化粧箱を製造するために仕入れる原紙以外にも、仕入れ商品という形で材料としてではなく、販売する商品として仕入れてそのまま販売するということもあります。
例えば、ある商品に対するパッケージについて悩まれているお客様から相談を受けたとして、印刷紙器を得意とする我々としては、もちろん印刷紙器をオススメしたいところです。ただ、その際、どう考えても『ビニール袋』の方がいいよな?と思うことがあると思います。
さて、その時にどうするか?と言うことです。
何が何でも印刷紙器を売ったとすればどうでしょう?
もちろん、その場では売上も利益も出るでしょう。しかし、お客様が納得されずに購入させられているとしたら?お客様が後々『やっぱりビニール袋にしとけばよかった』と思うとしたら??
そうです、2度と注文が来ないとは言いませんが、ハードルが高くなるでしょうし、そもそもお客様との相互信頼関係は築けませんね。
つまりはそういうことです。化粧箱を販売することが弊社の主力とは言え、お客様のご要望があれば、しっかりとお役に立てるものをご提案差し上げることもセールススタッフの役割の1つです。
色々な仕入れ商品お存在を知っておくこと、且つ、安価な仕入れルートを確保しておくことで提案の幅が広がりお客様への貢献にも繋がります。
ということで、具体的な『商品』については以下に。
仕入れ商品①:貼り箱
最近、お客様から立て続けに貼り箱の案件をお問い合わせいただきました。
A社様からは、身・蓋式の貼り箱
B社様からは、引き出し3段式の貼り箱
のお話しを頂戴いたしました。
弊社では、トムソン箱の設備になりますので貼り箱については、協力会社様のお力をお借りし対応させていただくことになります。
(優秀な協力会社様がありますので、お問合わせは大歓迎です。)
貼り箱とは、文字通り「貼り付けて」作る箱です。紙で出来た紙器の貼り箱とは、ボール紙に様々な貼り紙を専用の接着剤で使用し、貼り付けて包んで作成していきます。
貼り箱の特徴としては、美粧性が高く、高い強度と耐久性があり、ギフト箱や高級贈答用などに使われています。和菓子屋さんや、高級ブランド品の箱などは貼り箱を使用していることが多いですね。
iPhoneなどのスマートフォンの箱も貼り箱が使われているのを見かけます。
そんな貼り箱の作り方ですが、
1.板紙の加工
①板紙を貼り箱のサイズに合わせ断裁
②貼り箱の芯となるように、角落とし・罫線をいれる
2.貼り紙の加工
①洋紙などを貼り箱のサイズに合わせ断裁
②貼り箱へ貼れる様に、角を切り落とす
3.仕上げ
①1で作った板紙の芯の四隅止をし箱の形にする
②四隅止めをした芯に、2で作った貼り紙を貼り合わせ
③くるみ・折り込みをします。
1⇒2⇒3⇒完成となります。
上記の工程を、ロットやサイズにより全自動機や手作業で加工をしていきます。もちろん、貼り紙に印刷や表面加工、箔押し等をする場合はその前工程が必要になります。
その製造方法により、打抜木型や専用木型が必要になる場合と型が必要なく製造出来る場合があります(当社協力会社様よりお聞きすると、機械製造ができる寸法で大ロットで無い場合は、型代が必要なく製造できるとのこと)。
また、ロットが大きければ、型を作って生産性があげることで型代がかかっても、製品代のコストを抑えることが出来るとのことです。
仕入れ商品②:シール
世の中には実に様々な商品があり、その多くがパッケージ=箱や袋などの包材に入って販売されているわけですが、それらパッケージの多くにシールが貼られていることにお気付きでしょうか?
『只今増量中!』などメッセージを強調するための冒頭でご案内しましたPOP機能として・開け口に封をする・もしくは印刷された表示を修正するために上から貼ってある。等々用途も様々です。
◆何故シールが使用されているのか?
なんの意味もなくシールを貼ることは考えられませんので、そこには何かしら理由があるわけです。
その目的とするところを列挙するに主には下記5つに要約されます。
①開け口に封をするため 〔封緘〕
②メッセージ性を持たせている 〔伝達・強調〕
③印刷の際のミスプリントを修正、表示内容の途中変更に 〔訂正〕
④無地またはエンドレス柄、共通柄の上に 〔低コスト化〕
⑤違う素材で質感の違いを演出 〔デザイン〕
③の訂正シールについては、化粧箱自体を再度作り直さないという意味では低コスト化を含んでいるとも言えますが、再製造では時間的に間に合わない場合にも使用されていますので単独項目としてみました。
④は判りづらいかもしれませんが、化粧箱をそれぞれオリジナルで作るよりも低価格で作成出来る方法となります。
これらは各々単独で用いられていることもありますが、複数の用途を含めて使用されている場合も多くあります。
たとえば箱の中身である商品に色柄や味が複数種ある場合に、その種類を明示しているシールなどは②と④を兼ねたものと言えるでしょう。
ほかにも、具体例で上げてみますと、たとえばチョコの箱。封緘シールとして金や銀のホイル地で目立つものが使用されているのを見かけたことがあるのではないでしょうか?
これには①の封緘は勿論のこと②や⑤、他のパッケージにも使用出来たりと考えますと④も含めることが可能なわけです。フタをして封をするだけではなく、商品のカラーバリエーションも表し、綺麗な外観で訴求性を高め、且つ他の商品にも転用が利くシールとなり得るのです。
もし判り難いようでしたら、試しに実際に身近な商品を手に取って、そこに貼られたシールが上記のどれに該当しているかを分析してみるとより実感し易いかもしれません。
さて、それでは実践編です。
もしアナタがこれから化粧箱に貼るシールを作成するとしたら(作成するのが前提というのも強引な話かもしれませんが……)、どのようなシールを作りたいと考えますか?
必要のないシールを作成しようとは思わないでしょうから、①~⑤のどれかを主目的として考えてみましょう。
そして、その際にはどうすればより効果的なものを作れるでしょうか?
そうです、もうお判りのように上記①~⑤の用途や他にも思いつく用途の中から沢山を含ませてあげれば良いわけです。
私自身も、お客様から化粧箱作成の際に同様の相談をされることもありますし、こちらからご提案させていただくことも多いのですが、その際にも出来る限り良いものとするべく、少しでも効果的な品となるべく、意識するよう心掛けております。
「今回このような素材がコスト的にも訴求性としても効果的ですが如何でしょう」「種類毎に箱を印刷分けするより、今回は封緘シールを色分けすることで種類を明示してみては?」
などなど。
小さなシールが大きな効果をもたらすことも多々あります、私達ケイパックにいつでもご相談ください。このようなシールも数多くご提供させて頂いております。
しかしながら・・・
◆使用しないことで効果を発揮することも!
シールを使う・作るということは、部材を増やし手間を増やしてしまうことでもあります。
ならば、使わない・作らない方が得することもあるのでは?と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ハイ、あります。
そのような一例として、最後に、ケイパックの『SS Pac』をご紹介させていただきます。これは、封函式簡易開封型パッケージとして考案したもので当社の実用新案登録済みのパッケージ形態です。封緘シールを使用しないことでシール代・貼り工賃・所要時間などを節約することが可能となります。剥がすと文字柄の跡が浮き出るバージンシールを使用されている場合などは更なるコストダウンが望めます。
代わりに製品代が高くなるのでは?と思われがちですが、この『SS Pac』はパッケージ自体の価格は変わらないというのものも自慢の一つ。そんなアイデア品なのです。
既にご採用いただいているお客様からもご好評いただいております。是非、今後の選択肢の一つに加えていただけたらと存じます。