でまず白無地の試作品にて形状が決まり、決定した型データをお渡しし、そのデータにお客様の方でデザインを作成して当て込みをしていただきました。そしてデザインを当て込みしていただく段階で、絵柄の関係上からお客様の方で、弊社がお渡しした型データを一部変更されておりました。

その結果どうなったかと言いますと、弊社としては試作品にて型はOKをいただいており、当然ながらその型データに基づいて打ち抜き用の木型を作成してましたが、実際に印刷後に打ち抜きをしてみると、絵柄が途中で切れてしまう状態になってしまったのです。その時は木型を再度修正し、デザインに合わせた型にて作成をした次第です。幸い納期に余裕のある案件であり、且つ早期発見できた事故でしたので大きな事態にはなりませんでしたが、気付くのが遅れれば再度印刷からやり直す必要もあり得た内容でした。

このように、型のデータを修正される場合は、基のデータから修正しておくことでトラブルを防ぐことになりますので、餅は餅屋ではないですが、型修正の場合はご連絡をしていただきたいと思います。また、仮にデザイン作成時に型のデータを変更された場合は、その修正の内容をお伝えいただけば、スムーズな進行が出ますとともに事故の防止にも繋がります。

型データは、パッケージと製造の際に非常に重要でありますので、皆様ご注意いただければと存じます。

パッケージの用紙を「抜く」ための木型 作った木型は誰のもの?

パッケージの用紙を「抜く」ための木型 作った木型は誰のもの?

いきなり突っ込んだ話をと思われるかもしれませんが、決して法的な観点からの話をするものではなく、パッケージを製作するための木型の所有権は本来どこにあるべきか?ということについて考えていってみましょう。何故ならこれについては、パッケージ会社とお客様との間で何かトラブルが起きた結果として木型を返す返さないと事に至ったという話を、私共も時々耳にすることがあるからなのです。

幸い私共では、これまであまりそうしたトラブルには見舞われておりません。信頼できるお客様とお付き合いさせていただいていることに、深く感謝しなければいけないと強く思う次第です。

さておき。

木型はどこで製作されるのかと言うと、弊社では木型製作を専門とする協力会社さまに外注という形でお願いしております。これは自社でオリジナルの型を製作するときもそうですし、お客様からのパッケージの製作に関する受注に伴い、木型も併せて弊社で請け負う時もそうです。

この場合、パッケージの受注に伴い製作する木型に関わる企業は弊社のお客様(パッケージ製作の依頼主様)と外注先様(弊社が木型の製作をお願いした協力会社様)と弊社の3社となります。
(※弊社のお客様の先にさらにクライアントさんがおられたり、デザイナーさんが関わっている場合もあろうかと思いますが、今回の場合は見えない部分として無いものと考えます。)

では、この3社にあって木型の所有権は一体どこにあるのでしょうか?

難しいですよね。実際に木型を製作したところにも権利はありそうだし、パッケージ製作の依頼をした発注元様にも権利がありそうです。ましてや木型代を払っているのであればなおさらです。また、この場合の弊社のようなパッケージ製作の受け元に権利があるという考え方も出来るでしょう。

この場合、明らかに権利はないだろうと思われるのは実際に木型を製作したところ、つまり、弊社の外注先さんです。弊社の指示に伴い、言われた通りに想像物を創造物に変換しただけであればですが。しかしながら、試作からこの外注先さんが携わっていたのであれば・・・やはり、難しい問題ですね。

さて、この様なトラブルの際に決まって浮上してくるのが『木型代を払っているではないか。』というものです。つまり、木型代として料金を支払っているのだから木型は購入したことになっていて預かってもらっているという解釈です。つまりお客様に所有権があるという考え方ですね。

一方で、木型代というものは木型そのものの料金でなく、木型を使用する権利を費用化したものであるという解釈も可能です。木型そのものは製作した(この場合はパッケージを製作することを承った)企業の持ち物であるということです。上記の場合だと弊社に所有権があるという考え方ですね。

この問題はかようなトラブルが起こらなければ発生しないことですが、いざ発生してしまうと後を引くことになることも少なくないようです。

では、この木型代という費用項目は正しくはどのように解釈すべきなのでしょうか? 木型代を支払っているクライアント様、お客様のものか、それとも木型を製作して使用権を売っているという受け元のものなのでしょうか?

その答えについては、すみません。実際には分かりません。と言うよりも、ことの経緯によるというのが正しいのではないでしょうか?

木型を製作するための元々のデータはどこが作ったのか? 本生産までの試作段回で試行錯誤したのはどこか? サンプル作成、提案に至る費用はどこが受け持っているのか? などなどによるのではということです。本生産用の木型の基データが作られる経緯がどのような流れでどこが価値提供しているのかということですね。この部分が最も大事な部分なのではないかとさえ考えられます。

もちろん、そもそも木型の所有権がどこにあるのか事前にはっきりさせていれば済む話かもしれません。ですが、初期段階での詳細な取り決めをしておくことが大事であるとは言え、なかなか木型所有権の取り決めなどまでは出来ていないというのが大半のケースではないでしょうか。

いずれにしても、確実にこれが正しいと言えるものがあるわけではありません。結局のところは各パッケージ会社毎に違っているというのが現状なのです。

さて、それでは弊社はどのようなスタンスなのかと言いますと、良い子ぶりっ子するわけではありませんが、弊社ではパッケージを製作する木型は『木型代』をお支払いして頂いている以上お客様のものであると考えております。

弊社はオリジナルのパッケージ専門の製作会社でありますから、弊社にある木型の大半は各木型毎のクライアントであるお客様以外では使用することがありません。と言うよりも、他のお客様で使用すること自体がまずもって難しいのですが。

逆説的にそこから見えてくるものとしても、仮にお客様から木型の返却を求められ、それを拒んだところで弊社では再利用する方法もないわけですね。だからというわけではありませんが、お客様から木型の返却を求められれば基本的には返却に応じるという姿勢を取っています。(法的にどちらが正しいかは分かりません。あくまでも弊社の姿勢としてです。予めご了承ください。)

そして、「いけず」して返却に応じなかったとしても弊社のためになることなど何一つないわけなのです。むしろ、同じ木型を利用して他社様にてパッケージを製作していただくことで、弊社の良かったところ・悪かったところを浮き彫りにして頂いたほうがお互いのこの後の成長の糧となるはず、とそのように捉えております。

そのため、弊社では木型の所有権に関する姿勢としては『木型代』を頂いている以上、木型の所有権が本来はいずれにあるのかということは別として、木型の返却をご希望であれば遠慮なくおっしゃって頂けたら返却に応じることとしております。

木型返却の希望をいただくこと自体が稀ではありますが、そのような際には弊社はそのことを反省材料として今後の取り組みに反映させていくことで、さらなる成長を図ることとしているのです。

パッケージの木型 もう少し続きます・・・

ということで今回は、箱を製作する時の木型とその周辺ついてお伝えさせて頂いているわけですが、かなり長くなってきましたので、この続きは、また次回に・・・・・・