パッケージの作製において注意するべき点というのはたくさんあるのですが、その中の一つに『ミシン目』というものがあります。
全てのパッケージに使用されているわけではありませんが、使用する際には中々に気を遣う必要のある要注意な部分だったりします。
「えっ? 『ミシン目』ってそんなに重要な部分?」
と思われた方もいっらしゃるかもしれません。
でも、実はそうなんですね。その理由については後程述べさせていただきますが、注意を怠りますとお客様に満足していただけない仕上りとなってしまうどころかクレーム案件という結果になってしまうことすらあり得る部分なのです。
もしかしたら、今お読みいただいている皆様の中に、実際に過去に満足のいかない結果となったことがあるなんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんなわけで今回はパッケージにおける『ミシン目』について、であります。
そもそも『ミシン目』って何?
まずはコレ、『ミシン目』とは何のことでしょうか?
そう、いわゆる『切り取り線』のことです。
切れている箇所と繋がっている箇所が連続していることで、紙などが切り取り易くしてあるのが『ミシン目加工』などとも言われる部分となります。
皆さんが日常の中でよく目にされているかと思われますモノでは、例えばティッシュの箱の取り出し口の部分などが『ミシン目』になっておりますね。
パッケージを製造する際に『ミシン目』は、トムソン加工、抜きの工程で入れます。
これは木型を用いてパッケージの展開形状に切り離す工程であると同時に、折罫や『ミシン目』などを入れる工程でもあります。木型には切り離す部分なら「切り刃」、『ミシン目』なら「ミシン刃」など複数種の刃が差し込まれております。
また『ミシン目』を入れるための「ミシン刃」にも色々な種類があり、主なところとしては切るところと繋がっているところの間隔(ピッチ)の違いが挙げられます。このピッチの違いによって、切り取り易さが変わってくるわけです。
パッケージの『ジッパー』について
お菓子など食品の化粧箱でよく見られる、矢羽というか麦穂というか、そのような形の切り取り線もあります。
『ミシン目』の種類の一つとしてで扱われていたり混同されてしまっていたりすることも多いのですが、これは正式には『ジッパー』『ジッパー加工』という名称になります。
お客様から、
「『ミシン目』を入れてほしい」
とのことも、詳細を聞いてみますと実は『ジッパー』のことだったというのは、実際のところよくある話だったりします。
正式な名称はともかくとして、用途の上からも『ミシン目』と同じ括りであると言えますので抑えてみました。
因みに、先に挙げた「矢羽のような」形で帯状に切り取るのは「ダブルジッパー」で、切り取る線が1本になっているものは「シングルジッパー」と呼ばれております。
個人的には、よく見かけるのは「ダブルジッパー」の方が多いように思われます。
『ミシン目』の注意するべき点とは
それでは本題、『ミシン目』における要注意点とは何か。
それは、『ミシン目』の「切り取り易さ」という点になります。実はこの「切り取り易さ」というのは非常に難しいのです。
皆さんの中にも、固くて切り取りづらい『ミシン目』にあたったことのある方は大勢いらっしゃるかと思います。
その反対に切り取るつもりもないのにちょっとした力が掛かっただけで切れてしまった、開ける前から開いて(切り取れて)しまっていたパッケージ、なんていうものに覚えのある方もきっといらっしゃることでしょう。
程度によっては「『ミシン目』としての用を為していない」どころか、お手元に届いた際には「開封してしまっていた」ともなれば、これは不良品としてクレームの対象となるでしょう。大変な事態です。
そこまでとはいかずとも、「何となく切り取りにくい・開けにくい」というだけでもエンドユーザーに対してストレスを与えてしまっていると言えるのではないでしょうか。
これは先に挙げた「ミシン刃」の形状やピッチが、そのパッケージに、もしくはそのパッケージが置かれる状況に適していなかったということですね。
であるならば、きちんと「ミシン刃」の形状やピッチがそのパッケージに適したものを使用してさえいれば良いのでは?となるわけですが、実はこれが難しい点なのです。
何故なら、例えば同じピッチの「ミシン刃」を使用したとしても、パッケージに使用する原紙の種類・表面加工・『ミシン目』を入れる箇所のサイズなどによっても「切り取り易さ」は大きく変わってしまうからなんですね。
表面加工の部分だけ見てみても、同じ種類・斤量の原紙に対しての印刷時に引くニスと、印刷した上にフィルムをラミネートするPP貼りとでは『ミシン目』の強度が大きく変わってしまうのです。
そのため、以前に作成したパッケージの『ミシン目』が丁度良い「切り取り易さ」だったからとの理由で、安易に別商品の全く仕様の違うパッケージにも同じ『ミシン目』を入れてチェックせず作成してしまったりしますと、先に挙げたような「適していない」状態となってしまう可能性も多いにあり得ます。
要注意、ですね。
パッケージにおける良い『ミシン目』にするために
ではどうすれば良いのでしょうか?
皆さん、もうお判りですね。
そうです。本番の製造をしてしまう前に十分に事前のチェックを行い、『ミシン目』の状態を確認する必要があるということになります。
確認の結果によっては適した「ミシン刃」の再選択となりますし、その際には前述の『ジッパー』も選択肢に入れて考える必要があるでしょう。
またCADカットしたダミーでチェックする場合には、本番の木型とCADカットの違いについても考慮する必要があったりもします。
あとは。。。私ども株式会社ケイパックに相談する、というのもオススメです(笑)
喜んでご相談にのらせていただきます!
以上、『ミシン目』についてでした。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。