パッケージの価格は誰が決めるのか?

かなり前の話になりますが、当時あるお客様からこのようなことを言われたことがあります。

「価格は俺が決まるからお前はバコ(箱のことです)を黙って作っといたらええねん。」

頭の悪い私には思いもよらない言葉におっしゃっている意味がよく理解できずにただただ呆然としていたことを思い出します。

ビジネスは『販売なくして利益無し』と言われるように商品を販売して得られたお金から経費諸々を差し引いて残ったものが利益として残り、それがビジネスの次なるステップの源泉となります。

厳密に言うと、税金のことであったり、キャッシュフローの問題などがありますので、そう単純な話ではないわけですが。

このような観点から言うと、お客様が商品を買って下さることで初めて商売は成立するとも言えなくもありません。

とは言え、赤字で商品を売っていては先の話に照らし合わせると利益が残るはずもないので販売する意味がないとも言えるわけですね。

しかしながら、当時は先ほどのような
「価格は俺が決まるからお前はバコ(箱のことです)を黙って作っといたらええねん。」
という言葉が成立するくらいにお客様の圧倒的なイニシアチブによる価格決定が平然とまかり通っていたわけです。

果たしてこれは正常な価格決定の流れと言えるでしょうか?

今回は私共の業界から見た視点でパッケージの価格は誰が決めるのか?ということについてお話させて頂きます。

パッケージの価格は私共販売者が決める

パッケージの価格は私共販売者が決める

パッケージに限らず商品には、その商品が出来上がるまでの過程があります。

《商品が想像される過程》

パッケージが想像される過程というものは、例えば、パッケージの中に入れる商品(私共にとってのお客様が取り扱う商品)そのものの大きさや形、売り方から箱を設計し、且つ、ターゲットや商品イメージ、売り場や掲載するカタログなど、販売に至る全体的な背景から考案されるデザインイメージなどがあります。

場合によっては、輸送中に何か不具合が起こらないかなどの事前チェックの意味合いも兼ねてテストをするためにサンプルを作成することもあるわけです。

これらの形状決定の為の試作やデザイン提案、本生産前の諸々のチェックの為のテスト用サンプルの作成などに費用が発生します。

《商品が創造される過程》

そして、パッケージの形状が決まり、デザインが決まり、本生産に適うかの確認ができ、OKが出ると本生産に入るわけですが、当然のことながらこの生産に対する費用が掛かってくることは言うまでもありません。

原紙代
製版代(刷版代)
印刷代
表面加工代
打抜き加工(トムソン)代
貼り(グルアー)代
梱包代
輸送運賃
など

これらの費用を掛けて生産することで、初めて化粧箱という商品が出来上がるわけですね。

つまり、パッケージという商品が出来上がる過程においては『想像に至る費用』と『創造に至る費用』が掛かっているということに間違いがないわけです。

このことを踏まえると、これらの掛かった費用がその商品を生産するに至る原価となるわけですから、利益を得るためにはこの原価を上回る価格設定をすることが販売者として当然のことと言えます。

要は商品の価格は販売者が決定するということです。

そうはいっても、できる限りコストは抑えたいですよね。
いくつかのコツを知っていれば、化粧箱の印刷コストは抑えられます。

化粧箱の印刷コストの抑え方を知りたい方は「オリジナル化粧箱・パッケージを製作する際に知っておくべきコスト比較」という記事をぜひ読んでみてください。

パッケージの価格はお客様が決める

パッケージの価格はお客様が決める

とは言え、販売者が決定した価格で何一つ文句なくお客様が購入してくれるかと言うと、そのような時もありますがそうではない場合が多いということも現実としてあります。

何かの意図があって『もう少し(もしくはもっと)安くならないか?』という要望があるということですね。

冒頭で申上げました通り、ビジネスは販売者側から見ると販売が成立して(購入者側から見ると購入を決定して)なんぼです。

いくら価値の高い商品であっても売れなければ宝の持ち腐れです。
と言うか、商品(販売を目的とする品)である以上、売れなければただのゴミ屑だと言っても過言ではありません。

それゆえに商品は必ず売らなければならないわけですね。

このことを踏まえて話を大きく戻しますが、そもそもお客様にはパッケージを購入する必要性があります。

それはお客様にとっての商品を保護する目的であったり、店頭に陳列する目的、消費者の目を引くアイキャッチ効果を狙った目的などです。

つまりは、お客様にも販売を目的とする商品があるわけですね。

当然のことながら、このお客様が取り扱われる商品にも販売価格なるものが設定されているわけですから、その商品の原価構成の一部を担う化粧箱の仕入れ価格が想定以上の価格となると、想定される利益を得ることが出来なくなると言う事態に陥るというわけです。

このような観点から考えると、パッケージという商品の価格はお客様が決定するとも言えるわけですね。

パッケージの価格は市場が決める

パッケージの価格は市場が決める

ビジネスの世界では当たり前の原理原則ですが、あらゆる商品は市場が決めます。

先に申上げました通り
販売者側の価格決定要因も、
購入者側の価格許容範囲も、
あるわけですが。

いくらが原価が高くついているからと言っても、その価格で購入してくれるお客様がいなければ、その販売価格は成立することはないですし、

いくら商品原価を抑える必要があるからと言っても、その価格で販売してくれる私共のような化粧箱の販売業者がいなければ、その価格でパッケージを仕入れることはできないわけです。

つまりは、パッケージの価格は市場が決めるということですね。

このことをよくよく頭に入れておかなければならないと私は思います。

ビジネスをすることの最終的な目的を利益を最大化することとするならば
販売者はできる限り高く売りたいわけですし、
購入者はできる限り安く購入したいということは必然なわけです。

このように相反する目的の中でビジネスを成立させる必要があるわけですからお互いが自己主張をするだけに留まってしまうとビジネスが成立する確立は極めて低くなります。

また、どちらか一方の要望が強くなり過ぎると、もう一方が無理をすることになるわけですから、長続きしないものとなるわけですね。

これではお互いにとってメリットがありません。

商品の購入において安さだけを追い求めるのであればその限りではありませんが、ビジネスとは継続することで、それも長ければ長いほど、その関係性における見えないコストカットが成されて行き、いわゆる阿吽の呼吸による業務の効率化が図れていきます。

もちろん、そこに妥協があればその限りではないわけですが、お互いが尊重し合い、切磋琢磨し、時には思いやることで大きなメリットが生まれるものである思うわけです。

このことを念頭に
お客様は価格が見合わない、折り合いがつかないと判断されれば買わなければ良いわけですし、
私共販売者も価格が見合わない、折り合いがつかないと判断すれば売らなければ良いわけです。

誤解を恐れずに言うと、パッケージなんてどこからでも購入できますし、どこにでも売れるわけですから。

結局はパッケージという商品の価格は市場が決定すると言えるわけです。

お客様から「他所から買うわ」と言われないように。

偉そうな物言いも致しましたが、何が言いたいのかと言うと、

お客様から「他所から買うわ」と言われないようにしなければならないということです。

価格もさることながら、品質も納期も当たり前のようにお客様の期待を超える企業でありたいと。

そして、その全ての項目において決して№1でなくても(あえて申上げると納期に関しては負けるはずもない体制が整っていると自負しておりますが)パッケージを提供する企業としてのトータルでご判断いただいた時に

「ケイパックさんから購入したい」

と言ってもらえるような企業になっていきます。

それが私共の使命でもありますゆえ。

冒頭で取り上げさせて頂いたお客様には、私共のポリシーに添わないという判断から当時売上ベースで№1もしくは№2であったにも関わらずお取引を辞退させて頂きました。

品質、納期で評価を頂きながらもトータルでは、その期待に添えているとは言い難い評価であると判断したからです。

一方で、「こんな見積もりを置いていった業者があるで。」と言いながら目の前でその見積書をぐちゃぐちゃっと丸めて捨ててくれるお客様もいてます。

このようなお客様には本当に大きな評価を頂けているなと感謝すると共に、少々の無理難題を強いられても絶対に何とかする覚悟で接しております。

やはり、ビジネスである以上それ相応の利益を頂く必要がありますし、仮に利益を得られたとしても、そこに一定の評価を頂けていないのであれば悲しいですよね。

逆に評価を頂けていることを実感できれば、利益度外視でビジネスを成立させることもやぶさかではありません。

明るい未来が見えないお取引の継続はお互いを疲弊させるだけであると共に、お互いに協力して未来を切り開いていく姿勢を持ってすれば何事も前向きに取り組めますし、活力が漲るというものです。

というわけで、少々だらだらと長い話なりましたが、パッケージの価格は誰が決めるのか?というテーマにおいて価格は市場が決めるものであるということを改めて認識をしておく必要があることと、お互いの協力があって初めて見出せるものがあるということをお伝えいたしました。