WEBでのお見積り依頼を受ける時、当社では製造仕様がおおよそ確定している場合は詳細を書き込んで頂く項目があります。
それは箱のサイズ(幅、奥行き、高さ)、形状、原紙の種類、紙の厚さ、印刷仕様、表面加工、箔押し等の付加加工、ロット数等をご記入頂くのですが、この中でも分かりづらいのが紙厚かもしれません。
一般的に紙の厚みと言われても、1ミリに満たない厚みを計るのには、定規では測れないのでマイクロメーター等の計測器を使わなければ、正確な厚みは測れませんし、逆に0.1ミリ誤差があると、同じ品種でも厚みの違う別の原紙となってしまうのです。
大きい箱は厚い紙、小さい箱は薄い紙くらいの認識で問題はないのですが、厚い紙でも厚みの種類は多くあり、番手が一つ上がる、下がるで単価が変わるので、紙の厚みに纏わる話を知っておいて損は無い!!
・・・というお話をしようと思います。
箱の紙厚の単位は?
箱の紙厚の単位で使われるものは、普通に考えれば厚みの幅分、㎜とかμmが一般的で、特に厚紙では0.39㎜の紙厚があるとか、0.50㎜あるとか言いますが、これは実の厚みで、その厚みからコートボールで0.39㎜の厚みがあるから、米坪310g/㎡のコートボールと言い換える事が殆どです。
g/㎡・・・???
これは1m×1mの重さを表し、310g/㎡であれば、1m×1mの重さは310gなのです。
紙厚も掛けて体積にしないのは、原紙の種類によって、原料のパルプの長さが違い、それが紙厚に関係したり、加工上ふかふかに紙を抄いたり、密に紙を抄く事が出来るので、同じ310g/㎡でも厚みが変わってくるのです。
その為、原紙の種類と実厚から米坪と呼ばれるg/㎡の単位に変換して、やり取りを行うのです。
箱に使われる米坪は230、260、310、350、400、450、550、600g/㎡
等が一般的であり、加工上その±10g/㎡の米坪も存在します。
また、原紙には規格寸法があり、基本的には
L判T目(800×1100㎜)、Y目(1100×800㎜)
4/6判T目(790×1090㎜)、Y目(1090×790㎜)
K判T目(650×950㎜)、 Y目(950×650㎜)
菊判T目(640×940㎜)、 Y目(940×640㎜)
が基準寸法になる事が多いのですが、コートボール等需要の多い原紙は、準規格として紙商さんが独自の寸法を多く持っておられます。
そして、紙厚を表す3番目の単位として連量のKgがあります。
連量とは厚紙の100枚単位の重さです。厚みの単位としては27Kgと言ったり、35kgと言ったりしますが、それは各々の米坪のL判の連量を指して呼んでいるのです。
先ほどのコートボール310g/㎡を例に挙げると、
L判での計算式は、0.8m×1.1m×0.31Kg/㎡×100枚=27.28Kg
となり、連量は独自の算出により、小数点第一位を2捨3入、7捨8入の0.5Kg刻みで表すので、27Kgとなるのです。
この連量で紙厚を表現するのは、箱の厚紙ではあまり少なく、薄紙(ポスターやカタログ)で印刷する場合に多くなります。ちなみに・・・薄紙の場合、100枚単位ではなく、1000枚単位の重量(=Kg)で紙厚を表現することが多いです。
このように、実寸の厚み幅から、米坪、連量と紙の厚みを表す単位は様々なのですが、お客様に馴染みのある単位は、厚み幅である㎜だと思います。
ただ、1㎜を切る厚みを計るには専用の計測器が必要となりますので、そのあたりは私達にお任せ頂ければと思います。
箱の適正な紙厚とは?
適正な紙厚を決める要素は、箱の大きさ、形状、内容物の重さです。
箱の大きさに比例して大きい方が厚い紙になっていきますが、箱の構造次第では1番手くらいは薄い紙になる事もあります。例えば同じ重さの内容物を入れるのにキャラメル箱式の箱と、お弁当箱のような、蓋箱、身箱の組箱では、組箱の方が薄い紙で強度が保てる事が多いです。
また、強度を持たせようと厚い紙を採用する際も、構造上折り加工が困難になり組立作業効率が悪い場合もあります。内容物の重さでも重い方が厚い紙になりますが、ワンタッチ底の箱の場合、底が抜ける心配が少ない分、薄い紙で対応できることも多いのです。
見積り時の適正な紙厚設定は、箱の大きささ、形状、内容物を教えて頂ければ、ある程度の精度で選定できますが、実際の制作にはCADカットによるサンプル作成をして、強度や組立具合、内容物の納まり等を確認していただき作業を進めますので、安心して頂けるかと思います。
紙厚で変わる箱の単価
紙厚で単価が変わる要因の1番は、当然の事ながら原紙価格です。
例えば同じ仕様で紙厚が変わった場合の算出をしてみると、同じ種類の原紙で、650×950㎜の大きさで、5,000枚印刷をする場合で原紙の単価を200円/kgと設定したら
米坪350g/㎡の場合、連量は21.5Kgとなり、計算式は
21.5Kg×50R(1R=100枚)×200円/kg
=215,000円となります。
米坪400g/㎡の場合、連量は24.5Kgとなり、計算式は
24.5Kg×50R(1R=100枚)×200円/kg
=245,000円となり、
その差は30,000円となります。
強度保持さえ出来ていれば、番手が一つ落ちるだけでこれだけの差が出るので、適正な紙厚を知る事は大切な事となるのです。
また、550g/㎡を超える紙厚の加工は、印刷、抜き共に厚紙係数を掛けて、 割増料金にもなってしまいます。
仕上がり商品の梱包でも、6,000個製造の場合で、梱包数が200個と300個と重さで違いが出た場合、30ケースと20ケースとなり、路線便を使う場合、1ケース800円の運賃だと、8,000円の差が出ます。
従いまして、紙厚が変われば、紙代という部分以外でも箱の価格におおきな影響を与えるのです。
ですが、間違えないで欲しいのは、紙厚が薄い方がいいと言う訳ではありません。
あくまで、適正な紙厚でなければ箱としても品質が保てないので、適正な紙厚を知れば、無駄な費用を押さえられるという話なのです。
色々と紙厚について書き並べましたが、箱の制作にあたってお客様の要望を適正な仕様で製造すれば、必要の無い経費は抑えられます。
その逆も然りで、単価を抑えたいばかりに適正な仕様で箱を製造しなければ、それは、商品保護、美観性の面からもマイナスになってしまい、せっかくの箱が台無しになってしまう恐れもあるのです。
適正な仕様の箱・・・、是非とも当社にご相談下さい。