原紙を知る事は、化粧箱の制作にとても役立ちます!!

化粧箱を制作する際に、形状やデザインを考える事は当然なのですが、原紙選択を深く考える事は少ないかもしれません。それはおおよそ、予算を抑えるために裏面が白色かネズミ色かを選択し、その中で低価格帯の品種を選ぶ・・・

まさしく、コートボールかカードBかの選択になる事が多いのです。

勿論、制作化粧箱が高価格帯の商品であれば、それなりの原紙を選ばれる事になるのですが、それは安っぽく見ないようにワンランク上の原紙を選択するという感じで、意思のある原紙選択ではないよな時もあります。

この化粧箱にはこの形状で、このデザインをこの原紙に印刷したいという拘った原紙選択をすれば、仕上がりが更に良いもになり、販売増につながる事になると思います。

そんな原紙の話を少ししてみようかと思います。

化粧箱制作に原紙材料パルプを知る

化粧箱制作に原紙材料パルプを知る

パルプ・・・、聞いた事はあるけど、いったい何?

簡単に言うと、植物から抽出した植物繊維です。

多くは木材から取られる木材パルプが原紙の主たる原料となるのですが、森林伐採等による環境破壊が問題となり、より環境にやさしい原紙材料としてサトウキビのような草系の植物から繊維を取り出し、原紙材料に使われています。

それはサトウキビから製糖した後の搾りカスを利用していることから、より環境にやさしいとされ、バガスパルプと言われています。

また木材パルプに対して、草植物を使ったパルプは非木材パルプと呼ばれています。

さらに、一度印刷された紙(古紙)や、製紙材料の端材から再度繊維を抽出して作られるのが、古紙パルプです。

以上、現在の原紙に使用されているパルプは大きく分けて、

①木材パルプ
②古紙パルプ
③非木材パルプ

となるのですが、

木材パルプの中でも、繊維の長い針葉樹からとれるパルプは強度があったり、短い繊維の広葉樹のパルプもあり、同じ木材パルプの括りでも種類があります。

非木材パルプでも、藁や竹、草の種類によっても違いがあります。

これらのパルプを総じて大別するなら、繊維の長さと色(白色度)となります。

繊維は長いと強度が増し、短いと強度が弱い。それは箱にすると繊維の長いパルプの箱は罫線強度も強く、しなやかな箱となり、繊維の短いパルプはサクサクした箱となるのです。

また木材から直接取るパルプはバージンパルプとも言われ、白色度も高く、非木材パルプや、一度印刷されている古紙パルプは漂白しても落ちきらない色があり、古紙パルプの比率が高ければ高いほど白色度は落ちて

しまいます。また古紙からリサイクルされるパルプは太く短い為、紙面の平滑性もバージンパルプ使用のものより劣ってしまうのです。

強度、白色度、平滑性、価格は共に比例し高い順にアイボリー紙、カード紙、ボール紙となり、カード紙、ボール紙は古紙の配合率によって違ってきます。

強度として原紙を選択される事よりも、印刷の仕上がりに関わる白色度と平滑性で原紙を選択される事が多いのですが、その事に深く関連がある原紙のコート層については、次章にて説明さしていただきたいと思います。

化粧箱制作に原紙のコート層を知る

化粧箱制作に原紙のコート層を知る

製紙の段階で紙が抄きあがると、この紙面に印刷適性を上げるためにコート層を作ります。これは抄紙機の後ろに直結された塗工機でクレー(白土)や白色顔料になる炭カル(炭酸カルシウム)等、また原紙接着の為にデンプン等を混ぜ合わせたものを塗工することでコート層が出来ます。

原紙の大きな振り分けで言うと、コートしたコート紙と、コートしていないノーコート紙(非塗工紙)に分かれます。

ノーコート紙においても印刷紙器原紙用途は多くあり、原紙面の地合いから選択されるお客様は多く、ナチュラルな風合いをかもし出し、商品イメージをより明確にし訴求効果を高めています。ただ印刷インキの定着層がない為、フルカラー印刷や濃いベタ色などは色の再現性が難しく、UV印刷等にて対処しなければならない場合もあります。

ノーコート紙に比べて印刷適性を高める層を持つコート紙は、白色度が高くインキ定着も良いために発色もよく、また平滑性に伴い光沢もあります。

ただ前章に書いた古紙の配合により、原紙面の平滑性は、コート層を設けても紙面に反映されてしまいますし、白色度も落ちてしまうのです。

紙面の平滑性が高いと、インキ発色の角度が一定になり発色性が上がりますし白色度が高いと色の再現性が上がります。

やはり、古紙の配合がより少ないものが印刷適性が高いものとなります。

コート層の白色度を上げるため、若干の着色がされている事も記述しておきます。

それは、より白い色はどちらという問題になるのですが、これは人によってマチマチで好みにもよるのですが、少し青っぽい方が白いと言われる方、赤みが少しあるいいと言われる方、お好きな方でいいのですが、同ランクのコート紙でもメーカによって色味が違う事を知っておかれたら、原紙選択の際に役立ちますよ。

ちなみに、関西は青みががった白が好きで、関東は赤みがかった白が好きであるという傾向にあるようです。

価格ありきの原紙選択も勿論正解なのですが、その中でも色味や平滑性、印刷適性等に違いがあります。より良い化粧箱を考え、拘った原紙選択もこれまた正解かと思います。そんな時に、当社にお声を掛けていただいたらよりお客様の要望に近い原紙選択のお手伝いが出来ると思いますので、

是非ともご連絡お願い致します。