モノづくりにおいては ままあることであはありますが、化粧箱を作成するにあたっても事前に注意しておきたいことというのは幾つもあります。
今回取り上げるのもそうした、事前に知っておきたい・注意しておきたい点についての一つとなります。
先日のこと、あるお客様から当社のホームページをご覧になり化粧箱の製造依頼をいただいたのですが、そのお客様はこれまで化粧箱の作成をされたことがなく、知らないことばかりなのでいろいろ教えてほしいとのことでした。
その際も今回のこの『化粧箱への印字』についてご説明させていただいたのですが、その結果として「事前にチェックして良かった」「危なく製造後に作り直すことになっていたかもしれなかった」との言葉とともに感謝していただくことが出来ました。
その時のことで、以前にも当ブログで軽く触れたことはあったと思いますが、今回もう少し詳しく『印字』について書いてみようかと思った次第です。
『印字』って何?
皆様はパッケージへの印字と聞いて何を思い浮かますか? 私の場合はまずは賞味期限、あとは製造年月日やロット番号などが浮かびます。
なんなら牛乳など紙パックの飲料品を、売り場で賞味期限を見て選んで買おうとするところが思い浮かぶまであります(笑)
きっと皆様も同じなのではないでしょうか。
実際にパッケージへ印字されるものは、ほとんどが上に挙げたものだと言って間違いはありません。
ところで、そもそも『印字』とは何を指して言う言葉なのでしょうか? 『印刷』と『印字』では違うのでしょうか?
こちら書きながら今、辞書など見てみますと、いくつか意味はあるもののその一つとして「タイプライターやプリンターなどで、紙などに、文字や記号を打ち出すこと」のように載っております。
ものによっては「文字や記号を印刷すること」とも書かれており、『印刷』の中に『印字』は含まれているようにも受け取れますね。
ですが、あえて今回は次のように定義してみたいと思います。
『印刷』 = 印刷機などによって、紙などへ、文字や写真・図柄などを、インキなどを塗布して加工すること
『印字』 = 印字機などによって、既に印刷された紙などの印刷物の一部へ、賞味期限やロット番号など文字・記号を、打ち出すこと
少しは判りやすくなったでしょうか?
何だか「など」が多いようではありますが、これはまぁ印刷というものが如何に多様化しているかということですのである意味仕方のない部分ではあります。
つまりは『印字』とは既にある印刷物にあとから文字等を打つことなわけで、化粧箱へ都度製造年月日等を入れる場合も『印字』となるわけですね。
『化粧箱への印字』において注意すべき点
先ほど文中で、「など」が多いようだと書きましたが、実はこれこそが注意すべき点の理由だと言えます。『印字』とは何かについて触れたのは、この注意すべき点を知るための布石に過ぎなかったということですね。
何故「など」が多いことが理由となるのでしょうか?
と言っても皆様すでにお気付きのことでしょう。例えば「印字機など」、印字するための道具・機械は様々な種類があるわけですね。ものによって印字方式もいろいろあるというわけです。
印字方式を幾つか挙げてみるだけでも、活字にインクを乗せて押す「インク転写式」、加熱した活字でインクリボンを挟んで押す「ホットスタンプ式」、入力した文字データなどが細かなインクの粒子を吹き付けた点で表現される「インクジェット式」、入力した文字データなどを熱を加えてサーマルリボンを蒸着させることで印字する「熱転写式」など様々です。
そして更には「既に印刷された紙などの印刷物」、つまりは印字する対象となる媒体にもいろいろあるわけですね。
化粧箱に限ったとしても、単に印刷された紙というわけにはいきません。多くの場合において化粧箱には印刷した上から、光沢や防御性のために表面加工を施しますが、その表面加工にも種類があり使用されている素材も違いがあるのです。
そして、この印字方式や使用されるインクなどの違いと印字対象となる印刷物との間には、言わば「印字に対する相性」というものが存在するのです。相性の合わないもの同士では印字することが出来ない、ということになる訳ですね。
製造後の化粧箱にいざ『印字』をという段階になってから、相性が悪いため『印字』出来ませんとなったらいかがでしょうか?
大変な事態ですね。
『化粧箱への印字』 製造前に『印字テスト』をしよう!
さて、それでは製造した化粧箱に『印字』が出来ない、という事態が起こるのを防ぐためにはどうしたらいいでしょうか?
そのためにすべき簡単なこと、それはもちろん事前にチェックすることですね。本番と同様の表面加工がされた化粧箱やテスト用紙に、実際に使用される印字機で印字してみるのが一番です。
製造前にテスト作業を行うというのは、スケジュールやコストに関わることではありますがメリットとデメリットを秤に掛けてという点でもリスク管理という観点でも決して損なことではありません。可能な限り行うべきことだと言えるでしょう。
何度も申しますが、化粧箱の仕様と印字機の仕様によっては印字できない場合があります。
ニス・ビニール・プレスコート・PP貼り・PET貼りなど化粧箱の表面加工も色々あり、印字機のほうも色々であるわけですね。
その相性をテストして印字可能であることを確かめておく、もしくは印字スペースには表面加工をしない事にするであるとか別の表面加工を検討する、というのが印字テストとそれに付随する確認事項となります。
例えばニス。ニスの上には印字出来ないこともままありますが、ニスの場合には印字スペース部分のみニスを引かないようにするのは比較的簡単に出来ます。
これが例えばプレスコートになりますと、印字可能なことのほうが多いようではありますが、テストの結果が印字不可能となった場合に印字スペース部分のみプレスコートをしないようにするにはニスよりも大きなコストが発生することとなります。そのため別の表面加工を検討したり、印字方法のほうを考え直す必要なども出てきてしまうわけなのです。
これらはたとえ知識として知っていたとしても、製造前に印字適性が判っていなければ事前の対処のしようがありませんね。印字を行う現場にも確認して少しでも不安がある場合には、きちんと時間を取って必ずテストしておきましょう。
もしテストを行わず見切り発車で化粧箱を製造し結果として印字できなかった場合には、その責任は化粧箱の製造側にも印字を行うセット現場などの側にもないことは明白です。少々きつい言い方ではありますが、それは作成する側つまりはお客様に全て覆いかぶさってきてしまうのです。
そしてまた、テストを行うことで実際の製造日程に無理を来たし事故の起きる確率を高めてしまうことなどないよう、時間・日程を確保することも非常に大事なことと言えるでしょう。
そうは言っても、納期や予算が既に決まっていて諸々動き出しており、どうにも動かしようがない、なんてこともよくある話なワケですが。。。
決して簡単なことではありませんが、まずはご一考いただければと思います。
それでもお困りの際には、ぜひ当社へご相談ください!! 精一杯ご協力させていただきたく存じます。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。