化粧箱の一部をエンボスすることにより高級感を出す

先日は化粧箱全体に対してエンボス加工を施す『ロールエンボス』の話でしたが、もちろん一部分だけをエンボス加工することも可能です。
と言いますか、どちらかというと、一部分だけをエンボス加工する方が一般的かとは思います。

エンボスには大きく分けて『浮上げ』と『型押し』があり、両方ともエンボス加工と呼ばれます。また、表面に特殊なインキを塗布することにより、凸部を作ることもエンボスと呼ばれたりもします・・・

要は、表面がボコボコ・凸凹な状態のものを総じてエンボスと呼ばれます。

『浮上げ』は凸版と凹版の両方を使用し、挟み込むようにしてプレスすることで、盛り上がるように浮き上がらせる方法です。『型押し』とは、凸版だけを使用して、表面から押し込むことにより、版部分を浮き下げることで立体感を付加します。

エンボスの特徴としては、インキや箔材などを使用せず、立体感だけでデザインを表現することで、箔押しとはまた一味ちがう付加価値・高級感を加えることが出来ます。
また、エンボスは印刷や箔押しと組み合わせること(印刷部分を浮き上げる・箔押し部分を浮き上げる)ができ、より存在感のあるデザインを再現できます。

 

エンボス加工の高級感UP以外の意外な活用方法

エンボス加工の高級感UP以外の意外な活用方法

 

エンボスはその加工方法から素材の表面に凹凸を作ります。この方法により様々な柄を表現し、高級感といった付加価値を付与するわけなのですが、その凹凸にはもう一つの効果があります。

それは、「滑りやすさ」の付与です。

表面に凹凸が出来るということは、平らな状態であったときよりも他の物体との接する部分が減ることになります。つまり摩擦を起こす部分が減る。すなわちエンボス加工を施す前と比べて滑りやすくなるというわけです。

そして、この滑りやすさを上手く活用しているものにトレーディングカードゲームによく使用されているカードスリーブがあります。日本では(世界中でも)遊戯王に代表される『トレーディングカードゲーム』

まったく知らない方も多くおられるかと思いますが、基本的にはトランプの変わり種とご理解いただければ十分です。このトレーディングカードゲーム(以下、TCG)はそのほとんどが2人用の玩具として『対戦』を目的としております。

そして、その対戦においてほぼ全てのTCGが自分の用意したカードの束をその一番上から引いていき、その引いたカードを使用して対戦を行うということにあります。
つまり、スリーブ等にいれないとせっかく集めたカードが傷ついてしまったり、汚れてしまったりするわけです。

これを防止するためにスリーブに入れるのですが、このスリーブは少し高い物にはエンボス加工が施されておるものが多いのですね。それはもちろん見た目の高級感としても違いがあるのですが、TCGにおいてはそれよりももっと大事な「滑りやすさ」を付与するためにエンボスを使用しております。

対戦中やその前後においてカードの束をシャッフルする機会は非常に多いですし、カードを引く際にもやはり滑り易ければそれだけカードを引くことも容易に行えます。
そのためTCGのスリーブとしてはその高級感や美称性よりも滑りやすさの付与を期待してエンボス加工が行われます。
このようなことはエンボスに限らず様々な加工においてその副作用のようなものを上手く利用できればより良い商品を形にすることが出来るかも知れません。

金・銀の化粧箱や黒箱により高級感を付与

エンボスとは、デザインを彫刻した版を用いて、紙に圧を加えて押しつけることにより、紙に凸凹の模様を付ける加工のことでしたね。
そして、そのエンボスの凸凹を細かくすることで、超繊細なデザインを表現ができる加工のことを『マイクロエンボス』と言います。

このマイクロエンボスをまだまだ使用されているところが少ないので、現状では化粧箱を製造する際、よりオリジナル性が発揮される・他商品と差別化しやすい加工の1つではないかと思います。

悪い点を言うと・・・一般的な白紙にマイクロエンボスを施しても、微細過ぎて(=凸凹がハッキリ分からない)ので、あまり目立たないです(涙)

ので、光が反射しやすいホイル紙・蒸着紙のような銀紙や金紙を使用されることをオススメします(どうしても予算的にホイル紙等の使用が難しければ、黒ベタのように濃~い色にプレス加工したものが良いかと思います)。
↓↓こんな感じです↓↓

ねっ!キレイでしょ。
左(銀の方)は、マイクロエンボスだけではなく、従来のエンボスとの組み合わせなので、微細部分と深度の深い部分があります。

よ~く見ると、ハート柄が見えますよね?かわいいでしょ??

これは特注の版ではなく、既存版ですのでもし、『この版使いたい』ということであれば、版代不要で使用可能です。是非お問合せ下さい。
ただ、ロールエンボス版なので、箱全体がこの柄になります。
PS.
上記写真のようにロールエンボス(=エンドロール)版を使用して、箱全体に押すのではなく部分的に、マイクロエンボスを使用することも、もちろん可能です。また箔押とセットでマイクロエンボス箔として使用し、箔押部分のみマイクロエンボスということも可能です。

PPS.
マイクロエンボス箔として使用する場合は、特に紙を選びません(=金・銀の紙じゃなくても、かなり効果があります)。

化粧箱にラミネートせずにホログラム加工

『ホログラム』とは、ご存知かとは思いますが、レインボーに輝く表面加工で、スターダスト・ハート・サザンクロス等々と呼ばれるような柄がたくさんあります。百聞は一見にしかず、そうです下記画像のようなものです。
ホログラム

このホログラムは、ホログラム紙を使用したり、ホログラムラミをすることで再現することが多いのですが、版を作成しホログラムを転写する方法があります。それが『LUV加工』と呼ばれるものです。
この『LUV加工』の一番の特徴は【版を作成し】というところでもお分かりかもしれませんが、部分的にホログラム加工することも可能ということです。

でも・・・・・そうです。結構高価です(泣)
もちろん『ホログラム原紙を使用している』『ホログラムラミをしている』というものではなく、現状『ホログラム加工をしていないけど、ホログラムをしてみたい』というもの=現状、プレスコートやPPラミという通常の表面加工のものに比べれば・・・結構高価という意味です。
(現状、ホログラムをしていないからこそ、高級感をUPさせる1つの手法としてホログラムを考えるわけですからね)

そこで、あるご提案を1つ!現在、ホイル紙・蒸着紙・パール紙を使用している化粧箱があれば、このLUVは一考の余地があるかと思います。

その理由は・・・

① やはりコスト!です。
対象の化粧箱の大きさ・使用紙・ロット・リピート継続性等々によっても異なりますので、何とも言えませんが、仕様変更前と同じ、もしくはもっと安いコスト(=コストダウン)も可能かも?ただ、版代がネックになるのは否めないでしょう。その辺が一番の問題かとは思います。

② ホイル紙・蒸着紙・パール紙を使用されている理由の1つに『目立たせたい』というものもあるでしょうし、『美しさを出したい』というものもあるでしょう。前者に対しては、決して引けを取らないどころか、アイキャッチ性だけで言えば優れているかと思いますし、後者についてはデザイン特性等々もあるので、一概には言えませんが、【ホログラム柄】次第では、遜色ないものがあるかもしれません。

③ (先程も言いましたが)版が作れる=より強調したい・目立たせたい部分だけをホログラム加工することも可能です。逆に言うと、ロット印字部分等々ホログラムにしたくない部分を抜くことができるということです。

④ エコです!・・・ホイル紙・蒸着紙とちがって、普通紙を使用します(※普通紙しか使えないわけではありません)し、ラミネートではなく転写ですから、リサイクルが可能です。環境にやさしいという企業イメージを大切にされているところも増えていますし、そういう意味でも、この仕様変更は喜ばれる提案になるのではないでしょうか?

 

エンボス加工以外にも高級感を出す方法は沢山ありますので、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
高級感のあるオリジナル化粧箱の作り方(製作事例あり)を見てみる