パッケージの製造に使用する木型とは?
オリジナルのパッケージを作るためには
その初期段階で用意しなければならないものがあります。

印刷や箔押しに使用するための版や
印刷の色指標となる見本やDICなど。

もっと言えばインキや窓貼りなどがあるのならそのためのフィルムも
必要になりますし、挙げていけば様々なものが出てきます。

それらの中には加工するにあたって毎回必要となるために
単価の中に含まれているものもありますし、
初回に作ってしまえば以後はそれを使用し続けられるものもあります。

初期費用のみの部材に関しては見積もり作成にあたっても
単価とは別枠にて算出となりますので
初回製造時は単価+初期費用。
リピート時には単価のみのご請求となるのが
一般的な形かと思います。

そのためオリジナルパッケージを作るにあたっては、
初回がもっとも費用的な負担が大きくなり
以後はその分だけ負担が小さくなります。

さて、今回はその初期費用の中でも費用的に大きな割合を占めがちな
「木型」についていくつか紹介していきます。

パッケージを製造するための「木型」とは

パッケージを製造するための「木型」とは 木型とはトムソン加工時に必要となるもので、
木製の板に製造するパッケージの展開図に沿った刃を差し込み、
印刷した原紙をパッケージの展開図の形状に切り離すために使用します。

また、この工程を行うと同時に折り罫や窓・ミシン目を入れたり
時には浮き出し加工なども行えるように
切り離すための刃以外にも様々な形状の刃を板に差し込みます。

この木型をトムソン機のプレス部門にセットし、
原紙がその下を通る際に木型がセットされているところまで押し上げてプレスし、
木型に差し込まれている様々な刃を入れることで
作りたい形状通りの展開図のパッケージが出来上がります。

ただ、この時点ではまだ原紙とパッケージとに止めが入っており、
切り離しが完全には出来ておりません。
イメージとしてはプラモデルの各パーツを外枠から切り離す前の状態が近いと思います。
実際にはプラモデルほどパーツと枠との間の空間はありませんが。

これを落丁作業にて叩くことで完全に切り離して次工程である貼りへと進みます。

パッケージを製造するための木型の費用の計算方法とは

パッケージを製造するための木型の費用の計算方法とは
さて、次は見積もり時における木型の費用の計算方法です。

木型は製造するパッケージの展開図に沿った刃を木の板に差し込んで作るわけですが
それを一丁分だけ差し込むのか、もっと複数分差し込むのかで加工単価に大きな影響を与えます。

つまり同じ数量のパッケージを作るにしても一丁分の木型では原紙の必要枚数は
その製造する数量と同数分必要になりますが四丁分の刃を差し込んだ木型を使用すれば
原紙の必要枚数はその4分の1で済みます。

もちろん一丁分の面積だけの原紙と四丁分の原紙の面積では差がありますので、
紙の費用が「紙の重量×紙の枚数×単価」であることを考えれば
紙の枚数は減るものの変わりに重量が増えますので、
費用が劇的に安くなるかと言うとそうでも無いことも多いです。

しかし、製造工程に目を移しますとその効果は劇的になります。
なぜならば基本的に各工程の工賃は「原紙枚数×設定された単価」にて算出されますので、
枚数が減ればそれだけ工賃が下がる結果になります。

それならば出来る限り大量に木型の丁数を増やすことが正解か?
というとそうではありません。

それは木型の費用の計算方法にあります。

木型は「パッケージの展開寸法を足した和×丁数×形状ごとの単価」にて費用が決まります。
そのため丁数を増やすとそれだけ費用が倍々で増えていきます。
となりますと製造の単価を下げるかわりに初期費用が増大するわけですから
単価ばかり重要視して結果的により多大な費用がかかることになってしまいます。
そのため木型代と単価のバランスをとった見積もりをする必要があります。

そのため、パッケージ業者に見積もりを依頼するときに、
色々な数量での単価が知りたいということで1000・5000・10000の3パターンで
見積もりを依頼される場合などでは、
どの数量が本命なのかを事前に伝えておくことで、
その数量にあった木型での見積もりが可能となりますので、
より希望に沿った見積もりとなりやすくなります。

また、「形状ごとの単価」に関しては複雑な形状であればあるほど
その設定単価が高くなるものと考えていただければまず間違いありません。
すなわちスリーブや台紙は安く、トムソン箱やワンタッチ横底箱などは高くなるということです。

木型…の関連部材について

木型…の関連部材について
最後に木型と関連してトムソン加工時に使用する部材について紹介します。
なぜわざわざ部材と書くかと申しますと呼び名があまり一定では無いためです。

それはストリッパー部門と呼ばれる
トムソンのプレス部門で木型によって刃が入れられた原紙が
排出口に行く前に通る部門にて使用される部材です。

ストリッパー部門にセットしたこの部材は
木型と同じく木の板で作られており、
特定箇所に穴が空いております。

その部材の上を原紙が通る際に
上から木の板が空いている箇所目掛けてピンで押すことで
落丁作業の前に原紙の一部を落としておき、
落丁作業をより効率よく行えるようにします。

この部材はストリッパー部門で使用されるために
「ストリッパー」と呼ぶこともありますし
他にもその用途そのままに「落丁板」とも呼ばれます。
また「メン板」や「メス板」といった名で呼ばれることもあり、
型屋さんや加工所によってまちまちです。

いずれにせよこの部材も作るにあたっては費用がかかりますので
通常は木型代にそのまま乗せて算出します。
つまり落丁作業において手間が多くかかりそうな形状の箱は
通常の木型代に加えてこの部材の費用もかかるため
なお一層高くなりがちである。ということです。