化粧箱などパッケージの表面加工と高級感について

以前、とあるお客様より化粧箱を作成したいとのお話をいただいた際の事ですが、「今回はコスト重視につき、そのためにも仕様については極力抑えていきたい」とのことでした。それならと、形状含め、使用原紙の質や印刷色数など諸々抑えめな仕様で提案・仮決めしていく中で、お客様より「表面加工は特にいらない」との言葉が出まして、理由は先のとおり「コストを抑えるため」、また「今回は特に高級感は求めていないので」とのお話でした。対して私からは「それについてはお勧めしかねます、最低限なにがしか表面加工をされるべきです」とお返事して、結果、印刷面にニスを引くということになりました。

実際のところ、この「今回は表面加工はいらない」といったことは、主に上記のようなコスト重視の際などには言われることが多いのですが、私共ケイパックでは基本的にそのままお受けすることはしておりません。もちろん理由があります。その理由をお知らせすることで、むしろお客様の方から「やっぱり表面加工はしましょう、言ってくれてありがとう」と仰っていただいている次第なのです。

今お読みいただいている皆様の中で、化粧箱を作成されたことのある方でしたらその理由がもうお判りかも知れませんね。作成されたことはなく、「そもそも表面加工って何?」という方もいらっしゃることでしょう。

皆様が普段目にする数々の化粧箱、それらの多くには、とある処理が施されております。それは、紙の表面に対してのもので『表面加工』と呼ばれる処理なのですが、これは化粧箱を作成する際にはとても大切な要素であります。例えば、先程の話の中に「高級感はいらないから、表面加工もいらない」とありましたが、これが逆になれば「高級感を出したいから、表面加工が必要だ」とも言えてしまうわけですね。『表面加工』とは必ずしも高級感を出すためだけのものではありませんが、それでいてパッケージに高級感を持たせようと思えば言わば「必須」な工程であるとも言えるものなのです。

では、『表面加工』とはどのようなものなのでしょうか。そしてどのような効果を持つものなのでしょうか。

今回は、化粧箱を作成するにあたって非常に重要な要素である『表面加工』について、少しご紹介させていただきたいと思います。

どうぞ最終最後までお付き合いいただけますよう、よろしくお願いいたします。

パッケージに変化をつける、『表面加工』とは?

パッケージに変化をつける、『表面加工』とは?

化粧箱の表面加工とは印刷した後の刷本(印刷後の原紙)の表面に何らかの加工を施すことを言います。剥き出しの紙そのままの状態に対して施すことで目的を持って変化をつける工程の事であるとも言えるでしょう。

一般的には表面加工と言えば、印刷表面全体もしくはその大部分を覆うもののことを指します。ただし広義では、印刷表面(無地あっても可、印刷可能な表面?)に何らかの加工を施すという意味でも使われますので、部分的に特殊な加工を施す場合にもこの言葉が用いられており、これについては「その他の表面加工」としてまたの機会に詳しくご紹介させていただきます。よって今回は一般的な意味での表面加工について触れていきたいと思います。

化粧箱の用途によっては印刷表面だけでなく、化粧箱の中面にあたる原紙の裏側への表面加工を施す場合もあります。

「裏面」なのに『表面加工』とはこれいかに?と思われるかもしれませんが、あくまで原紙の表面(ひょうめん)に加工を施す事、なので化粧箱の中面・裏側であっても紙の表面であることには違いないわけですね。

これは例えばたこ焼きなどの食品を直接入れる化粧箱の場合に多く見られ、食品から出る汁系のものや湯気などから化粧箱の強度を保つ為であったり、食品が直接、紙に触れることへの配慮から処理が施されるわけです。

(化粧箱に使用する原紙は食品衛生上、問題のないものもあり、特に表面加工をしない場合であってもそれらを使用致しますので衛生上の問題はありません。)

化粧箱の中面にも印刷がされていることもありますので、この場合にも中面・裏側であっても『表面加工』を施すことがあります。

パッケージに高級感など出す『表面加工』の大別

パッケージに高級感など出す『表面加工』の大別

化粧箱でよく使われる表面加工には大きく分けて2種類あります。それは分かりやすく言いますと『貼る』か『塗る』かの2種類ということになります。。。えぇ、コレだけだと大変分かりにくいですね(笑)

もう少し詳しく言いますと、『フィルムを貼る』か『溶剤を塗る』かということになります。この2つの中に、大まかではありますが各々グロス系とマット系の表面加工が存在しております。

『フィルムを貼る』というのは、文字通り紙の表面にPPやPETの薄いフィルムを貼りつけることです。

その仕組みをご説明しますと、オフセット印刷機やトムソン機と同様フィーダー部分に印刷紙を積み上げ、そこから機械本体に流れて行き、途中でフィルムを貼り合せます。

その際、印刷紙に糊を塗布するパターンとフィルムの方に糊を塗布するパターンの両方があります。

また、印刷紙は枚葉(1枚1枚シートカットされた紙)であるのに対して、フィルムはロール状になっているものなので、印刷紙にあわせて、フィルムは途中でカットされます。

そしてそれがデリバリ部分に出されて積み上げられていきます。

『溶剤を塗る』タイプには、例えばビニール引きがあります。ビニール引きにも水性・油性・マット・硝化綿etcと細かくは色々ありますが、その仕組みは、フィーダーから給紙⇒溶剤塗布⇒乾燥⇒冷却⇒デリバリに排紙となっております。

また、プレスコートもこのタイプです。

その仕組みは、上記のビニール引きとほぼ一緒です。違うのは、簡単に言えばではありますが、途中のヒーターロールに圧着させることにより、ローラーの鏡面部分で、平滑性を増し、より光沢をださせる部分が追加されるということです。

平滑性を増す、摩擦係数を下げるという加工ですので、このプレスコートという表面加工にマットはありません。

また、大きく分けると塗るタイプという意味では、印刷機の印刷胴で原紙に塗布していくニス引きもここに入ります。

同じく印刷機のオンラインにて加工が可能なのがUVコートというものがあります。但しこちらは印刷機の印刷同でではなく、コーター胴で塗布して、UV光を照射することにより、UVコートを硬化させるという仕組みになっております。

当社でも印刷機にはコーターを併設しておりますので、溶剤系の表面加工は印刷インライン上で加工することができます(可能な表面加工には制限があります)。

パッケージに表面加工を施すのは、高級になり目立つから?

パッケージに表面加工を施すのは、高級になり目立つから?

そもそも何故、何のために『表面加工』をする必要があるのでしょうか?

小題に、目立つから?と書きましたがこれも決して間違いではありません。前述の「高級感を持たせる」というのもここに入ってきますね。しかしながら『表面加工』を施す目的とは、単にそればかりではありません。私共ケイパックが「高級感を持たせる必要がない」場合にも『表面加工』を施すことを必ずオススメするのは、他にも目的がありパッケージにその効果を及ぼすことが出来るからであります。

表面加工を施す目的とは、大きく分けて3つとなります。

1つ目は原紙の印刷面を保護するため、となります。これは耐摩耗性や耐水性などの機能を向上させて傷や退色などを防いでいくということです。

そして2つ目は、光沢を出したり反対にマット調に仕上げたりなどで印刷表現のハイグレード化を果たし美観・美粧性を持たせるためであり、高級感や目立つ云々を目的とする場合です。

また3つ目として、ブリスターコートなどの直接的な機能を持たせることを目的としている場合というのが挙げられます。機能向上と言う意味では1つ目と一緒にしてしまい、2つに分けることもできるでしょう。

パッケージの梱包時・輸送時のキズや擦れの防止を!

パッケージの梱包時・輸送時のキズや擦れの防止を!

先程大きく分けた1つである「原紙の印刷面の保護」について。とても大切なことですので、もう少し詳しくご紹介させていただきたいと思います。冒頭での話にありました、高級感などを求めない場合でも表面加工を施す必要がある、というのがコレなわけです。化粧箱作成の際には、ついついデザイン含めての美粧性という点に目が行きがちになるものですが、印刷面を保護することはとても大切なことであります。

表面加工の各種類については後程詳述いたしますが、印刷面の保護としての表面加工で強い順にざっと並べますと、

ニス引き

ビニール引き

プレスコート

フィルム貼り

の順になるのですが、これはあくまでも印刷面をキズつけないという意味で、キズが付きづらいとは少しちがうのです。

それは印刷面を保護するだけであれば、表面被膜が厚いものの方がよりその保護性は高くなるのですが、単にキズが付くという観点からは被膜の硬さや平滑性が大きく左右してくる場合が多く、例えばプレスコート。これは被膜層をコートした後に、鏡面のロールに熱を加え押し当てる事で高光沢、高平滑となる表面加工です。したがって、被膜層は硬く印刷面を保護するには強い力を発揮しますが・・・・。光沢があり尚且つ硬いが故に、キズが目立ちやすくなってきます。

耐磨性も高いプレスコートですが、擦れによる光沢面の微細なキズは印刷面を保護しているのですが、表面加工自体にキズがついてしまい、お客様の判断はキズがついている商品となってしまいます。

逆にマット調の表面加工、たとえばマットビニールでは全体的に艶消しの状態なので、プレスコートとは反対に、表面のマット粒子が剥がれてしまうと艶が出てしまい目立ったキズが付いているように見えます。

これも印刷面の表面保護はなされているのですが、お客様の判断はキズが付いている・・・となります。

我々が取り扱っている印刷紙器において、摩擦による障害は避けて通れない問題です。

この摩擦による障害というのも色々で、製造時においても、印刷加工時の刷り上がり排出時に発生する原紙同士の擦れによる印刷不良から、紙器に商品充填後の配送による荷ずれや外箱との干渉なども印刷表面に傷を及ぼします。

とにかく印刷面が他の物体と摩擦を起こすとキズが付きやすくなってしまいます。

印刷紙排出時の擦れなどは印刷速度や、排出時の紙揃えでオペレーターが操作出来るものなのですが、紙器を納品した後の充填、配送時の荷ずれや段ボール箱との擦れによるキズは、その摩擦の負荷がどれ位のものなのかが想定できずに、原因が表面強度にあるのか、状況設定が起こした他の要因にあるのかが分からず問題となる事もあります。

こうなると十分な対摩性を表面に持たせる事と共に、輸送状況がどの様な荷扱いをされているかとか、外箱のサイズは小さくないか、逆に大きくないか、外箱材質の表面は粗くないか・・・、等々色々な要因を考えて対処していかなければなりません。

勿論、製造工程での擦れも然りで、擦れの発生しやすい印刷原紙との接点を考え、例えば工程上必ず通るローラー部分や、貼り工程などでは押さえベルトの摩擦軽減などを考えて、摩擦による障害を防いでいかなくてはなりません。

段ボールとの擦れによるキズの対策も色々あります。製函後段ボール箱に入れる際に、ギュウギュウ詰めにして梱包作業時にキズを付けてしまわないように、逆にガサゴソにして移動時の振動等による摩擦キズが付かないようにと、段ボール箱の寸法に気を付けたり。段ボール箱の素材自体を表面の粗いものではない物を選定したり。

また、梱包時に敷き紙やかぶせ紙を使って箱を保護してみたりして、納入までのキズを防いだりします。

表面加工を施して尚これほどに気を付けねばならないのですから、逆に言えば、化粧箱の印刷表面に何ら加工を施さなければ、表面の印刷が輸送中の摩擦によって汚れてしまったり、キズが入ったりする可能性が大いに増すということですね。

(ただ、表面加工を施せば絶対に表面が保護されるかと言うと、決してそうではありません。その時の状況により、耐性以上の負荷が掛かりますと表面加工もろとも擦れ落ちてしまうことがあります。)

私共ケイパックは、美粧性だけに囚われず、広くお客様の要望にお応え出来る表面加工を提案していきたいと日々思っております。